
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は今後、人類の命運を左右しかねない重大な観測を行うことになる。
わずかながらも地球に衝突する危険性がある小惑星「2024YR4」が昨年発見されたことは、先日カラパイアでもお伝えした通りだ。
当初、それが2032年12月22日に地球に衝突する確率は1.3%とされていた。だかそれは後に2.2%に上昇、さらに最新のアップデートで、NASAは衝突確率を2.3%に引き上げたのだ。
2倍近くの確率アップに嫌な予感しかしないのは専門家も同じであるようで、もし本当に衝突した場合、どうなるのか緊急に検討しなければならなくなった。
その緊急任務をまかされたのがジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡だ。2025年の3月と5月、「2024YR4」の調査を行うという。
小惑星「2024YR4」の衝突確率が引き上げられる
NASA プラネタリーディフェンスのアップデート[https://blogs.nasa.gov/planetarydefense/]によると、2032年12月22日に2024 YR4小惑星が衝突する確率は2.3%に上昇した。
依然として小さな数字に思えるかもしれないが、43回に1回は衝突する計算なので、安心する気にはなれない。
だが仮にそれが地球に衝突したとしても、人類が滅亡することはなさそうだ。
現時点で2024YR4小惑星の大きさは約40~90mと幅広く推定されている。
過去の事例を見るならば、1908年にロシア上空で「ツングースカ大爆発」を引き起こした隕石がこれに匹敵する大きさだ。
これは直径50~60mの隕石が空中で爆発したことで起きたとされており、東京都とほぼ同じ面積(半径30~50km)の森林が薙ぎ払われた。
問題となってくるのは2024YR4小惑星の正確な大きさだ。40mなのか、それとも90mなのかで衝突の被害状況も大きく違ってくる。
地球を守るため緊急任務を行うジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡
だが2024YR4小惑星の正確な大きさを測定するのは簡単ではない。
欧州宇宙機関(ES[https://blogs.esa.int/rocketscience/2025/02/10/james-webb-space-telescope-will-study-asteroid-2024-yr4/]A)によると、この小惑星を観測するには、今のところそれが反射する太陽の可視光に頼るしかないのだという。
一般に明るく見える小惑星ほど大きいが、その明るさは小惑星の光の反射率によっても左右される。だから反射率が定かでない限り、正確な大きさを計測することもできない。
そこでESAの惑星防衛局が白羽の矢を立てたのが「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」だ。
この宇宙望遠鏡は2024YR4小惑星が放つ赤外線、すなわち熱を観測することができる。この方法ならば、反射された可視光よりもずっと正確に大きさを確かめることができる。
その最初の観測は、2025年3月初旬になる。これは2024YR4小惑星が一番明るくなり、観測がしやすくなるタイミングだ。
その次は2025年5月。このとき小惑星は太陽から遠ざかるコースにある。こうした観測を通じて、小惑星の温度の変化が確かめられる。
そして観測のラストチャンスとなるのは2028年のこと。
そのとき、小惑星の大きさや衝突確率はどう評価されるだろうか? 今はただ、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡にすべてを託し、見守るしかなさそうだ。
References: James Webb Space Telescope will study asteroid 2024 YR4 – Rocket Science[https://blogs.esa.int/rocketscience/2025/02/10/james-webb-space-telescope-will-study-asteroid-2024-yr4/]