
ペットとして迎えたものの、自分では飼いきれなくなって、その辺にポイと放してしまう。一番やってはダメな行為だ。
ペットたちにとっても、もともとその場所で暮らしていた在来種にとっても、不幸な結果にしかならないのだが、こんな事例は世界各地で後を絶たない。
アメリカやカナダでは各地の湖や川で、捨てられて巨大化した金魚が捕獲されており、大きな懸念事項となっている。
今回またしてもペンシルベニア州で巨大金魚が合衆国魚類野生生物局(USFWS)によって捕獲され、当局は「捨てないで!」とSNSを使って呼びかけている。
公園の水路で捕獲された巨大金魚
2025年2月25日、USFWSのFacebookページに、巨大な金魚の画像が投稿された。この金魚は、ペンシルベニア州のプレスクアイル州立公園内にある水路で捕獲されたものだという。
写真の説明にはこう書かれている。
ペットショップで買った金魚が、野生で2年過ごした結果。
「メガロドンと呼んでください」
この金魚は本来ここにいるはずではなかった。しかし、誰かが優しくあろうとして、処分せずに、ここなら生きられると放してしまったのだ。だがその代償として、金魚たちは何十年も続く侵略的な問題を引き起こした。
金魚は野生でも生きられる生命力を持っている。しかも巨大に成長し、湖や水路を濁った水に変え、在来種の魚から餌を奪い、水質を悪化させる可能性がある。
もしも自分で飼えなくなったなら、放流せずに新しい飼い主を探してあげよう!
また、一部の釣り人たちは金魚を釣りの生き餌として使っており、現在アメリカの16の州で合法とされているそうだ。
USFWSではこれも問題視している。釣りを楽しんだ後は「餌」の金魚をそのまま水中に捨てて帰らないようにと呼びかけている。
このニュースを目にしたSNSのユーザーからは、さまざまなコメントが寄せられている。
- 「可愛い」から「ヤバい」へ……
- 金魚がこんなに大きくなるなんて知らなかった! ペットショップが購入者に、こんな風に逃がさないよう警告するべきだね
- 金魚が10年以上生きられる、もともと池に住んでいた魚だってことを知らない人が多過ぎる
- 20年くらい前に飼ってた金魚が大きくなったときは、裏庭に小さな池を掘ったよ
- 興味深いね。この情報は広く拡散されるべきだ
- これが金魚の本来のサイズなんだよ
- 金魚はもともとどこから来たの? 本当は大きいのに、小さくしていたってこと?
- 中国原産の鯉の仲間だ。水槽で育てるとその水槽に合ったサイズになるんだ。フルサイズまで育てると、30cmにもなるんだよ
- 成長し過ぎた魚やトカゲは、地元の動物園とかに引き取ってもらえればいいんだけどね
- 公立の動物園や水族館は、そういうサービスを提供していないし、依頼されても困るんだよ。これは教育目的で絶滅危惧種を飼育している水族館ではなく、観賞魚業界の問題だ。アメリカには一般のアクアリストの手に負えないほど巨大化した魚を引き取ってくれる団体がいくつかあるよ
- 弟がもう金魚はいらないと言い出したとき、父は金魚を酪農場の貯水槽に放したんだ。金魚は大きく成長して、ウィスコンシンの厳しい冬を生き延びたよ。本当に驚いたな
- 近くに住んでいたら、いくつか引き取って飼ってみたいよ。何て美しいんだ!
金魚を放流してはいけない理由
USFWSでは、「金魚と別れる正しい方法[https://www.fws.gov/story/how-break-your-goldfish]」と題したHPを作成し、飼えなくなった金魚を湖や川などに逃がさないよう呼びかけている。
金魚は単なるペットではなく、潜在的な侵略種
金魚は外来種であり、(アメリカでは)野生の状態では生息していません。金魚を放流すると大きく成長し、生態系全体を混乱させ、在来種に害を及ぼすことがあります
そして、なぜ金魚を北米で「野生に返す」のが良くないのかを、わかりやすく説明しているのだ。
- 巨大化する
- ペットショップで見かける小さな金魚は無害に見えるかもしれませんが、野生では小さいままではありません。水槽の中から解放されると、手のひらサイズだった金魚もフットボールサイズの巨大な侵略者に成長します
- 水質を破壊する
- 金魚は底生動物なので、底に積もった堆積物をかき混ぜて水を濁らせます。これにより生態系の繊細なバランスが崩れ、在来種や水中の植物の生存が困難になります
- 繁殖力が強い
- 1匹では大したことがないように見えますが、金魚は繁殖が早いのです。1シーズンに数回産卵しますが、北米のほとんどの場所には天敵がいないため、個体数が爆発的に増加します
- 病気を広める
- 金魚は在来種が免疫を持たない寄生虫や病気を運ぶ可能性があり、生態系全体に悪影響を及ぼします
そして万一金魚を飼えなくなった場合は、新たな飼い主を見つけるかペットショップに返却する、もしくは水族館や保護団体に相談するよう勧めている。
自分も家で飼いきれなくなった金魚や熱帯魚、ザリガニなんかを川や池に放流したり、ひどい場合はトイレに流したなんて話も耳にしたことがある。
魚だけではない。小動物や鳥なんかも、飼えなくなったからと無責任に逃がしてしまう人もいるみたいだ。犬や猫もそうだね。
「ペットを飼うからには最後まで責任を持ちましょう!」と、何度言っても響かない人たちがいる限り、不幸の連鎖は終わることはないだろう。
USFWSでは最後に次のように説明し、無責任な金魚の放流をしないよう呼びかけている。
ペットを野生に放つことは、決して正しいことではありません。野生に放たれたペットのほとんどは生き残れず、多くは死ぬ前に苦しみます。
生き残ったとしても、あなたのペットは在来の野生生物に害を及ぼす外来種になる可能性があるのです
References: Facebook[https://www.facebook.com/USFWS/posts/1041471768023419] / Fws.gov[https://www.fws.gov/story/how-break-your-goldfish]
本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに独自の視点で情報を再整理・編集しています。