
食べようと思って生きたまま買ってきた生物だが、愛情が湧きすぎてペットとして飼うことになった経験ってないだろうか?
魚とかエビとかカニとか、なんならニワトリや七面鳥あたりまでなら、生き物系動画チャンネルなんかでけっこう見かけるパターンである。
魚ですらそうなのだから豚(ブタ)だったらなおさらだろう。
大きく育った豚は家族の一員として、幸せな第二の豚生を満喫しているようだ。
豚の丸焼きを作るつもりだった
2024年4月のある日、アメリカのメイン州に住むマイケル・ハンソンさん(61)は、ディナー用にと、1匹の生きたメスの豚(ブタ)を連れて帰って来た。
マイケルさんは当初、「豚の丸焼きをするぞ!」と意気込んでいたものの、いざまだ生きている豚と目が合った瞬間、彼の心は揺れ動いた。
彼女の眼はとても優しくて、愛情で溢れていたんです。もう誰も彼女の命を奪うことなんてできなかった。だから代わりに、家族の一員として迎えることにしたんです。
個人的に、絶対に父は彼女に惚れ込んで手放せなくなるだろうってわかっていたので、愉快でしたよ
マイケルさんの娘のクリスティン・ジャイルズさんは、当時の状況を思い出してこう語る。
結局ペットとして家族の一員に
結局、この豚には「スパークルズ」という名前をつけて、ペットとして飼うことになった。マイケルさんは彼女のために、鶏小屋の隣に専用の小屋を建てた。スパークルズはすぐにニワトリたちとも仲良くなったという。
スパークルズは現在生後20か月で、家族全員が彼女を受け入れ、やがて溺愛するように。特にクリスティンさんの子供たちとは、深い絆を築いているという。豚って結構知能が高くて愛情深いっていうからね。
スパークルズはとても人懐っこく、家族が外に出ると後をついて回り、撫でられることや抱きしめられることを好むそうだ。
彼女は私たちみんなを愛していて、とても優しいんです。外にいるときは私たちの後をついてくるし、子供たち全員にやさしく接してくれます。
特に私たちに触られるのが大好きで、撫でてもらったり抱きしめられたりするのが、彼女のお気に入りです
TikTokで大人気になったスパークルズ
このエピソードは、クリスティンさんがTikTokに投稿したことで一躍注目を浴びた。動画はたった数日で70万回以上再生され、10万件以上の「いいね!」を獲得。3か月経った今では、200万件に迫る勢いだ。
視聴者からは「スパークルズを助けてくれてありがとう」という声がたくさん届いていた。コメント欄を見てみると、「自分も同じことをした」人も意外と多いようだった。
- 彼女が食事以上の存在であることに気づいてくれてありがとう!すべての動物が愛を受けるに値する
- うちのお祖父ちゃんは、感謝祭に七面鳥をもらって来た。グーバーって名前で、18年生きたよ。毎日庭をパトロールしてた
- 去年の春、七面鳥を4羽買ったんだけど、まだ4羽ともそのままうろついてる
- 後で食べるために何かを育てるなんて、私には無理だわ
- 正直に言うと、目を合わせてしまったらもうペットになってしまう
- スパークルズは丸焼きになるよりもずっと多くの幸せをもたらしたんじゃないかしら
- うちのパパは牛で同じことをしたよ。彼女の名前はマギーって言って、めっちゃ甘やかされているんだ
- 小さい頃、父が鶏を何羽か買って来て、そのうちの1羽を丸焼きにしてくれたのを覚えてる。
食事の間、私たちは黙って座っていた。私は食べるのを拒否し、父は泣き出した。もう二度とあんなのはごめんだわ!- 昔、鶏に名前をつけてお祖父ちゃんに怒られたことがある。名前をつけたらペットになってしまうからって
- 親友のお母さんが牛を食べるために買ってきたことがあったの。彼女はその牛に名前をつけていたから、きっともう牛は安全だと思った。でもそれは間違いだった。お父さんが気持ちを変えてくれてよかったね
- とにかく、彼らはずっと良いペットになる!! この可愛い魂が生きて、愛されるようになって本当に良かった
豚の丸焼きをディナーに、と聞くと何やら手間もヒマもかかる一大イベントに聞こえるが、アメリカでは近所の人や親戚などが集まって、屋外でパーティ気分で楽しむことがある。
ただし、たいていは処理済みの豚を購入して調理するケースが多く、今回のように生きた豚を連れてきて…というのはなかなかワイルドかもしれない。
ミニブタはペットとして人気だが、食用の豚となると体重は生後半年で100kgを越え、最終的には300kg近くになることも。
大量の食事や排せつの世話も大変なため、個人宅でペットするのはアメリカでもかなり難しいらしい。
可愛い子豚時代にペットとして飼っていた家庭でも、大きくなると保護施設に委ねるケースも多いんだとか。
スパークルズの場合はどうやらそんな心配もなく、広い敷地で、幸せにのびのびと暮らせそうだ。