我々の皮膚はなんと苦味を感じていた。皮膚には舌にあるのと同じ「苦味受容体」が備わっていることが、岡山大学の研究チームにより明らかとなった。
ただし苦いものを皮膚で触っても、苦い味がするわけではない。皮膚は細胞レベルで感知しているのだ。
研究チームによれば、皮膚の苦味受容体には、外部の有害物質から身を守る「人体の門番」としての大切な役割があるのだという。
苦みは人間にとって危険な味
ピーマンやコーヒー、ゴーヤやニガウリなど、その苦さが逆に美味しさにつながることはある。だが本来、苦味とは有害な毒物に関連する味なのだ。
あなたが何かを口に入れたとき、嫌な苦さが口いっぱいに広がれば、ペッと吐き出したくなるだろう。人体は苦さから危険なサインを読み取って、有害な物質を排除しようとするのだ。
そして有害物質は口だけでなく、皮膚から侵入してくることもある。
皮膚に苦みを感じる受容体がある
岡山大学学生命科学部の中村元直教授らが発見した皮膚の「苦味受容体」は、そんな皮膚経由で侵入してくる有害物質から身を守るための仕掛けだ。
皮膚の苦味受容体は、「角化細胞(ケラチノサイト)」という細胞の中にある。角化細胞は表皮の9割を占める細胞で、人体の一番外側の部分をおおっているものだ。
だが、手で触っても苦みがわかるわけではない。だが、そこにある苦味受容体は、苦さをちゃんと検知している。
うっかり触れたことで皮膚から侵入した有害物質がそのまま残れば、細胞を傷つけてしまいかねない。
すると有害物質が外に排出され、体は守れられる。つまり皮膚の苦味受容体は有害物質を排出する防御システムとして機能しているのだ。
岡山大学の研究チームはプレスリリース[https://www.ous.ac.jp/common/files/202409051503170179876.pdf]で、皮膚の苦味受容体は「体を守る“ゲートキーパー”」であると説明する。
苦い塗り薬が登場するかも?
ただし有害物質の中には、この門番の監視をすり抜けるものもあるという。そうした物質はそのまま細胞にとどまり、炎症や皮膚障害を起こしたりする。
そこで研究チームは、あえて苦味をくわえた塗り薬などで苦味受容体を反応させて、そうした有害物質を排出するという新しい治療法を提唱している。
この研究は『FASEB BioAdvances[https://faseb.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1096/fba.2024-00074]』(2024年8月27日付)に掲載された。
References: Ous.ac.jp[https://www.ous.ac.jp/common/files/202409051503170179876.pdf] / Pnas.org[https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1302827110]
本記事は、海外の情報をもとに、日本の読者がより理解しやすいように情報を整理し、再構成しています。











