世界最重量級の蛾、ジャイアントウッドモスについて知りたくないかい?モフモフずっしりだよ?

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 ゴジラシリーズに登場する怪獣・モスラのファンは、「モスラ、可愛い!」と口をそろえて言うらしい。

 さすがにあんなに巨大な蛾は存在しないわけだが、それなりに大きいびっくりサイズの蛾は、地球上にいくつか生息している。

 さて、オーストラリア南東部とニュージーランドのごく狭い範囲に生息している「ジャイアント・ウッド・モス」は、世界で一番「重い」蛾とされている。

 メスは体重が30gに達し、翅(はね)を広げた際の両端の距離「翼開長」が、約25cmという巨大さだ。

 ただしオスは、メスの半分程度のサイズしかない。今回はこの、重量感たっぷりのリアル・モスラについて見てみよう。本文に本体出演中だよ。

モスラみたいな世界最重量級の蛾

 1890年代に初めて確認されたというこの「ジャイアント・ウッド・モス」だが、実はこれまで、あまり話題になって来なかった。その理由の一つが、特徴である身体の重さにあるらしい。

 特にメスは飛ぶのが苦手で、羽化した後もほとんど動かず、オスが見つけてくれるのを、ただその場で待っているのだとか。

 さらに彼らは羽化した後、交尾し卵を産むと、わずか数日で死んでしまう。そのため、あまり人の目に触れることがないのだそうだ。

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スマホの普及でSNSでも見かけるように

 とは言え、誰もがスマホを持っているこの時代。SNSには彼らの目撃談が投稿されることも増えてきた。

 例えばこちらは、2017年の暮れに、クイーンズランド州のクーチーマドロ島で撮影されたものだ。大人の手と比べてもこれだけのデカさ!

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 また、2021年5月3日には、クイーンズランド州にあるマウントコットン州立小学校で、巨大な蛾が増築中の校舎の壁に止まっているのが発見された。

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 大自然に恵まれた環境で暮らす同校の教職員や児童たちは、普段から野生動物の訪問者に慣れていた。ワラビーやコアラ、そして蛇なんかもしょっちゅうやって来るからだ。

 だが、さすがにこのお客さんにはビックリ。早速同校のFacebookに掲載したところ、大きな反響を巻き起こした。

 そこで学校側は、この蛾をテーマにした物語を書くという宿題を出したところ、子供たちは創造力豊かなストーリーを執筆。中には「巨大な虫が先生を食べてしまった!」という話を書いた子もいたらしい。

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オスとメスのサイズ感は倍ほども違う

 次に紹介するのは、2024年1月13日に投稿されたメスのジャイアント・ウッド・モス。その重量感が、映像からもおわかりいただけると思う。

 この蛾は二日ほどこの場所にとどまった後、姿を消してしまったそうだ。おそらくは産卵のために、最期の力を振り絞って移動したのだろう。

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 下の写真は2022年12月に羽化したオスのジャイアント・ウッド・モス。メスに比べると小ぶりなのがわかると思う。

 蛾は羽化する際、折りたたんでいた翅を伸ばすために、胎内に溜めてあった体液を使う。

そして残った体液をおしっこのように放出する。

 これを「蛾尿(がにょう)」と呼ぶのだが、この投稿者は運良く(?)そのシーンの撮影に成功したようだ。

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 こうして撮影され、SNSで公開されたジャイアント・ウッド・モスの写真や映像には、さまざまな反応が寄せられている。

  • オーストラリアの生き物って、みんなステロイドでも摂取してるのか
    • 大陸の孤立がもたらしたものさ
  • ニュージーランド生まれでオーストラリア在住だけど、こんなものが存在するなんて知らなかったよ。新たな恐怖が解き放たれた!
  • こいつのもとになる毛虫はどのくらいの大きさなんだ?
    • 調べたところ、体長10cm、直径は2cmくらいらしい。ただ、ユーカリの木に穴を掘って過ごすので、見つけるのが難しいみたいだ
  • 写真を見ただけで心臓が止まりそうになった! 実物を見たら絶対に死ぬ!
  • 何て美しい生き物なんだろう。蛾は蝶ほどの人気はないけど、僕は蛾も蝶と同じくらいクールだと思うんだ
  • 私はこれを可愛いと思えばいいのか、不気味と思えばいいのか悩んでいる
  • こいつが羽を広げて、自分に向かって飛んでくるところを想像してみて
  • ちょっとオーストラリアで休暇を過ごすのを考え直すわ

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世界各地に存在する各種「最大級」の蛾たち

 ところでだ。単純に「最大」とか「最長」とか言う言葉を使いたいところだが、実は蛾に関してはいろいろややこしいらしい。

 翼開長を基準にするのか、それとも翅の表面積で決めるのか、あるいは体重がポイントなのか、はっきりと決まっていないようなのだ。

 なのでここでは断言は避けるが、現在一般的に「世界最大の蛾」とされているのは、オーストラリアやニューギニアにいる「ヘラクレスサン」のようだ。その翼開長は25~30cm、翅の表面積が300平方cmにもなると言われている。

 名前についている「サン」は養蚕(ようさん)の蚕で、ヤママユガの仲間に用いられる名称である。

ヘラクレスサンやヨナグニサンの繭からも糸はとれるのだ。

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 公式に記録がある中で、「翼開長が最大の蛾」は、南米産の「ナンベイオオヤガ」。大きいものは30cmに達するそうだ。

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 下の動画は「北米大陸最大の蛾」とされる「セクロピア・モス」。翼開長は13~18cmと、オーストラリアやアジアのものと比べるとかなり可愛いらしいサイズだが、迫力と存在感はかなりのものだと思う。

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 フィリピンに生息する「ミンダナオオオヤママユ」は、別名「オオヨナグニサン」とも呼ばれており、記録されている中では前述のナンベイオオヤガに続いて、「世界で2番目に大きい蛾」と言われている。

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 そして日本最大の蛾は、沖縄の八重山諸島に生息する「ヨナグニサン」だ。翼開長は18~30cmほど。翅の面積は約400平方cmで、蛾の中でも最大級とされている。

 なお、生息地の与那国島にあるアヤミハビル館[https://x.com/yonakamaclub]は、世界最大の蛾の博物館として知られている。

 館内では、生きているヨナグニサンの生体展示が行われていて、ケージの外でたっぷりと観察することができるので、興味のある人はぜひ訪れてみてほしい。

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References: Meet The Giant Wood Moth, The Absolute Chonker That Is The World’s Heaviest Moth[https://www.iflscience.com/meet-the-giant-wood-moth-the-absolute-chonker-that-is-the-worlds-heaviest-moth-78436]

本記事は、海外の記事を参考に、日本の読者向けに重要な情報を翻訳・再構成しています。

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