
2025年3月11日、JR西日本が、世界初の試みとして発表した、3Dプリンターによる新駅舎の建設が海外メディアで話題だ。
このたび生まれ変わるのは、和歌山県有田市にある築76年の木造駅、JR紀勢本線の初島駅だ。
老朽化よる建て替えのタイミングで、活躍中の3Dプリンターを活用する施工が決定したのだが、なにより驚きなのはそのスピード。
組み上げから完成がなんとたったの6時間。当日の終電から始発までのすきま時間にできちゃうのだ。
3Dプリンターで効率的に初島駅を建て替え
このたびJR西日本、JR 西日本イノベーションズ、セレンディクス株式会社の3社が発表した初島駅の駅舎建設プロセスは、シンプルなうえに効率的だ。
まず最新の3Dプリンター技術により、鉄筋とコンクリート充填したパーツを用意する。
それらを現地に運びこみ、クレーンでパーツを組み上げる。こうした手順により、わずか6時間で新しい初島駅が誕生する。
有田市をイメージした新たな駅舎が6時間で完成
工法からもわかる通り、新しい初島駅は木製から耐久性や耐食性に優れた鉄筋コンクリート製になる。広さは10㎡弱ぐらいだ。
高さ2.6m、幅6.3m、奥行2.1mのコンパクトなデザインで、壁面には有田市の特産品である「みかん」と「たちうお」をイメージした装飾が施される。
ちなみに初島駅のパーツの組み立ては3月25日。終電の後に行われる。6時間の想定通りなら、始発までに新しい駅舎が完成する。
てことは翌日いきなり駅があるって感じなのかな?
3Dプリンターでデザインの自由度も向上
近ごろグローバルに活躍中の3Dプリンターだが、この技術のメリットは時短だけではない。
たとえば、今回も手順だけ見れば、事前にコンクリートで部材を作り、現地で組み立てる従来のプレキャスト工法と同じだが、3Dプリントの場合は型枠無しで部材が作れるのでデザインの自由度が高くなるそう。
つまり、これまでは採用できなかった形やアイデアも実現可能となり、初島駅のように地域性を生かした装飾が叶うのだ。
持続可能な未来の駅舎の第1弾に
こうした点から3Dプリントは、JR西日本が直面する労働力不足への対応や計画的な鉄道施設の更新の両方に役立つ新技術といえそうだ。
またこの取り組みは、持続可能な開発目標SDGs の 17 のゴールの中の3つに貢献するとのこと。
公式発表によると、世界初でもある初島駅の建て替えは、3Dプリンターによる駅舎建設プロジェクトの記念すべき第1弾という位置づけだ。
「本プロジェクトでは、建設および維持管理にかかるコスト効果を詳細に検証いたします。今回建設する駅舎を基本モデルとし、他駅への展開可能性を検討」してゆくとのことで、これから新たに生まれ変わる駅舎も増えそう。
ヨーロッパ最大の3Dプリンターでできた2階建ての家の動画のように、けっこう大きな家とかもすぐに完成するのは知ってたけども、よもや日本の駅舎がその技術で作られるなんてすごい時代になったもんだ。
小さくてシンプルなデザインだからというのもあるが、これぐらい簡単な公共建築にはうってつけの方法かも。
下はmasakotteri[https://www.youtube.com/@masakotteri]さんがYoutubeで公開中の最近の初島駅。駅舎は1949年に建てられたもので築76年ほど。現在は無人駅になっているそうだよ。
References: Interestingengineering[https://interestingengineering.com/transportation/worlds-first-3d-printed-train-station] / Prtimes[https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001413.000095753.html] / Newatlas[https://newatlas.com/architecture/japan-first-3d-printed-train-station/] / Yomiuri.co.jp[https://www.yomiuri.co.jp/national/20250312-OYT1T50063/]
本記事は、海外メディアの記事を参考に、日本の読者に適した形で補足を加えて再編集しています。