レア映像、ユキヒョウ4頭が雪山を歩いている姿が目撃される
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 パキスタン北部の雪に覆われた山で、滅多に見ることができない4頭のユキヒョウが歩いている姿が撮影された。

 母親と子供3頭とみられているが、ユキヒョウは絶滅が危惧されている上に警戒心も強いことから、世界で最も見つけるのが難しい野生動物の一種とされている。

 これはパキスタンでのユキヒョウの保護活動の成果によるものだと、自然保護活動家の間では歓喜の声が上がっている。

パキスタンの山岳地帯で貴重なユキヒョウ4頭の撮影に成功

 撮影したのは、ギルギット・バルティスタン地域の中央カラコルム国立公園で働くサカワット・アリさんだ。

 同地域のフーシェ村に住むアリさんは、自宅の屋根から双眼鏡で山々を観察していた際、ユキヒョウの足跡に気づいた。

 15日間にわたり注意深く見守るうち、ついにメスのユキヒョウとその3頭の子どもたちが姿を現したという。

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 アリさんは、カメラを持って急いでその場に近づき、約200m離れた場所から撮影を行った。

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単独行動が多く、一度に4頭の目撃は超レア

 ユキヒョウ通常、単独で行動することが多く、親子とは言え、4頭のグループが目撃されるのは非常に珍しい。これはユキヒョウの生息環境が健全であることを示す重要な証拠となるという。

 アリさんによると、村の住民はユキヒョウを見慣れているものの、一度に4頭のユキヒョウを目撃した人はこれまで誰もいなかったという。

 ユキヒョウが生きていくためには、主な獲物となるアイベックス[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9]、アルガリ[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9]、ノロジカ[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%AB]、クチジロジカ[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%81%E3%82%B8%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%AB]といった草食動物の個体数が安定していなければならない。

 つまり、今回の発見は、ユキヒョウだけでなくその生態系全体が良好な状態にある可能性を示唆している。

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パキスタンのユキヒョウ保護活動の成果

 ユキヒョウは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧(VU)」に分類されており、主な脅威として生息地の獲物の減少や密猟、害獣としての駆除などがある。近年は道路や鉄道建設や採掘、感染症なども懸念されている

 そこで、パキスタンを含む12の生息国では、この20年間で個体数の減少を食い止める取り組みが進められてきた。

 中央カラコルム国立公園の野生生物保護局の責任者であるザキール・フサイン氏によると、地域住民の約80%がユキヒョウの追跡、監視、報告活動に協力しており、市民科学の力がユキヒョウ保護に大きく貢献しているという。

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ユキヒョウとは?

 ユキヒョウは、中央アジアの標高2,500~5,500mの高山地帯に生息している。

 体長90~130cm、尾の長さは80~100cmほどで、体重は25~55kg。

体毛は密生し、白から灰色がかった色合いで黒い斑点がある。

 この毛皮は寒さから身を守るだけでなく、雪山に溶け込むカモフラージュの役割も果たす。長い尾はバランスを取るのに使われるほか、寒いときには体に巻き付けて保温する。

 優れたジャンプ力を持ち、6m以上の距離を跳ぶことができる。また、斜面を巧みに移動しながら獲物に忍び寄り、一撃で仕留める有能なハンターだ。

 寿命は10年以上だが21歳の個体が存在したとも言われている。

 主な生息国はロシア、中国、インド、ネパール、ブータン、パキスタン、キルギス、タジキスタン、カザフスタン、モンゴル、ウズベキスタン、アフガニスタンの12カ国で、これらの国々は「グローバル・スノーレオパード・フォーラム(Global Snow Leopard Forum)」を設立し、ユキヒョウの保護戦略を共有しながら協力を進めている。

 国境を越えて生息するユキヒョウを守るため、各国の環境省や野生生物保護団体が連携し、密猟対策や生息地の保全に取り組んでいる。

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