100万年前の人類の先祖が使用していた球状の火山岩の道具を発見
発掘された古代人の道具、球形の火山岩 Credit: Mussi 2025

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 今から100万年以上前、人類の先祖は原始的な狩猟生活を送っていたが、自然がつくり出した物を利用し、道具として使用していたことが新たな研究で明らかとなった。

 イタリアの考古学者チームの研究によると、エチオピアで発見された火山の噴火によって自然に形成された球状の火山岩を、ホモ・エレクトスやホモ・ハイデルベルゲンシスが使用していた形跡があるという。

人類の先祖が道具として使用していた「球状の火山岩」

 イタリアの国際地中海・東洋研究協会(ISMEO)に所属する考古学者マルゲリータ・ムッシ博士らの研究チームは、エチオピア高地のメルカ・クントゥレ遺跡で、100万年以上前の人類が使用したとみられる球状の火山岩を発見した。

 これらの石は人工的に作られたものではなく、火山の噴火によって自然に形成されたものだが、人類の祖先が意図的に道具として使用していたことが研究で示された。

 ムッシ博士によると、かつてはジャワ原人と呼ばれたホモ・エレクトス[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%A2%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%83%88%E3%82%B9]やホモ・ハイデルベルゲンシス[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%A2%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%87%E3%83%AB%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%B2%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%82%B9]といった化石人類[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%96%E7%9F%B3%E4%BA%BA%E9%A1%9E]が、これらの球状の火山岩を打撃や削る作業に利用していた可能性が高いという。

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火山岩球の用途と考古学的証拠

 研究チームは岩の使用痕跡や出土状況が詳細に分析した。

 火山岩球は、約170万年前の最古の遺跡「ゴンボレIB)」から約60万年前の「ガルバI(Garba I)」まで、複数の遺跡で発見された。

 発掘された遺跡には、石器製作技術として知られるアシュール文化の道具も多数含まれており、当時の人類がこれらの火山岩を意図的に選び、活用していたと考えられる。

 球状の火山岩の表面には削られた跡が見られ、硬い玄武岩のものは石器を加工するために、柔らかい火山砕屑岩は、植物や皮をこする用途に使われていた可能性があるという。

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人類の道具使用の歴史を示す重要な証拠

 これまでの研究では、人類が意図的に加工した道具に注目が集まっていた。

 しかし、今回の発見は「自然に存在する物を道具として認識し、活用する能力」がすでに100万年以上前の人類に備わっていたことを示している。

 ムッシ博士は、「ホモ・エレクトスからホモ・ハイデルベルゲンシスへと進化する中で、人類は環境の中から利用できるものを見つけ、工夫して活用する能力を発達させてきた」と指摘する。

 現代人の創意工夫の精神は、ホモ・サピエンスとなる前の、はるか昔から受け継がれてきたのかもしれない。私たちの祖先は知的で創造的だったのだ。

この研究は、学術誌『Quaternary Internationa[https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S1040618225000242]』(2025年3月1日付)に発表された。

References: Sciencedirect[https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1040618225000242?via%3Dihub] / Study suggests ancient hominins used unmodified volcanic rock spheres as tools[https://phys.org/news/2025-03-ancient-hominins-unmodified-volcanic-spheres.html]

本記事は、海外で公開された情報の中から重要なポイントを抽出し、日本の読者向けに編集したものです。

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