EV充電時間がガソリン給油に近づいてきた!5分で400km走る急速充電システム
BYD

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 EV業界のゲームチェンジャー到来か。中国のEVメーカーBYDが、タイムパフォーマンスを一気に向上させる驚きの超高速チャージテクノロジーを発表した。

 新たな充電技術、その名も「スーパーeプラットフォーム」対応のEVは、わずか5分の充電で航続距離400kmが可能になるという。

 EV市場の勢力図を一新しうる発表に、BYDの株価が急上昇。すでに世界の投資家たちの目を引く話題になっている。

 長らくネックとされてきた充電時間の短縮にメディアも騒然。この技術により、ガソリン車の給油とほぼ同じ感覚で使えるEVが、ついに現実のものになろうとしている。

バッテリーに強い中国のEVメーカーBYD

 このたび話題のBYD(比亜迪股份有限公司、略称:比亜迪)[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%94%E4%BA%9C%E8%BF%AA]は、中国広東省深セン市に本社を置く大手企業だ。1995年に携帯バッテリーの需要に合わせて設立し、電池事業で成功を収めたのち、2003年より自動車製造を始めた。

 得意のバッテリーを生かすEVモデルで売り上げを伸ばし、現在EV市場ではアメリカの自動車メーカー、テスラに次ぐ世界2位のトップ企業に数えられている。

 BYDの最大の強みは、バッテリーの開発から製造までを自社でできることだ。これによりコストを抑えつつ、性能を向上できる。

 安全性の高い充電技術や、長持ちする電池技術も同社の象徴だが、注力中のEVには、欧州の安全性能試験「Euro NCAP」で高評価を獲得したモデルもあるそう。

 現地では特にデザインと性能を両立させた「Han」や「Tang」といった人気車種がラインアップされている。

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充電5分で400kmが叶うスーパーeプラットフォーム

 そんなBYDが、2025年3月17日に発表した「スーパーeプラットフォーム(Super e-Platform)」は、最大1000kWの超高速充電能力をもつという。

 この技術に対応するEVはその電力を受け取り、たった5分の充電で約400kmも走れるようになる。

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 その性能は、テスラの急速充電設備「スーパーチャージャー(最大500kW)」の約2倍。EV業界の「充電時間の壁」を大きく超える。下の比較ではテスラは充電12分で275km。かなりの差だ。

 しかもこの技術に応じるBYDのEV「Han L セダン」と「Tang L SUV」は、フラッグシップモデルとして、すでに中国で先行販売されており、価格は270,000元(約560万円)からとのこと。

 海外向けEVとしては、テスラよりブランド力が劣ること、また内装などのデザインが魅力に乏しいとも評されるBYDだが、これらの新モデルもEV普及率を加速するゲームチェンジャーという側面から、かなり注目されている。

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逆風のテスラに追い打ちの懸念

 なおBYDの今回の発表は、EVの代名詞でありながら目下逆風にあるテスラに追い打ちをかける、ともささやかれている。

 実はテスラの評価額は、2025年の今までに44%も下落している。

 投資家からは、アメリカ大統領トランプ氏と緊密に連携する同社CEO、イーロン・マスク氏の影響による売上減少に加え、BYDとの比較で下がるであろう評価が、同社へのさらなる打撃になるのでは、と懸念されているそう。

 BYDの新技術が、業界の勢力図を塗り替えつつあり、テスラの株価下落がその競争を反映するとなれば、今後BYDが競合他社のトップとして追い上げてくる未来もありうる。

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目指すのはガソリン車と同感覚で使えるEV

 BYDの創業者でCEOでもある王伝福(Wang Chuanfu)氏は「究極の目標は、ガソリン車と同じ感覚でEVを使えるようにすること」だと語る。

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 この技術の登場で、消費者の間では、これまでEVに抱いていた、航続距離への不安が消えるという期待が高まっている。

 そしてこの発表の翌日18日には、BYDの香港上場株が4.1%上昇し、過去最高の408.80香港ドルを記録したそう。

 なおBYDの本拠がある中国国内では、この新プラットフォームが使用できる充電ステーションを今後4,000か所以上設置する計画が立てられており、EVの利便性がさらに大きく向上する見込みだ。

 なおBYDのEVは今まで他社の充電施設に頼ってきたため、自社の充電施設の展開はこれが初めてのものになると報じられている。

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充電速度向上でEV市場拡大の予感

 ちなみにEVの充電時間は、出力だけでなく車種や環境などにもよるが、日本の場合、たとえば日産リーフ(40kWhバッテリー・航続距離322-400km)だと、出力6kWの普通充電の場合フル充電まで8時間。44kWの急速充電だと40分から1時間ほどかかるという。

 タイパが向上するこの超高速充電システムが広まればより多くの人がガソリン車からEVへの乗り換えを検討しそう。

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 この技術をきっかけに、世界規模でのEV利用者がぐんと増える。そんな未来が近づいてきてるのかな。

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References: Theguardian[https://www.theguardian.com/technology/2025/mar/18/byd-ev-fast-charging-system-petrol-fuel-speed] / Cnbc.com[https://www.cnbc.com/2025/03/18/byd-shares-surge-after-ev-giant-announces-new-fast-charging-technology.html] / Nissan.co.jp[https://www.nissan.co.jp/]

本記事は、海外の記事を参考に、日本の読者向けに重要な情報を翻訳・再構成しています。

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