イタリアで「偽ミッキー」が観光客と写真を撮り強引に要求する事案が発生!?
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 繁華街や観光地に行くと、姑息な手段で訪れた人々からお金を巻き上げようとする輩に出会うことも多い。

 怪しげな商品を売りつけたり、勝手に写真を撮って代金を請求したり。

下手にカメラを向けただけで、法外な撮影料を要求されるなんてものも良くある話だ。

 イタリアのナポリではここ最近、偽物のミッキーマウスが出没し、訪れる観光客を脅したり金銭を巻き上げたりといった被害が出ているという。

 だが実際に出会った人によると、悪いミッキーじゃないという意見も多い。いったい何がどうなっているのか?

観光客からお金を脅し取る偽ミッキーがいるとジャーナリスト

 2025年3月18日、イタリアの左派政党「緑の党」所属のジャーナリスト、フランチェスコ・エミリオ・ボレッリ氏は、自身のXに1本の動画を投稿した。

 それは観光客でにぎわうナポリのメインストリート、トレド通りに、派手な衣装を着て被り物をしたミッキーマウスの偽物が現れて、道行く人と写真撮影をするというモノだ。

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 偽ミッキーは確かにどう見ても怪しさ大爆発であり、頭部分はどこから持ってきたシロモノやら。

 なんだか年季の入った被り物だが、何も知らない観光客は「写真を撮ろうよ!」と言われて笑顔でにっこり、ハイ、ポーズ!

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 中には一緒に踊り出しちゃう人も。だがこの楽しいひと時は長くは続かないという。

 「偽ミッキーは写真やビデオに納まった後、笑顔でその場を離れようとする観光客を相手に「金をよこせ」と、法外なモデル料を要求し始める」というのが、ボレッリ氏の主張である。

 彼によると、この偽ミッキーはロマ(ジプシー)[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%9E]でナイフを所持しているというのだ。

 ボレッリ氏は偽ミッキーに関する多数の報告や動画クリップを集め、地元警察に通報したという。

このような人間が市内の観光地で平然と行動し、ナポリのイメージを傷つけ、市民と観光客の間に恐怖の風潮を作り出すのを許すことはできません

 この偽ミッキーの正体は明らかになっていないが、いつも黒いウエストポーチを持ち、イタリア語でミッキーマウスを意味する「TOPOLINO」と書かれた被り物をして現れる。さらに彼は「ルボリーノ」という名前だという。

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実際に会った人から悪いミッキーじゃないと主張する声も

 この偽ミッキーことルボリーノ氏に関して、「実際に会った」という人たちは悪い人じゃないという声も多く上がっている。

 また、ナイフに関しても誤解があるようだ。ルボリーノ氏以外にもう1人、偽ミッキーがいてそっちのミッキーが悪いやつだという声も。

  • 2ユーロ(約324円)ならそれほど法外な金額ってわけでもないと思うけど
  • 彼は良いやつだったよ? そんなの大した金額じゃなくない? 僕は1ユーロ(約162円)払ったけど、彼は僕に千回くらい挨拶してくれたんだ
  • これは嘘だよ。彼は良い人で、ドイツで働いていたんだって。2回目に写真を撮った時、私は彼に2ユーロ払ったよ
  • 彼はロマじゃなくてナポリ人だよ、間違いない。僕は彼を知ってるんだ
  • クリスマスに彼と写真を撮ったけど、ナイフも持っていなかったし脅されることもなかった。何も問題なかったよ。そして彼のイタリア語はナポリ訛りだったよ
  • 彼は3年くらいトレド通りにいるけど、誰かがナイフに関する動画を投稿したんだよね。それが一気に拡散されちゃったんだ
  • 彼は5年くらいここにいるけど、ナイフで誰か脅したなんてことはないよね。確かにお金は要求するけど
  • 私の子供たちは彼と何度も写真を撮っているよ。彼はいつも優しくて、お金を要求されたことは一度もありません
  • これは報告すべきだよ。たくさんの人が彼と写真を撮っているけど、この動画で言われているようなことは起きていないよ
  • 僕はいつも彼に「お金は払わないよ」って言ってるけど、彼は別に何も言わないよ
  • 私が彼の横を通り過ぎた時、彼は私の手を掴んで来たから逃げたんだ。
    振り返ると、彼はずっと私のことを見てた。
  • 白い手袋をした偽ミッキーは良いやつで、黒い手袋は悪いやつなんだ
  • 実は2人いるんだ。同じコスチュームを着た外国人が、偽物の偽ミッキーをやってるんだよ
  • で、みんなが高額なお金を要求され、ナイフで脅されたっていうのに、今まで誰も通報すらしなかったの?それっておかしくない?

 確かにお金を要求されたという声もあるが、法外な金額ではなく、ルボリーノ氏が「悪い人じゃない」と擁護する声が多かった。

 ロマ説に関しては、彼の話す言葉の訛りが完全に地元民のものであり、ナポリに住むイタリア人で間違いないと断言する人も多い。

 ヨーロッパでは今もロマに対する偏見が根強い。実際にスリや物乞いをしているロマも多く、路上で悪さをしている者がいると、「ロマだ」と決めつけることも少なくないそうだ。

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「ナイフで武装している」のはデマだった?

 さらに、彼がナイフを持っているという証拠もない。この噂の元になったのは、1人の少女がTikTokに投稿した、「彼がナイフを見せて脅して来た!」というキャプション付きの動画だったらしい。

 だが後に彼女は、実際はナイフの件は「TikTokで見た話」だったと証言。問題の映像にもナイフは写っておらず、彼女は後に自分のアカウントを削除して、ネットから姿を消したという。

 つまり、ナイフで脅すという話はデマであり、後に誰かがルボリーノ氏にこの件に関して質問すると、「不愉快だったよ!」という返事が返って来たそうだ。

 このナポリの偽ミッキーに関する投稿はTikTokを中心に何十本もあるのだが、これまでにルボリーノ氏に対する苦情や通報は1件もなかったとのこと。

 とは言え、ネット上で一度拡散した噂は、訂正するのが非常に難しい。

本当に「50ユーロ(約8,090円)も要求された!」というコメントもあり、真偽を判断するのは困難だ。

 中には「別人のなりすましがいる」という声もあり、誰かが偽ミッキーのさらに偽物に成りすましている可能性もゼロではない。

 さらに噂によると偽ミッキーには2種類いて、黒い手袋をしているのは悪ミッキー、白い手袋をしている方は善ミッキーなんだとか。こうなるともう、都市伝説の一種のようだ。

果たして偽ミッキーは悪い人なのか?

 いずれにせよ、ルボリーノ氏が「いっしょに写真やビデオを撮ってお金をもらう」ことを生業としているのは事実だろう。さらに夢の国にいるミッキーの偽物となると、権利侵害の可能性も否めない。

 ナポリの治安を憂えたボレッリ氏は警察にパトロールを強化して、現行犯で捕まえるよう要請したという。

私は事実を明らかにするための調査を望みます。もし事実が明らかになり、彼が犯罪行為を行っていたのであれば、逮捕され処罰されるでしょう。

ナポリは、法を一切尊重せず、好き勝手なことができると考える連中の人質になってはいけないのです

 SNS界隈では、「ナイフを持った危険な偽ミッキー」が広がってからも、楽しそうに彼と一緒に撮影した動画を投稿する人が後を絶たない。

 こちらは「逮捕前のルボリーノ氏を見つけたよ! 保釈金を要求される前にご挨拶」とキャプションのつけられた動画。

[動画を見る]

 そしてこちらは、「彼がバズる3週間前にナポリで一緒に撮ったよ~」という、4人組の女性たち。

[動画を見る]

 彼のような「商売」をしている人たちは世界中の観光地にいる。写真を撮ったらお金を要求されるなんてのはまだ可愛いほうで、下手をするとどこかへ連れ去られたり、身ぐるみはがされると言った事件も起こり得る。

 インバウンドだオーバーツーリズムだと観光客が激増中の我が国でも、外国人から来た偽の僧侶[https://www.youtube.com/watch?v=eWUE5HtC2rw]が数珠やお守りを売りつける事件が起こっていたりする。

 ルボリーノ氏が本当に犯罪レベルでお金を脅し取っているのか、それとも海外の観光地によくいる、被り物のビジネスミッキーなのかはわからない。

 だが、通りすがりに出会った相手が善人か悪人かなんてとっさに判断できるものではない。特に海外や観光地では、みだりに近づいて来る人たちに気を許さない方が良いのは確かである。

[動画を見る]

References: MANIC MICKEY Urgent tourist warning as pics show Mickey Mouse pose with beaming fans – moments before launching horror KNIFE rampage[https://www.the-sun.com/news/13828974/tourist-warning-mickey-mouse-horror-knife-rampage/]

本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに独自の視点で情報を再整理・編集しています。

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