米空軍の新型ロボット「ヴェノム」遠隔操作で危険地帯を這いまわり先行調査

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 緊急事態から人命を守る切り札となるテクノロジーがついに登場!アメリカ空軍で「ヴェノム」の愛称で呼ばれている、この小さなロボは、狭くて危ないスペースにも入り込むことができ、命がけの現場での目や耳になることができるのだ。

 アメリカのロボット技術企業が手がけたヴェノムこと、Marten MK2 Proは、見た目こそ小柄でも機動力がありタフなため、災害などにも対応する兵士や警官、消防士にとっては頼もしい近未来型ロボットだ。

 人間に代わって活躍してくれる“小さな相棒”のすごい実力にせまってみよう。

空軍が導入した新しい小型ロボット「ヴェノム」

 アメリカのコロンバス空軍基地14thシビルエンジニア隊の一部門に導入された「ヴェノム(Venom)」は、アメリカのアップリンク ロボティクス(Uplink Robotics)社が手がけたリモコン操作で動くロボットで、製品名はMarten MK2 Proという。

 ヴェノムを迎えた部隊の任務は、基地のインフラ整備や維持に含まれる災害、緊急事態の対処や安全確保。つまり所属の兵たちは消防および緊急サービスを担当する。

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 なぜヴェノムという愛称を持つのかは説明されていなかったのだが、黒くてしなやかな体を持ち、どんな場所でも自在に動けることから、マーベルのダークヒーロー、元スーパーヴィランの「ヴェノム」にちなんでいるのかもしれない。

試されても実力発揮。初ミッションで大成功

 そんなヴェノムが実力を発揮したのはつい最近のこと。2025年3月18日に、ある基地の売店の地下で「不明な危険物」が見つかったとの通報が入った。

 そこで狭い所と偵察が得意なヴェノムがさっそく現場に行くことに。地下の下水道のような閉鎖空間に降ろされたヴェノムは、忍者のように狭いところもスルスル進み、足場の悪いところもなんのそので問題の現場に直行。

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 最終的に鮮明な映像データの送信までスムーズに対応できたそう。

 実はこれ、事前にちゃんと計画されたヴェノムの初ミッションだった。だが初めてにもかかわらず、ヴェノムはきちんと期待に応じた。

 地下への侵入から、機動性、モニタリング、記録などにいたるまで、この一連のテストで、操作やモニターを担当した兵たちもうまく連携できたため、ミッションは大成功で終了となった。

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 「これは複雑な機械ですが、計画は完璧でした」と語るのは消防検査官兼兵站担当官で、人命を危険にさらすくらいなら、ロボットを失う方がマシだというドナルド・ヴィッカリー氏だ。

私たちは何よりも安全のためにこうした手段を使います。人間を危険な目に遭わせることなく、このロボットを素早く展開できることは大きな安心につながります

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ダブルカメラで暗闇知らずのタフなヤツ

 見事にミッション完了したヴェノムだが、この小さなロボの注目すべき特長は以下のようなもの。

ダブルカメラシステム:1つは10倍ズームの1080pカメラで、肉眼でもとらえられない細部まで確認できる。もう1つは広角カメラでスムーズな操縦に貢献する

タフなボディ:鋭利なものに強く、耐久性も高いタイヤに、水にも強い設計。たとえ裏返ってもすぐに復帰できる

明るさアップのLED:暗い場所も明るく照らし、暗闇での視界ゼロを回避する

高い遠隔操作性能: 最大範囲750フィート(約230m)のワイヤレス接続で、余裕のリモート操作を実現

 これらの機能を備えたヴェノムことMarten MK2 Proは、人命を守るため、災害現場に駆けつける消防士や救助チームの危険度も大幅に軽減する。

災害現場以上。広範囲にわたる能力

 なお、こうした特長からもわかるように、このロボットは、災害現場の状況確認以上のことを成し遂げると見込まれている。

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 たとえば倒壊しそうな建物への接近調査、化学物質の漏洩場所の特定、さらには瓦礫の下の被災者捜索まで、さまざまな用途が期待できる。

 緊急時の対応にあたる救急隊や消防隊だけでなく、SWATチーム、警察署、エンジニアリング企業のほか、徹底した調査のために詳細な画像や映像を要する調査員、危険が伴う検査に赴く専門家にも役立つ可能性を秘めている。

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 さらに専用アプリでアップデートでき、新機能を追加することまでできる。つまり次世代のロボットにふさわしい、長期的な活躍まで見込める。

 つねに現場の最前線で、命がけの任務にあたる人のために働いてくれるヴェノム。これからは危険で過酷な現場でこの小さなロボットヒーローの大きな活躍が話題になりそう。

References: Interestingengineering[https://interestingengineering.com/military/us-air-forces-new-tiny-robot]

本記事は、海外で公開された情報の中から重要なポイントを抽出し、日本の読者向けに編集したものです。

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