子育てがしたくて石を温めていたハクトウワシのオス、激しい嵐の翌日に33歳で死去
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 子供が欲しくて、石を卵代わりに温め続けていたハクトウワシのマーフィーのことを覚えているだろうか。

 カラパイアではマーフィーのその後の様子をお伝えしてきた。

その後、孤児のヒナが託され、2羽のヒナを立派に成長させていた

 だが、2025年3月15日の早朝、激しい嵐と竜巻が来た翌日に、鳥舎で死亡しているのが発見された。33年の生涯だった。

 ハクトウワシ界きっての子煩悩なパパ・マーフィの突然の訃報に、これまで彼の子育てを見守って来た人々の間に、大きな衝撃が走っている。

嵐の翌朝、突然の死

 マーフィーが暮らしていたミズーリ州の保護施設World Bird Sanctuary[https://www.worldbirdsanctuary.org/](WBS)の周辺は、3月14日に激しい嵐と竜巻に襲われた。

 早朝、鳥たちの様子を見周りに来たスタッフたちは、頭に怪我を負い、倒れているマーフィーを発見。

 スタッフは必死の治療を試みたが、残念ながら回復することはなく、彼はそのまま息を引き取った。

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 獣医師による解剖の結果、マーフィーの死因は頭部に外傷を受けたことが原因である可能性が高いという。

 前日の嵐に驚いて止まり木から落ち頭を打ったのかもしれないと、スタッフは推測している。

マーフィーは私たちといっしょにいる間、数えきれないほどの嵐を経験してきましたが、今回の嵐が彼の死の一因となったのかもしれません。

彼のいた鳥舎にはほかに3羽のハクトウワシがいましたが全員健無事で、鳥舎自体に被害はありませんでした

 施設には鳥たちを悪天候から守るためのシェルターが用意されているが、今回の嵐では竜巻がこの地域に接近することはないとの予報がでていたので、スタッフは鳥たちを避難させなかった。

私たちは鳥たちの安全を守るために全力を尽くしていますが、私たちがコントロールできない事故も起こり得るのです

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石を温め、孤児のヒナを育てた父性愛あふれるハクトウワシ

 マーフィーについて知らない人のために、少し紹介しておこう。マーフィーは2007年に保護されて、この施設にやって来たハクトウワシだ。

 片目を失明していたことから、野生に返すのは無理と判断され、その後の余生を施設で送ることとなったのだ。

 2023年1月、マーフィーは突然、地面に落ちていた石を集めて自分の巣に持ち込み、まるで卵のように温め始めた

 マーフィーはオスだが、ハクトウワシは一夫一婦制で同じ相手と生涯つがいとして暮らす。子育ても夫婦そろって協力して行うため、オスも卵を温めるのだ。

 「石を温めるハクトウワシ」は施設のスタッフはもちろん、ネットやニュースでその様子を見た世界中の人々の間で大きな話題となった。

 さらにその後、孤児となったハクトウワシのヒナを里子として育て始めたことから、「最高の養父」としてその父性愛が人気を博すことに。

 多くのファンがSNSなどを通じて、マーフィーの子育て風景を見るのを楽しみにしていた。

 2023年5月、里子の23-126とのツーショット。マーフィーに見守られてすくすく育ったこのヒナは、同年7月、無事に野生へと帰っていったそうだ。

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 その後マーフィーは新たに24-159というヒナの養父となり、他の里親たちと協力してその成長を見守っていた。

 下は2024年6月に投稿された、マーフィーと二番目の里子の24-159。「親子」でゆったりふたり暮らしを満喫している。

 24-159は本来なら同年中に野生に帰されるはずだったが、羽をケガしていたため飛行訓練が先延ばしになっていた。

 だがどうやら羽も生えそろい、2025年の夏には、このヒナを野生に返す計画が進んでいた矢先の里親の死だった。

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突然の死を悼むメッセージが世界中から届く

 マーフィーの死のちょうど一週間前の3月8日、WBSでは30年以上飼育していたリバティという名のハクトウワシが亡くなったばかりだった。

 長年にわたりWBSのシンボルとも言える存在だったハクトウワシを、立て続けに2羽失ったことで、施設のスタッフや支援者たちは悲しみとショックを隠し切れないでいる。

 だが救いなのはマーフィーが一般的なハクトウワシの寿命をはるかに超えて生きていたことだ。

この悲劇的な損失を悼みつつ、私たちはマーフィーの33年の生涯が、一般的なハクトウワシの寿命である20~25年をはるかに超えるものであったことに感謝しています。

里親としての彼の忍耐力、精神力、献身的な姿勢は、世界中の何百万もの人々の心を動かし、特に彼と一緒に働く幸運に恵まれた人々に深い影響を与えました

 実はWBSでは、彼の死の1週間後の3月22日に、ライブ・イーグル・ショーを開催したのだが、そこにマーフィーの参加も予定されていた。

 彼と会うことが叶わなかったファンたちからは、たくさんのお悔やみのメッセージが届けられた。

  • こんなニュースを受け止める準備はできていなかった。パパ・マーフィを世界と分かち合ってくださってありがとうございました。スタッフの皆さんと同様に、私たちの心も痛んでいます。マーフィ、どうか自由に羽ばたいてください
  • マーフィー、あなたは最高のパパだった。そしてあなたは世界に、私たちみんなに、本当にたくさんのことを教えてくれました。
    あなたは美しい伝説です
  • とても残念です。彼が望んだ子育てができたことを嬉しく思います。彼はあなた方のもとで、とても良い人生を送ったと思います。愛するマーフィーのために尽くしてくれてありがとう。私は彼のことをいつまでも忘れません!
  • 本当に心が痛みます。マーフィーは愛にあふれた優しいワシでした。彼の突然の死をとても悲しんでいます。安らかに眠ってください。マーフィー、あなたは多くの人に愛されていました
  • 彼の死を知り、心が沈みました。私たちでさえこんなに悲しいのですから、彼と一緒に働き、世話をしてきたWBSのスタッフの皆さんがどれだけ悲しんでいるのかは想像に難くありません
  • マーフィーは素晴らしいワシでした。彼は私たちに多くのことを教えてくれました。胸が張り裂けそうなニュースですが、SNSを通じて彼を知る機会に恵まれたことを光栄に思います
  • 素晴らしい鳥です。
    オスのワシがヒナを育てるなんて知りませんでした。きっと人々に多くのことを教えてくれたのでしょう
  • ワシのカメラ映像をいくつか見てきましたが、オスのワシが子育てにとても熱心にかかわることに驚きました。他の怠け者な父親たちとは違いますね
  • 彼は長く美しい人生を送りました。岩を孵化させようとした物語で、私たちに大きな夢を持つように教えてくれたことを、私はいつまでも忘れません

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 WBSでは現在、傷ついたり孤児となったりしたヒナたちが、より自然に近い環境で育ち、野生での生活にすんなり戻れるようにするための広い施設を計画中だ。

 そのきっかけとなったのが、献身的にヒナたちの面倒を見るマーフィーの姿だったという。

マーフィーの里子になったのは、私たちの病院が10年以上ぶりに迎えたヒナたちでした。私たちは彼らいっしょにいるマーフィーを観察することで、ヒナたちのケアについて、そして彼らが必要とするスペースについて多くのことを学びました。

そしてそこから学んだことをもとに、私たちは傷ついたり孤児となった猛禽類に特化した特別な鳥小屋を設計したのです

 愛する里子24-159の巣立ちを見送れないまま世を去ったマーフィーだが、WBSではマーフィーの遺した遺産に敬意を表し、この新たな施設を「マーフィーズ・マナー」と名付ける予定だという。

マーフィーは深く惜しまれるでしょうが、彼の功績は、彼を愛した人々の記憶の中で生き続けるでしょう

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References: Abc7.com[https://abc7.com/post/murphy-beloved-bald-eagle-became-foster-dad-incubating-rock-dies-following-violent-storms-missouri/16075722/] / Theguardian[https://www.theguardian.com/us-news/2025/mar/23/murphy-missouri-bald-eagle]

本記事は、海外メディアの記事を参考に、日本の読者に適した形で補足を加えて再編集しています。

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