怪しすぎる渦巻き状の青白い発光物体がヨーロッパの夜空に出現!その正体は?
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怪しすぎる渦巻き状の青白い発光物体がヨーロッパの夜空に出現!...の画像はこちら >>

 2025年3月24日の夜、ヨーロッパ各地の夜空に、青と白に輝く渦巻き模様が現れて、数秒間にわたって空を移動する様子が見られた。

 多くの人が「UFOか?」「隕石では?」「新兵器かも」と、ビックリして空に釘付けになったこの現象だが、すぐにその正体が明らかとなる。

 それにしてもSF映画にあってもおかしくない光景だ。正体が分かった後でも、見た人はちょっとした異次元の世界に入り込んだ気持ちになっただろう。

夜空に突然現れた謎の青白く輝くスパイラル

 この青白い渦巻きが見られたのは、イギリスからスウェーデン、ポーランド、ハンガリー、クロアチアにかけての、ヨーロッパの多くの地域だ。

 突然出現した怪しく輝く渦巻きが、広がりながら頭の上を移動していく。

 こんな光景を目にしたら、おそらく誰だってUFOか超常現象か、あるいは天変地異かと、Xファイルめいた事案が頭をよぎっても仕方がない。

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 上は早送りにしたタイムラプスだが、リアルなスピードでも見てみよう。撮影場所はクロアチアのプラシュキ村で、防犯カメラの映像である。

 カメラは北を向いていて、謎の光は北から現れた後、南東へ向けて移動しているそうだ。この映像を投稿したサイモン・ミニカン氏によると、現象は約12分間にわたって続き、光が渦状になってから消えるまでは4分ほどかかったという。

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 下の動画はイギリスのリンカンシャーで撮影されたもの。クロアチアで見られたものに比べると、渦がはっきりするまでに時間がかかっており、高さや角度も違うのがわかると思う。

 渦は青白く光りながら夜空を移動し、だんだんと広がっていき、最終的には銀河系のような渦巻きになって、光も薄くなっていった。

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 場所によっては渦の形は見られず、光の筋のようなものが天空を移動していったところもあるようだ。

  ヨーロッパの人々、いや、世界中を驚かしたこの現象。さすがは誰もがスマホを持つ時代、多くの画像や映像がSNSに投稿され、その正体についてさまざまな憶測が飛び交った。

 UFOの襲来だ、いや政府が隠していた軍事兵器だ、異世界へのポータルだなど、夢やロマンをかき立てるものから陰謀論まで、荒唐無稽な議論があちこちで起こっていたのだが、真相はあっけなく判明した。

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渦の正体はスペースX社のロケット燃料

 この渦巻きの正体は、実はあのイーロン・マスク氏のスペースX社が、この日打ち上げたファルコン9ロケットの燃料だったのだ。

 ファルコン9は、打ち上げ後に切り離された第一段ロケットとフェアリング[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0]を回収し、再利用するシステムだ。

 今回、アメリカのフロリダ州にあるケープカナベラルから打ち上げられたこのロケットは、第一段ロケットを再突入させる際、重量を減らすために残っていた燃料を上層大気に投棄した。

 切り離された部分は螺旋を描きながら地球に落下していくのだが、この時放出された燃料が急速に凍結。太陽光を反射して、このようなスペクタクルな光景を作り出したんだとか。

 再突入の様子を紹介した動画があったので興味のある人は見てほしい。切り離された第一段ロケットは、落下しながら姿勢制御を行い、見事垂直に着陸する。

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その名も「スペースXスパイラル」

 ファルコン9による同様の現象は、これまでにも何度も発生しており、「スペースXスパイラル」という名称もつけられている。つまりある程度知られて来ている現象なのだが、やはり初めて見る人は度肝を抜かれてしまうようだ。

 下の動画は今回の打ち上げのものではないのだが、第一段ロケットが切り離された後、渦をまき散らしながら落下していく様子が1:50~58、2:15~20あたりにかけてはっきりと写っている(周囲の声がうるさいのでミュートがおススメ)。

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 実際にこの現象を目撃していたイギリス人のデイブさんは、その時の状況を次のように語っている。

最初はヘッドライトを点灯した飛行機だと思ったんです。突然ぼやけた感じがして、最初は「雲に入ったんだな」と思ったのですが、空には雲がないことに気づきました。

それでさらに1分ほど、ぼんやりした光を見ていたら、突然光が渦を出して回転し始めたんです。

YouTubeで見たことがあったから、すぐにスペースXだとわかったけど、他の人は不思議に思ったでしょうね。本当に宇宙人の仕業に見えたから

 スペースXスパイラルは、ファルコン9の打ち上げ時に毎回発生するわけではない。だが打ち上げの時刻や軌道などがわかっていれば、見えるであろう時間や場所をある程度予測することも可能である。

 しかし今回に限っては、米国政府の機密ミッションだったために、打ち上げの詳細は事前に公表されていなかったんだとか。

 なお、ファルコン9の打ち上げ時には、「トワイライト現象」と呼ばれる現象も良く観測されている。これも気象条件と運次第で、毎回見られるわけではないのだが、とても幻想的な光景だ。

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 今後の宇宙開発においては、再利用タイプのロケットが増えることが予想される。こういったSFチックな光景も、そのうちに珍しいものではなくなるのかもしれない。

追記:(2025/04/01)本文を一部訂正しました。

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References: Dying SpaceX rocket triggers giant spiral of light above UK and Europe during secret mission[https://www.livescience.com/space/space-exploration/dying-spacex-rocket-triggers-giant-spiral-of-light-above-uk-and-europe-during-secret-mission]

本記事は、海外で報じられた情報を基に、日本の読者に理解しやすい形で編集・解説しています。

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