
海岸線を歩いていると、遠い海の彼方からやって来た何かを見つけてしまうことがある。
ガラス瓶に入った手紙や宝箱なんかはロマンをかき立てるかもしれないが、時には得体のしれないクリーチャーや、近づいたら危険な物体が打ち寄せられることもある。
2025年3月、イギリスの海岸を散歩していたカップルが、不気味なクリーチャーらしき謎物体を発見した。
人間らしき頭部に魚のような下半身。あまりにも奇怪過ぎる造形物の正体は、いまだ判明していない。では撮影された画像を見ていこう。
散歩中に見つけた奇怪なクリーチャー
2025年3月10日、ポーラ・リーガンさんとデイブ・リーガンさんは、イギリスのケント州サネットの町、マーゲイドに滞在していた。
その日はとても天気が良かったので、2人はビーチを散歩して、モヤモヤした気分をスッキリさせようと考えた。
そして美しい海岸線を歩いていた時、砂浜に何やら異質なものがあるのを発見した。
ビーチには誰もいなかったので、それは本当に目立っていました。最初は奇妙な尾びれのようなものが見えたので、流木かアザラシの死骸かと思ったんです
ポーラさんが撮影した写真には、魚の尻尾とエイリアンのような胴体を持つ、木彫りのクリーチャーらしき物体が写っている。
私たちが近づいたとき、それは最高に奇妙なモノでした。いったい何なのか、どうしてもわからないんです。
頭は骸骨のように見えたけど、下半身の尻尾の部分はなんだかふやけていて柔らかくて。ぬるぬるした感じや腐敗した様子はありませんでしたが、本当に奇妙だったんです
そうこうしているうちに、謎物体の周囲には人が集まってきたが、その正体が何なのかわかる人は誰もいなかった。
船から落ちた何かではないかと考える人もいれば、人魚の彫刻のような船首像ではないかという人もいました。
ただ、写真に撮っておかなければ、誰も信じてくれないだろうということだけはわかっていたんです
その正体は日本発の「人魚のミイラ」?
ポーラさんの撮影した写真が公開されても、このクリーチャーの正体について、正解と思われる意見はなかなか出てこなかった。
さすがにエイリアンやUMA説を本気で論じる人はほとんどいなかったが、これといった決め手となる説を持ち合わせている人もいないようだった。
その中でも説得力があったのが、「フィジー人魚説」だ。
フィジー人魚とは、かつて日本で作られ海外に広まった、猿などの上半身と魚を繋ぎ合わせて作られた、いわゆる「人魚のミイラ」である。
日本国内ではお寺で大切に保存されているものが多いイメージだと思うんだが、かつてオカルト界隈では、その真贋が話題になっていたりした。
2023年には、倉敷市内の圓珠院というお寺で保管されていた人魚のミイラに対し、CTスキャンなどを用いた学術的な調査[https://www.kusa.ac.jp/news/2023/02/20230207mermaid.html]が行われた。その結果、このミイラは魚に詰め物をした工芸品であることが確認された。
ところがこの「作品」たち、19世紀に日本から海外に出回って、高値で取引されていたらしい。
当時はまだ、人魚のミイラを本物だと信じる人も多かったらしく、人魚のミイラは欧米で人気の「日本からの輸出品」としてもてはやされるように。
やがてこれが工芸品であることが理解されるようになると、アメリカなどでもさかんに製作されるようになったという。
海外での名称の「フィジー人魚」とは、「日本の富士諸島(?)近海で捕らえられた」という謳い文句で売られていたからだとか、「フィジー近海で捕獲された」からだとか言われているが、はっきりしたことはわからない。
とにかくこういったフィジー人魚は、当時欧米でエキゾチックな日本からの輸出品として、高値で取引されていたのは確かのようだ。
現在、日本国内では10体ほどが保存されている「人魚のミイラ」だが、海外のフィジー人魚は実はたくさん現存している。
どうやら人気のあまり量産された結果、手間暇かけて魚に詰め物をするのではなく、造形だけを真似した像も作られていたようだ。
もしかすると今回発見された謎物体も、日本の人魚にインスピレーションを受けて作られた作品だったのかもしれない。
References: Beachgoers baffled after finding skeleton-like figure with fins[https://nypost.com/2025/03/21/lifestyle/beachgoers-baffled-after-finding-skeleton-like-figure-with-fins/]
本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに重要なポイントを抽出し、独自の視点で編集したものです。