
スピード違反対策にしてもこれはない!と住民困惑。アメリカの町で警察が道路に引いた奇抜な車線、白と黄色の「うねうね車線」がメディアの注目を浴びている。
まるで錯視のような車線が登場したのはペンシルベニア州モンゴメリー郡の町にある一般道だ。そこは以前からスピードを出し過ぎる車が多く、危険であると住民たちも頭を悩ませていた。
そこで登場したのがこのうねうね車線だ。警察によると、波打つように曲がったラインは、車に減速をうながす設計で、交通安全に役立つという。
ところが肝心の住民の間ではすこぶる不評で「目ざわり」「ほかにやり方あるでしょ!」「ふざけてるの?」との声も。
これはドライバーにとっては運転しづらいだろう。スピード違反は減っても衝突事故が増えるかも知れない。
うねうねが過ぎる!曲がりくねった車線で速度を抑制
パッと見「ジョークでは?」と疑いたくなる奇妙な車線。モンゴメリー郡の町の通り、グレイズレーンに引かれたうねうねラインにとまどいを隠せないのは住民たちだ。
この線を採用した警察によると、これは住民から寄せられる「車がビュンビュン飛ばして危ない」という声に応じた結果の対策であり、ドライバーに注意を促すことで減速が見込まれるという。
地元警察は車線を引いた2025年3月29日にFacebook[https://www.facebook.com/MontPolice/posts/pfbid0WNzpn1nHNr579rSQgo1yooowE2qpgfQKXwqJDdgLTc1z7GacctjtQKpdUR4WpDVDl]でこう発表した。
グレイズ・レーンが 「高速道路 」と化していることについて、住民から多くの苦情や懸念の声が寄せられたため、このような交通緩和策の導入が決まりました
交通技術者、道路安全管理官、公共事業担当者との長時間にわたる協議によるもので、今日午後から路上で新しい車線の警告を実施します
これで減速?効果に疑問の声
つまり物理的な障害物抜きでスピードを抑える試みだが、多くの人がその効果に疑問を抱き、こんな意見が集まってきた。
- こんな線あってもこっちはまっすぐ運転するだけ
- ここの警察の人はスピードハンプをご存じないのか?
- 最初は何かの風刺だと思った
- 車線を見ながら運転したら事故りそう
- 今まで見たなかでも一番おかしい
- まず見た目がひどい、異次元感がすぎる
- 新しい試みは応援したいとは思うが…
ちなみに スピードハンプとはいわゆる減速帯の1種で、道路の路面に出っ張った段差を作り、車の速度を強制的に落とす仕掛けだ。日本でもモールの駐車場の手前などに使用されている。
警察は視線誘導標を追加で設置
一方、警察は住民からの多くの意見にこう応じている。
多くのご意見にお答えします。当局はこの緩和策が有効であると確信しています。
これは正当な予防措置です。道路安全管理官と交通技術者が、地域住民の安全確保にこの措置が役立つと判断しました
そして今度はこの道路に視線誘導標(デリネーター)[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%96%E7%B7%9A%E8%AA%98%E5%B0%8E%E6%96%BD%E8%A8%AD]を追加すると発表した。
路側に車のライトを反射するデリネーターを設置して、夜間や視界が悪い状況でもドライバーを正しく誘導し、安全性を向上させるという。ということは、このうねうねラインは今後も消さず、使い続けるってことらしい。
事前通知なしの施工に変更を望む声も
そもそもこの車線について、警察からあらかじめ説明などはあったのだろうか。アメリカメディアCBSによると、現地ではこの道路への非難と変更を望む声も上がっているという。
住民の1人、マイク・ディロレンゾさんは「住民への事前通知などなかった」として、警察の対応に不満を述べている。
警察がいきなり来てこんな車線を引きました。近所の人も、家から出たときそれを目にして、何事かと聞いたぐらいです。みんなそこで初めて知ったのです。しかもこれじゃない。
他の選択肢にすべきだったと思います
これで喜んでる人なんていませんよ。今はみんな線を無視して走ってます。だいたいこんな無駄金使わないで他のことに回してほしい。別の解決策を考えなさいよ!
(ローレン・チェスタートンさん)
目障りだと思う。ばかげてる。これで減速するとは思えない。スピードバンプのほうが効果があったと思う
(ウィリアム・キングさん)
見た目におかしいでしょ。こんなの何年経っても慣れるわけない。これで効果あるなら考えてもいいけど
(アシュリー・ワイコフさん)
変わった車線の効果は?
スピードハンプ(またはバンプ)はヨーロッパなどではよく使われるが、日本では「通った時の音がうるさい」「振動が気になる」「車に影響が出る」といった苦情もあるそう。
今回のようにドライバーの視覚に頼った減速への誘導方法は、そういう意味では静かだ。
とはいえ変わったデザインの車線は、最初のうちは物珍しさで慎重になるが、慣れると無視され、長期的な効果にならないという声もある。
カラパイアでも前にフランスの迷路みたいな白線の車線をお伝えしたが、そっちも不評で効果はちょっとわからない。
さて今回のこの町の対策はどうだろう?動画ではもう線の上を走ってる車がちらほらあったけど、デリネーターがついたらまた変わるのかな?
住民の安全のためと言いつつも、近隣住民への予告もなしの変更もどうかと思うが、住民と警察の双方が納得するより良い解決策が生まれることを願いたい。
References: Vice.com[https://www.vice.com/en/article/us-town-painted-squiggly-lines-on-the-road-to-prevent-speeding/] / Cbsnews[https://www.cbsnews.com/philadelphia/news/road-design-montgomery-township-grays-lane/]
本記事は、海外の記事を参考にし、日本の読者向けに独自の考察を加えて再構成しています。