
ルーマニア北東部のネアムツ県の森林地帯で、約5000年前の要塞が発見された。LiDAR技術を搭載したドローンが、肉眼では見えない遺構を明らかにしたのだ。
長らく厚い樹木に覆われていた地形から最新技術でうかがい知れたのは、かつての人類が築いた大規模な防御施設だ。この要塞は、新石器時代から青銅器時代への移行期に建設されたと考えられている。
その取得データから、この要塞が精巧な設計に基づき、計画的かつ多大な労力をかけて築かれたことまで推測できるという。
考古学に革命を起こすLiDAR技術
自然は人間が作り出したものなどあっという間に覆い尽くしてしまう。それゆえに古代遺跡の発見には困難がつきものだが、人類には科学技術という強力なツールがある。
今回ルーマニアで考古学者が利用した科学技術は、「LiDAR(ライダー)」を搭載したドローンだ。
今や一部のスマホにも採用されるLiDARは、光を利用したレーダーのようなもの。
レーダーは電波を飛ばし、反射されて戻ってきたものを解析して、物体の位置や距離を割り出す仕組みだが、LiDARは光のビーム(レーザー)で同じことをする。
悪天候に弱いといった弱点もあるが、レーダーよりもずっと高精度な測定が可能で、物体の形状を立体的に捉えるのを大の得意としている。
このLiDARの高精度スキャン性能は、考古学に革命的な成果をもたらしており、これまでも7000近いマヤ文明の建造物や、アマゾンに埋もれていた2500年前の古代都市など、数々の大発見があった。
今回ルーマニア北東部ネアムツ県の森林で発見された要塞は、その最新の成果だ。
新石器時代から青銅器時代への移行期の要塞
考古学者ヴァシレ・ディアコヌ氏らは、LiDARを搭載したドローンをうっそうと茂る森の上空に飛ばし、地上をスキャンした。
その結果、「ほぼ5000年前の防衛施設の忠実な画像を取得することができました」と、同士はfacebook[https://www.facebook.com/geocadservices/posts/pfbid0FGTye41Qck4JE3G1bZ789m12ohFYy5bb1ZnrLTFAh1Kgq3cNfE4HuoheLSTdJkgtl?rdid=iPCXucD8PTqespAH]で述べている。
この要塞は、新石器時代から青銅器時代への移行期に築かれたと考えられている。
取得されたデータから、要塞は戦略的に高台に築かれていたことがわかった。周囲には堀(ほり)や盛土が施されており、防御力を高める工夫が随所にみられる。
現地での測量によると、堀の長さは数百mにも及び、大規模な人力によって建設されたと推定されている。
この発見は、当時の人々がすでに高度な土木技術と組織力を持っていたことを示している。ディアコヌ氏は「現代技術を使わなければ、これほど複雑な遺構の全体像を理解することは難しかっただろう」と強調している。
大半の要塞は見晴らしのいい高台にあり、堀や土塁によって防御力を高めていたことがわかりました
測量の結果、堀の中には数百mもの長さがあるものもあり、建設には相当な労力が必要だったろうことがうかがえます(ディアコヌ氏)
一体誰が、誰から身を守るためにこのような要塞を築いたのか? 詳しいことは今後の調査で明らかになるかもしれない。
References: Popularmechanics[https://www.popularmechanics.com/science/archaeology/a64174672/5000-year-old-fortress-romania/] / Facebook[https://www.facebook.com/photo/?fbid=1262545975501665&set=a.552763019813301]
本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに重要なポイントを抽出し、独自の視点で編集したものです。