
イギリスの小さな村で、外来種のタカ科、モモアカノスリ(英名:ハリスホーク)が数週間にわたり、急降下しては住民たちを襲い続けるという事件が多発していた。タカによるハラスメント事案、タカハラだ。
推定50人以上が攻撃を受け、郵便配達も一時中断する事態に。だがついにこの事件に終止符が打たれた。
タカと同じ名前を持つ住民のスティーブ・ハリスさん(40歳)が捕獲することに成功したのだ。1羽の鳥に翻弄された村の物語を見ていこう。
1羽のタカが住民たちを次々と襲う
イギリス・ハートフォードシャー州の小さな村フラムステッドでは、ここ数週間にわたって異常事態が発生していた。
住民らが散歩や買い物中に、突如として猛禽類に襲われるという事件が相次いだのだ。
攻撃を繰り返していたのは、アメリカ南西部からチリ南部、アルゼンチン中央部に分布するモモアカノスリ[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%A2%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%83%8E%E3%82%B9%E3%83%AA]。英名ではハリスホークという外来種で、本来イギリスには生息していないタカだ。
この鳥は何らかの事情で飼育施設から逃げ出したと見られており、住民や専門家によると推定50人以上が襲撃を受けたという。
75歳のジム・ヒューイットさんは買い物途中に後頭部を「バシッ」と叩かれるような衝撃を受け、出血し、病院で治療を受けたという。
タカと同じ名前を持つ男性が立ち上がる
最も危機感を募らせていたのは、この村で暮らすスティーブ・ハリスさん(40歳)だった。皮肉にも、ハリスホークと同じ「ハリス」という名前を持つ彼の家の庭に、そのタカは巣を作っていたのだ。
「毎朝、木の上にいる姿を見ていた。だんだん人に慣れて、より攻撃的になっていった」と語る。
子どもたちは裏庭で遊ぶことができず、彼自身もランニング中に追いかけられたほどだという。
「昨日は車に乗ろうとした時に頭を叩かれた。もう限界だった」と振り返る。
ハリスさん、ついにハリスホークを捕獲
決着がついたのは2025年4月3日の朝だ。
いつものように鳥が彼の庭の物置小屋に飛んできた時、スティーブさんは用意されていたケージを手に取り、ついに捕獲に成功した。
「鳥との距離が約30cmになった時に思い切ってケージをかぶせた」と話す。声を上げて助けを呼ぶと、地元の鷹匠アラン・グリーンハルシュ氏が駆けつけ、鳥の動きを封じ込めた。
グリーンハルシュ氏によれば、「若くてホルモンの影響を受けやすいオスで、それが攻撃性の原因かもしれない」とのこと。また村人たちがエサでおびき寄せようとしたため、「体が樽のように太っていた」とも語った。
その後、このハリスホークは別の鷹匠であるウェインさんによって保護されている。
足についていた革製のタグは乾燥しており、1年以上野生で生きていた可能性があるという。
なお、近隣のウィップスネイド動物園は「当園の鳥ではないし、ハリスホークは本来、人間に敵意を持つことはない」と話した。
村ではスティーブ・ハリスさんの行動が称賛されており、フラムステッド村議会も「迅速で安全な対応だった」と感謝の意を示した。
このハリスホークがなぜこんなに執拗に人間を襲撃するようになったのか、その理由は正確にはわかっていないが、鷹匠のところで適切に愛情をもって飼育されればおとなしくなるのかな。