
野生動物との共存は、地域社会にとって大きな課題だ。アメリカ、アラスカ州の都市、アンカレッジでは、人間の居住区にハイイログマが出没し、食べ物を狙ってゴミ箱を荒らすケースは珍しくない。
そこで衛生当局は、動物園で飼育されているハイイログマ(グリスリー)たちに協力してもらい、クマ対策用のゴミ箱を持ち込み、徹底的にテストしてもらった。
公開された映像では、ハイイログマがゴミ箱と格闘している姿を見ることができる。クマ的にこのゴミ箱の耐久性はどれほどだったのか?さあ、見てみよう。
動物園のクマに実際にゴミ箱の耐久性を試してもらう
2025年4月7日、アメリカ・アラスカ州の都市アンカレッジの動物園で、ユニークな実験が行われた。
実験を行ったのは、アンカレッジ市の「アンカレッジ廃棄物サービス局」の職員たち。彼らは、ハイイログマ(グリスリー)が街中のゴミ箱を荒らす問題に対応するため、特別に設計された「クマ対策ゴミ箱」の実力を確認しようとしていた。
この実験のために協力したのが、「アラスカ動物園」だった。動物園に住む本物のハイイログマたちにゴミ箱を与え、その耐久性を確かめるという、まさに“本番さながら”のテストだ。
あらゆる方法でゴミ箱を開けようとするクマ
実験の様子を撮影した映像の中では、クマたちが力いっぱいゴミ箱に挑み、前脚で叩いたり、歯でこじ開けようとしたりと、あらゆる方法で中身を狙っていた。
中にはゴミ箱を破壊してしまうクマもいたほどで、その力の強さと賢さに驚かされるほどだ。
特に春先から秋にかけて、冬眠に備えて大量のエネルギーを必要とするクマは、効率よくカロリーを摂取できる人間のゴミやペットフードを狙うようになる。
このような行動は、野生動物にとっては自然なことであり、食料を探すための「掘る・開ける・壊す」といった行為は日常的だ。
しかし、都市部でゴミ箱をあさるようになると、人間との距離が近づき、事故やトラブルの原因になってしまう。
ゴミの管理が最終的にクマを救うことに
アラスカ州の「アラスカ魚類・狩猟管理局」は、ゴミやペットフードなど、クマを引き寄せる可能性のあるものは、しっかりと密閉し、安全な場所に保管するよう、住民に対して常に注意を呼びかけている。
なぜなら、一度人間の食べ物に味をしめたクマは、その後も人間の生活圏に現れるようになり、最終的には人間の安全のために「殺処分」されてしまうケースもあるからだ。
今回のような実験は、野生動物と共に暮らす地域にとって重要な試みだと言える。耐久性の高いゴミ箱を導入することで、クマを人間の生活から遠ざけ、両者の安全を守ることができるのだ。
実験の映像は以下の動画でみることができる。
映像を見る限り、クマはゴミ箱を開けようと様々な手段を講じており、ぐにょっと変形したものの、蓋が開いたり、中身が放り出されることはなかったようだ。
それでも1頭のクマはこのゴミ箱に執着していて、もう1頭のクマがくると「これは俺の物だ」と言わんばかりに威嚇していたようだが。
都市と野生の境界があいまいになりつつある現代社会。動物と人間が安心して共存するための技術と知恵が、今まさに求められている。
References: Adfg.alaska.gov[https://www.adfg.alaska.gov/index.cfm?adfg=livingwithbears.main] / Alaskasnewssource[https://www.alaskasnewssource.com/2025/04/05/sights-sounds-bears-vs-trashcans-alaska-zoo/]
本記事は、海外の情報を基に、日本の読者向けにわかりやすく編集しています。