こ、これは!マヨルカ島のビーチを青く染めた大量の生物の正体とは
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 2025年3月29日の朝、地中海に浮かぶリゾートアイランド、スペインのマヨルカ島のビーチが大量の青い物体に覆われた。

 まるで青いカーペットを敷き詰めたような波打ち際。

なんとその正体は、「カツオノカンムリ」という群体性クラゲの仲間だ。

 カツオノ…と聞くとすぐ頭に浮かぶのが、悪名高い「カツオノエボシ」だが、カンムリもエボシと同様に強い毒を持っているそうだ。

 マヨルカ島当局では、見かけても不用意に触れないよう、ビーチを訪れる人々に注意喚起している。

ビーチを埋め尽くす青いクラゲ

 マヨルカ島はスペインに属しており、地中海西部のバレアレス諸島最大の島である。「地中海の宝石」とも呼ばれており、スペイン王室ご一家もバカンスに訪れる人気リゾートだ。

 ビーチはもちろん、古代ローマ帝国やムーア人の遺跡など、観光スポットもたくさんある。そんなマヨルカ島のビーチが、週末の朝真っ青になっていたわけだ。散歩でもしようと海岸を訪れた人々もビックリ。

 北アフリカのマリ出身のジェイク・ブリットさんもその一人で、ビーチの様子を撮影してFacebook[https://www.facebook.com/groups/92123240569/user/100007589319257]に投稿した。

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正体は「風まかせ」の異名をとるカツオノカンムリ

 この物体の正体は、「カツオノカンムリ」という群体性クラゲの一種である。世界中の温帯の海に生息していて、水面に出ている帆のような部分を使い、風に吹かれて移動する。

 その様子から英語では「sea raft(海のいかだ)」や「by-the-wind sailor(風まかせの船乗り)」といった別名を持つ。

 また、マヨルカ島ではスペイン語で「聖ペテロの船(Barquetes de Sant Pere)」とも呼ばれているそうだ。

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 この現象、実はこの時期のマヨルカ島では珍しいことではないらしい。

 いや、マヨルカ島だけに起こるものではなく、世界中の海岸で、カツオノカンムリは文字通り「風に吹かれて」海岸に打ち寄せられ、ビーチを青く染めているのである。

 とは言え、今回はとにかく流れ着いた量が多いため、夏の観光シーズンを前に、マヨルカ島当局は早急にビーチを片付けるために動いた。

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 みずみずしい青いクラゲも、あっという間に乾いて白い物体に。トラクターでこの死骸を片付けた後、海岸には新しい砂が敷かれたが、まだビーチには悪臭が漂っており、周囲のレストランは商売にならないようだ。

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日本を含め世界各地で同じ現象が多発

 今回は同じ時期に、アメリカのカリフォルニア州北部にあるボリナスビーチや、カナリア諸島のグラン・カナリア島のビーチ(下の映像)にも漂着。

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 さらに日本の沖縄県東村宮城の海岸にも、このカツオノカンムリが大量に流れついてニュースになっている。

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カツオノエボシと同様、毒があるので注意

 カツオノカンムリはヒドロ虫綱に属する群体性クラゲで、ギンカクラゲの近縁種である。かつてはカツオノエボシと同じクダクラゲ目の仲間とされていたこともあるようだが、近年は花クラゲ目に分類されているそうだ。

 一見するとカツオノエボシとよく似ているが、カツオノエボシの触手は10~50mにもなるのに対し、カツオノカンムリは1~7cmと短い点が決定的な違いだ。

 下はマヨルカ島の隣に位置するメノルカ島で撮影された、海面にぷかぷか浮かぶカツオノカンムリの映像だ。

 水面に出ている帆の部分の形や、触手がかなり短い点が、カツオノエボシと違うことがわかると思う。 

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 ちなみに下は、アメリカのノースカロライナ州の海岸に流れ着いたカツオノエボシだ。こうして比べてみるとけっこう違うね。

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 両方とも触手に強い毒がある点は共通しており、打ち上げられた死骸にも毒が残っていることがあるそうだ。

 幸いというかなんというか、ぱっと見カツオノエボシに似ているので、「これ、毒があるヤツじゃね?」という危機センサーが働いてくれるはず。

 これからの季節、黒潮に乗って日本近海にやってくることも多いそうだ。もし海岸などで見かけても、安易に触らないよう注意しよう。

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