
カナダで、かつて北アメリカ大陸に生息していた、先端が丸いこん棒のような尾を持つ恐竜、アンキロサウルス類(鎧竜類)の新種の足跡の化石が発見された。
特徴的なのはこの足跡が「3本指」だったことだ。
「Ruopodosaurus clava(ルオポドサウルス・クラヴァ)」と名付けられた新種の発見は、これまで空白期間とされた1億~9400万年前の白亜紀中期において、アンキロサウルス科が北米大陸で健在だったことを伝えている。
北米初!3本指のアンキロサウルス類の足跡の化石
ジュラ紀中期から白亜紀末期まで生息していた「アンキロサウルス類(鎧竜類)[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8E%A7%E7%AB%9C%E9%A1%9E]」は、がっしりとした4本脚と、戦車のように頑丈な装甲を特徴とする恐竜の仲間だ。
このグループには、大きく分けて2つの系統が存在する。1つは「ノドサウルス科」で、しなやかな尾と4本指の足を特徴とする。
もう1つがこん棒のような尻尾を特徴とする「アンキロサウルス科[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%AD%E3%82%B5%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%82%B9]」で、こちらはノドサウルス科とは違い3本指である。
今回、カナダのブリティッシュコロンビア州タンブラーリッジと、隣接するアルバータ州北西部の山岳地帯2か所で発見された足跡は、アンキロサウルス科の特徴である3本指だった。
これまで北米で見つかっていたアンキロサウルス類の足跡は、指が4本のノドサウルス科のものばかりだった。
王立ブリティッシュ・コロンビア博物館をはじめとするチームは、アンキロサウルス科のものとしては、北米初となる足跡の化石であると発表した。
全長5~6mの新種、こん棒を持ったごつごつしたトカゲ
発見された新種は「Ruopodosaurus clava(ルオポドサウルス・クラヴァ)」と命名された。「ルオポドサウルス」は「ごつごつした山のトカゲ」を意味し、発見場所である山岳地帯の地形にちなんでいる。「クラヴァ」はこん棒やメイスの意味で、この恐竜が尾に武器を持っていたことを示している。
足跡だけは残してくれたルオポドサウルスだが、くわしい姿はよくわかっていない。だが全長5~6mほどの体は、スパイクと装甲で武装され、尻尾は硬直しているか、尾の先端に大きなこん棒状の骨塊ががあったと考えられるという。
“化石空白期”を埋める足跡の化石
北米では約1億~8,400万年前のアンキロサウルス科の骨格がほとんど見つかっておらず、「絶滅期説」すらあった。
今回の足跡はその空白期に鎧竜が生存していた動かぬ証拠であり、同じアンキロサウルス類(鎧竜類)のノドサウルス科とアンキロサウルス科が共存していた事実も示す。
山岳地帯に露出した白亜紀地層には未調査の足跡面が多数残っており、さらなる発見が期待されている。今後の調査で北米大陸に生息していた恐竜たちのことをより深く知ることができそうだ。
この研究は『Journal of Vertebrate Paleontology[https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/02724634.2025.2451319]』(2025年4月14日付)に掲載された。
References: Full article: A new thyreophoran ichnotaxon from British Columbia, Canada confirms the presence of ankylosaurid dinosaurs in the mid Cretaceous of North America[https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/02724634.2025.2451319] / World’s first club-tailed dinosaur footprints found in Canada[https://cosmosmagazine.com/history/palaeontology/first-club-tailed-dinosaur-footprints/] / Footprints of tail-clubbed armored dinosaurs[https://www.eurekalert.org/news-releases/1080217]
本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに独自の視点で情報を再整理・編集しています。