近所の家から次々と園芸用手袋が消える事件、犯人は手袋コレクターの猫だった!

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 ドイツ西部の市、ラーティンゲンで、過去2年間にわたり園芸用の手袋が消えるという怪事件が発生していた。住民たちはなぜ手袋だけなくなるのか、原因が分からず、困惑していた。

 そんな中、ある女性がついに犯人を突き止めた。自宅の玄関マットの上に、見覚えのない園芸用の手袋が無造作に置かれていたのだ。手袋は日を追うごとにその数は増えていった。

 そう、この女性の飼っている猫こそが、園芸用手袋連続窃盗犯だったのだ!

園芸用の手袋だけが消える、静かな事件の始まり

 ノルトラインヴェストファーレン州のメットマン地区にあるラーティンゲン市ではここ2年ほど、静かな住宅街でちょっとした異変が起きていた。

 庭仕事の後、置いておいたはずの園芸用手袋が忽然と姿を消す。そんな不思議な出来事が、住民のあいだでじわじわと話題になり始めていた。

 手袋の盗難は特定の家に限らず、町内のあちこちで発生していた。他にもいろいろ置いてあるのになぜか手袋だけがなくなるのである。

 住民たちは困惑しながらも手がかりをつかめず、事件は未解決のまま時間だけが過ぎていった。

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手袋を集めていたのは飼い猫だった!

 この謎の事件にいち早く気づいたのが、住民のひとり、ドロタ・ガリツァさんだった。ある朝、玄関のマットの上に、使った覚えのない手袋が一組、ぽつんと置かれていたのだ。

 最初は誰かの落とし物かと思ったが、次の日もまた手袋が、そしてさらに次の日にも…。

 次第に「これは何かがおかしい」という直感がガリツァさんの中に芽生えた。彼女はこの不可解な“配達”の送り主を突き止める決意を固める。

 ある夜、ついにその正体が明らかになる。ガリツァさんが窓越しに目撃したのは、自分の飼い猫、ミラが口に手袋をくわえ、得意げに家へ戻ってくる姿だった。

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 最初は手袋を口にくわえて運んでいる愛猫の姿を微笑ましく思っていたが、その後何度も何度も手袋を運んでくるではないか。

 ミラは夜な夜な近所を歩き回り、住民たちが置き忘れた手袋をこっそりくわえて自宅へ運んでいたのだ。

 証拠を残さず手際よく犯行を重ねる姿に、ガリツァさんは呆れるやら笑うやら。

 ミラの“戦利品”は、色とりどりの片手袋や両手揃いのものまで数十組にのぼり、自宅の一角はまるで手袋の博物館のようになっていた。

 ミラはどうやら園芸用手袋のみに興味があるコレクターだったようだ。

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飼い主、犯人が飼い猫であることを名乗り出てSNSで謝罪

 ガリツァさんはこれだけの数の手袋を目にして、さすがにこのままにしているわけにはいかなくなった。明らかに猫による窃盗であり、飼い主であるガリツァさんの責任である。

 ガリツァさんは、SNSに謝罪の投稿を行った。ミラの写真とともに、「もし手袋が無くなって困っている方がいれば、うちにあります。犯人はこの子です」と正直に告白したのだ。

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 お叱りを受けるのを承知で謝罪したガリツァさんだったが、住民たちの反応は、驚くほどやさしかった。

 「うちの手袋も、もしかしてこの子が?」「猫ってネズミじゃなくて、手袋も捕るのね」投稿にはユーモアあふれるコメントが次々に寄せられ、ミラは一躍、地域で有名な泥棒猫となった。

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現在自宅は「手袋返却センターに」

 現在、ミラが集めた手袋は、SNSを通じて希望者に返却しており、自宅は今や“手袋返却センター”と化している。

 ドイツでは外と家の中を行き来させる飼い方が一般的だ。本能的に外に出たがっている猫を閉じ込めることを好ましく思わない考えを持つ人も多い。

 ガリツァさんはミラを家の中に閉じ込めておくつもりはないため、好きな時に外出させるため、ミラの収集癖は今後も続いていくことだろう。

 近所の人にも知れ渡っており、ミラはもはや公認の「手袋収集家」としての地位を確立したようだ。

 手袋をめぐる小さな事件は、誰かを傷つけるものではなかった。

 それどころか、ラーティンゲンの住民たちに笑顔とコミュニティーのつながりをもたらした。

 猫のミラは今も変わらず、夜になると小さな冒険に出かけているのかもしれない。そして明日の朝もまた、玄関にこっそりと手袋が届けられるだろう。

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