ハリケーンで家を失った女性のために、地元の高校生が家を建ててプレゼント

ハリケーンで家を失った女性のために、地元の高校生が家を建てて...の画像はこちら >>

 2024年9月にアメリカ南部を襲ったハリケーン、ヘレンを覚えているだろうか。カテゴリー4という、非常に強い勢力を保ったまま米国本土に上陸し、甚大な被害をもたらしたハリケーンである。

 死者251人、被害総額は合計で約23兆円にも達するとも言われ、家を失った人々の中には、いまだに生活を立て直せないでいる人もいる。

 そんな中、地元の高校生たちが、新しい家を建ててプレゼントするというプロジェクトを開始した。その第一弾が、2025年5月中に完成する予定だという。

流された自宅の敷地でキャンピングカー生活を送る被災者

 ノースカロライナ州ヤンシー郡の街バーンズビル郊外にあるシェリー・ハウズリーさんは、ハリケーン・ヘレンがもたらした壊滅的な被害で家を失った1人である。

 彼女は家を失ってから約半年間、瓦礫と化した自宅の敷地で、キャンピングカーでの生活を余儀なくされていた。

私は近くに住む姉妹の家に避難していて、そこで1週間足止めされました。ハリケーンが去った後、5.6kmを歩いて自宅にたどり着いたら、そこにあった私の小さな家はなくなっていたんです。

建物の裏には、近所の人の車がありました。街中から流されて来た郵便受けもありました。以前はここになかったものが、庭で山積みになっていました。本当にショックで、胸が張り裂けるような、悲しみと喪失感でいっぱいでした。

自宅の基礎に残っていたコンクリートブロックの上に座て、「どこに行けばいいの、この事態にどう対処すればいいの?」と考えていたのを覚えています

 シェリーさんはアーティストで、自宅にスタジオを構えて彫刻をしたりジュエリーを作ったりしていたが、それもすべて破壊され、跡形もなく流されていた。

 絶望したシェリーさんは、それでも自宅の敷地を離れる気にはなれなかった。

このままキャンピングカーの中で、余生を過ごす覚悟もしたという。

[画像を見る]

地元の高校生が家を建ててプレゼントすることに

 そんな彼女に、救いの手が差し伸べられることになった。地元バーンズビルにあるマウンテン・ヘリテージ高校の上級生たちが、家を失った人たちのために小さな家を建てるプロジェクトを開始したのだ。

 同高校で上級大工クラスを教えているジェレミー・ドット先生は、次のように語っている。

地域の中で、ハリケーンの被害を直接受けた人たちのために家を建てられる機会があると聞いたとき、生徒たちはすぐに反応しました。

それは、このプログラムがうまくまとまって動き出す上で、本当に欠かせない要素だったんです

 実際に再建に携わっている生徒たちも、大きなやりがいを感じているようだ。

  • 僕はただ助けたい。自分のコミュニティに戻って、ハリケーンで失ったものを取り戻す手伝いをしたいんです
  • (今作っている)この家が完成して、住む場所のない誰かの家になることを想像すると、すごく嬉しいです
  • 学校を通じてだけでなく、自分ではどうすることもできない人たちを助けることで、困っている人の生活を助け、その人の人生を変えることができると思うと、とても誇らしい気持ちになります

[画像を見る]

費用は寄付で賄われることに

 再建にかかる費用は、ハリケーン・ヘレンの被災地の復興を目指して設立された、ホラーズ再建財団[https://rebuildinghollers.org/]によって賄われるという。

 またこのプロジェクトのために、テレビのニュース番組を通じ、建材や床材のメーカーから合計23,000ドル(約337万円)相当の資材が提供されたそうだ。

 現在シェリーさんの新しい家は、高校の中で再建が進められている。完成した暁には、シェリーさんの自宅の敷地に運んでそこで組み立てられるとのこと。

[画像を見る]

 彼女はこの土地で生まれ育ち、自宅は両親から相続したものだった。だからこそ、泥や瓦礫に覆われていても、他の場所で暮らすことは考えられないのだ。

 高校生たちが支援に立ち上がる姿を見て、打ちのめされていた彼女の気持ちにも変化が現れた。

この美しい山々…私が生まれ育った場所で、またこうして立ち上がることができて、本当にうれしく思います。私はこの山の一部なんです。

あのときは水に飲み込まれたけれど、今は天使たちに包まれています。この地域には、本当に素晴らしい若者たちがいるんです。このコミュニティには、希望があります。そして彼らは今、まさにその力を発揮してくれているんです。

もう、ここに美しさが戻ってきているのが感じられます。まるで花が咲き始めて、緑がよみがえってきているみたいです

[画像を見る]

 シェリーさんの新しい家は、2025年5月の末までには、彼女の自宅の敷地内に届けられる予定とのこと。

 なお、このプログラムを率いたジェレミー・ドット先生は、ヤンシー郡の年間最優秀教師に選ばれたそうだ。

[画像を見る]

[動画を見る]

References: Woman Who Lost Home in Hurricane Has New Home Built by High Schoolers: 'I Was Flooded with Water, Now I'm Flooded with Angels'[https://people.com/woman-who-lost-home-in-hurricane-has-new-home-built-by-high-schoolers-11704221]

本記事は、海外メディアの記事を参考に、日本の読者に適した形で補足を加えて再編集しています。

編集部おすすめ