
オーストラリアのシドニー上空で撮影された奇妙な雲の映像が、海外で話題となっている。
どんよりと垂れこめる雲を背景に、宙に浮かぶ何やら不吉な黒い影。
果たしてこれは自然現象なのか、それとも何かの予兆なのか。欧米では、ハリー・ポッターの映画に登場する「ディメンター(吸魂鬼)」が実在したのではないかとの憶測も流れていたようだ。
オーストラリアの空に出現した吸魂鬼?
まずはその「怪しい雲」の映像を見てもらおう。嵐を背景に、ボロボロに引き裂かれた何かが宙に浮かんでいるように見えるのだ。
この映像はもともと2022年に撮影されたものらしい。最初は2023年2月20日にTikTokに投稿されたのだが、その後何度も何度もSNSで拡散され、その度に正体は何なのか、さまざまな憶測が飛び交った。
曰く、終末の日が来るしるしである。UFOが爆発した痕跡だ。大地震が来る予兆では?などなど。
中でも一番人気があったのは、ハリー・ポッターの映画に出てくる「ディメンター(吸魂鬼)[https://www.youtube.com/watch?v=UQR3yI-dCXQ]」にそっくりだという説。
映画を見た人ならわかると思うが、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』に初めて登場したディメンターは、、周囲の人々の幸福や希望を吸い取ってしまう存在で、魔法界で最も忌まわしい邪悪な存在として描かれている。
ボロボロの黒いローブをまとって浮遊しており、確かに不穏な雰囲気やボロ布のようなビジュアルが似てるかも?
闇の存在か単なる汚れか、それとも気象現象か?
この映像は最近再び海外のSNSでバイラルとなり、あちこちで紹介された。視聴者からは、あまりにも不気味な見た目に、さまざまな感想が寄せられている。
- 黒魔術っぽいな
- いや、エイリアンだよ
- 窓ガラスについた水滴がこんな形になったんじゃないかなあ
- 私も窓に着いた汚れが雲を映しているように見える
- フロントガラスに鳥の糞がついてるんじゃなくて?
- 花火じゃない?
- どうせAIだろ
- 絶対にディメンター!
- ディメンター以外の何だって言うんだ?
- ハリポタで言うならオブスキュラス(闇の力)のほうかもしれない
- 世の中にはいろんな興味深い雲が存在するんだよ
- これはいわゆるちぎれ雲だよ。珍しい現象じゃない
大半は「ディメンター、さもなきゃオブスキュラス」と、ハリーポッターに登場する闇の力の具現に違いないと主張していたが、残りはゴミや鳥の糞といった現実的な意見。
正体は「ちぎれ雲」説が有力
そしておそらくこれが正解だと思われるのだが、気象現象である「ちぎれ雲」説を唱える人も多かった。
ちぎれ雲とは、文字通り引き千切られたように見える雲のことで、積乱雲や積雲、高層雲、乱層雲といった大きな雲のカタマリの下にできる。
分厚くて暗い雲の下にあるちぎれ雲は、今回のように禍々しい黒雲に見えることが多いが、青い空を背景にすると、こんな感じの単なるのどかな白い雲なのだ。
気流の流れを受けて姿かたちを変化させ、あっという間に流れて消え去ってしまうことも多い。今回の映像でも、みるみる形を変えていくのがわかると思う。
他にもあった雲が魅せるスペクタクルな光景
というわけで、この映像は不吉でも不思議でもなかったわけだが、それでも雲は時にドラマチックな光景を我々に見せてくれる。
同じオーストラリアのメルボルン上空で、2024年3月にもこんな吸魂鬼っぽいモノが確認されていた。
そしてフロリダのキーウエストで撮影された「穴あき雲[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%B4%E3%81%82%E3%81%8D%E9%9B%B2]」
そして下はテキサス州で撮影された「乳房雲」だ。大きな積乱雲やかなとこ雲の下にできることが多く、アメリカではトルネードが発生する前兆として恐れられているんだとか。
忙しい毎日の中、なかなか空を見上げる機会もないけれど、旅行や行楽で日常を離れ、広い場所へ行った時なんかはちょっと上を見てみよう。
もしかするとこんなスペクタクルな気象現象に遭遇できるかもしれないし、空の大きさとか刻一刻と移り変わる雲の形、それが意味する気象状況、ひいては大自然や宇宙なんかに思いを馳せて、改めてこの地球という星への驚異と感動を覚えられるかもしれないよ。