
南米チリの自然保護団体が、希少な野生動物であるコロコロが、散歩をしている様子をとらえたトレイルカメラの映像を公開した。
現地では「コロコロ」と呼ばれているが、パンパスキャットの名で知られている。
コロコロは、南米の広い範囲に生息しているのだが、目撃例はごくわずか。しかも昼間の活動中の姿がカメラに収められるのは非常に珍しい。
昼間に活動するコロコロの姿の撮影に成功
この映像を撮影したのは、パンパスキャットの調査を行っている「コロコロ・プロジェクト[https://www.instagram.com/colocoloproject/]」という団体だ。
パンパスキャット(学名:Leopardus colocola)は、ネコ科オセロット属に分類される食肉類だ。
アルゼンチン、チリ、ボリビア、ペルー、ブラジルなど、南米の広い地域に分布しており、その生息地は草原(パンパ)から高山草原、乾燥林にまで及び、標高0mから5000m以上まで及ぶ。
体長はおよそ46~75cm、尾は約25cmで、体重は3~7kgほど。小型のオオヤマネコのような存在で、チリ国内に生息する野生ネコ科動物の中では、ピューマ、アンデスヤマネコに次いで3番目に大きい。
少なくとも6種類の毛皮パターンを持つコロコロ
コロコロの興味深い点は、「同じ種」とは思えないほど個体によって毛皮の模様が違うことだ。地域によって模様が大きく異なり、少なくとも6パターンが確認されている。
あるものはまわりを黒や濃い色で縁取ったバラの花のような斑点模様、またあるものはストライプ模様。中にはほとんど模様がない個体も存在する。
このため、近縁種であるアンデスヤマネコ(Andean mountain cat)[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%B9%E3%83%8D%E3%82%B3]との誤認も多く、分類学的に再評価される可能性すらあるという。
その生態はいまだ謎に包まれている
コロコロの主な獲物は小型哺乳類で、テンジクネズミや、いつも眠そうな顔をしているビスカッチャ、地上性の鳥類が中心だが昆虫や爬虫類を捕食することもある。
捕食スタイルは待ち伏せ型で、獲物に対して静かに近づく習性がある。
活動時間帯に関しては、昼行性とする研究と夜行性とする研究の両方があり、はっきりとした結論は出ていない。
コロコロはいまだ謎が多い動物だ。毛皮の多様性、行動パターン、地域個体群の違いなど、研究者たちが知りたいことは山ほどある。
今回のように昼間の活動が確認された例は非常に少なく、彼らの生態の解明に向けた手がかりになると期待されている。
以下の映像は2025年3月にチリ、マウレ州アルトス・デ・リルカイ国立保護区のトレイルカメラがとらえたコロコロの姿だ。
慎重に地面のにおいを嗅ぎながらゆっくりと歩いている。
コロコロが生態系で果たす役割
コロコロのような小型の肉食動物は、生態系のバランスを維持する上で重要な役割を担っている。
こうした捕食者は、エサとなる小動物を安定して確保するために広い縄張りを必要とし、また生きていくうえで多様な環境条件が整った生息地を必要とする。
彼らが暮らせる環境が保たれていれば、その地域にはそれだけ豊かな生物多様性が存在しているということになる。
このような食物連鎖の上位いる捕食動物は「アンブレラ種[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%A9%E7%A8%AE]」と呼ばれている。アンブレラ種の保全は、あたかも傘を広げるように、その傘の下にいる生態ピラミッドの下位の生物や、生息地に関わる生態系全体を間接的に保護する効果がある。
コロコロの保護は、彼ら自身の生存を守るだけでなく、その生息地に暮らすネズミや小型の鳥類、昆虫、さらには草原や高山植生といった周辺の生態系までも含めた広い範囲の自然を支えることにつながるのだ。
References: Instagram[https://www.instagram.com/colocoloproject/]
本記事は、海外メディアの記事を参考に、日本の読者に適した形で補足を加えて再編集しています。