ふわふわで長い尻尾、オマキヤマアラシの赤ちゃんが生まれたよ!
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 ヤマアラシにはトゲトゲしい針毛のイメージがあるが、生まれたばかりの赤ちゃんはふわふわでやわらかい。それは出産時に母親の産道や体内を傷つけないための進化的適応と考えられている。

これはどの種のヤマアラシもそうだ。

 2025年5月17日、アメリカ・テキサス州のフォートワース動物園で、オマキヤマアラシの赤ちゃんが誕生した。体重はわずか404gで、サンドイッチ用のパン一斤ほどの大きさ。

 オマキヤマアラシは、長い尾で枝に巻きついて生活できるという珍しい能力を持っている。現在動物園では性別を調べている途中だ。

うまれたばかりはふわっふわのオマキヤマアラシの赤ちゃん

 この赤ちゃんは、フォートワース動物園で飼育されているオマキヤマアラシのペア、母親「パイパー」と父親「クイリアム」の間に生まれた。

 園の公式Instagramでは、赤ちゃんの体重は404g、「サンドイッチパン一斤ほどのサイズ」と紹介されている。

 投稿された動画には、木の柱の上で飼育員の手袋をくんくん嗅ぐ赤ちゃんの姿が映し出され、その可愛らしいしぐさに多くの人が心を奪われた。

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 ふわふわの毛並みに、好奇心いっぱいの表情、そして何より目を引くのが、長くて巻きつくことのできる尻尾だ。

 この尻尾はオマキヤマアラシ特有の進化で、枝をしっかり握って体を支えたり、バランスをとったりできる。尾の裏側は滑りにくく、まるで“もう一本の手”のように使えるのが特徴だ。

 ヤマアラシの赤ちゃんは、生まれたときは赤みがかった柔らかい毛に覆われており、すぐに針毛が生え始める。園によるとこの赤ちゃんも数週間以内にはしっかりとしたチクチクの針毛に成長するという。

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性別判定はDNA検査で、名前の発表もこの後すぐ!

 映像が投稿されたのは生後2週間の時で、赤ちゃんは母親と寄り添いながら過ごし、授乳を受けつつ元気いっぱいに成長している。

 飼育チームは毎日体重を測定し、順調な発育を確認している。

 オマキヤマアラシは、性器が体内にあるため、外見では性別を見分けにくく、自然にわかるまでには半年近くかかる場合もある。

 そのため園では、針毛からDNAを採取して性別を判定する計画を立てており、数週間以内には性別と名前が発表される予定だ。

 SNSのコメント欄には、「これはかわいすぎる!」「心の準備ができてなかった」「かわいさの洪水だ」といった声が殺到している。中でも話題となったのが、あるユーザーが提案した名前「クイリザベス(Quillizabeth)」だ。

 これはヤマアラシの針毛を意味する「クイル(Quill)」と、英国王室の伝統的な名前「エリザベス(Elizabeth)」を組み合わせた造語で、「針毛を持った小さな女王」というニュアンスを含んでいる。英語圏らしいウィットの効いたユーモラスなネーミングで、多くの共感を集めている。

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両親も人気者、教育活動を担うアンバサダー動物

 赤ちゃんの両親、パイパーとクイリアムのペアは、2025年2月に動物園に仲間入りしたばかり。

 2匹とも好奇心旺盛で、周囲の出来事にいち早く反応し、熱心に観察している。性格もぴったり合っているようで、いつも寄り添って過ごしている。

 好きな食べ物はトウモロコシとココナッツ。動物園がInstagramに投稿した動画には、並んでとうもろこしをかじる微笑ましい姿が映っていた。

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 この2頭は「アンバサダー・アニマル(動物大使)」として、来園者向けのステージショーやトレーニングにも参加し、オマキヤマアラシの生態や保護の大切さを伝える役割を担っている。

 2025年3月には、クイリアムがカメラに寄ってきてまるで“ハグ”するような動画がTikTokに投稿され、こちらも注目を集めた。

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オマキヤマアラシとは?尻尾を木に巻きつけ樹上で生活

 オマキヤマアラシは、南アメリカ原産の樹上性ヤマアラシで、スミソニアン国立動物園によれば、アメリカ大陸に生息する新世界ヤマアラシ12種のうちの1種である。

 最大の特徴は「プレヘンシルテール」と呼ばれる長く発達した尾で、体重の半分近くが尾の筋肉によって構成されている。この尾を使って枝に巻きつき、体を支えたり、ぶら下がったりすることができる。

 夜行性で、主に果実、若葉、花、樹皮などの植物を食べる。鳴き声は「赤ちゃんの泣き声のよう」とも形容され、仲間とのコミュニケーションにも用いられている。

 メスの妊娠期間は約203日。赤ちゃんは生後約10週間で離乳し、生後48週間で成体サイズになる。飼育下での平均寿命は12~17年とされており、比較的長寿の動物といえる。

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日本でオマキヤマアラシに会える動物園

 この珍しいオマキヤマアラシ、実は日本国内でも飼育されている。

 茨城県日立市にある「かみね動物園[https://doubutsutominna.jp/archives/2549]」ではオスのホセとメスのカブのつがいが飼育されている

 また、神奈川県川崎市の「カワスイ:川崎水族館[https://kawa-sui.com/events/113]」でも展示されており、尻尾を使いながら器用に木に登るオマキヤマアラシの様子を見たり、餌やりを体験することができる。

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