飼い主を亡くし施設に預けられた犬、真っ先に迎えに来たのは郵便配達員だった
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 アメリカ、テキサス州で郵便配達員として働いているイアン・バークさんは、約3年前、かつての配達ルート先の家で、フロイドという名の犬に出会った。

 フロイドはすぐにバークさんに心を許し、配達の度に子犬のように駆け寄ってきたという。

 そうして1年半の交流が続いた後、配達ルートの変更により会えない日々が続いた。そんなある日、バークさんは同僚から、高齢の飼い主が亡くなったことを知る。

 行き場を失ったフロイドが施設に預けられたと聞き、彼の胸には強い想いが芽生えた。自分がフロイドに第二の犬生を与える番だと。

配達のたびにうれしそうに出迎えてくれた犬のフロイド

 イアン・バークさんは約3年前、テキサス州デンドンのベトナム帰還兵である退役軍人男性の家の配達を担当していた。

 男性は高齢で、車椅子で生活しており、自宅で静かに暮らしていたが、飼い犬であるオスのフロイドのことをとてもかわいがっていた。

 ある日、いつものように郵便を届けに玄関へ向かうと、ドアの向こうから勢いよく1匹の犬が飛び出してきた。

 体重約32kgもある大型犬だが、まるで子犬のように、バークさんに向かって駆け寄ってきたという。

 その日以来、バークさんが配達に訪れるたび、フロイドは必ず玄関先で、うれしそうに尻尾を振りながら出迎えてくれるようになった。

 以来、彼はその家に配達のたびにフロイドと触れ合うのを楽しみにしていた。

 この関係は約1年半にわたって続き、両者の間には絆が育まれていった。

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ルートが変更になり犬との交流が途絶える

 しかし、その関係は突然途切れることとなる。配達ルートの変更により、バークさんはその家に郵便物を配達することはなくなったのだ。

 心にぽっかり穴が開いてしまったバークさんだが、配達業務は忙しい。

いつかまた会えることを信じながら、別のルートでの仕事に勤しんだ。

同僚から飼い主の死とフロイドの現在の居場所を知らされる

 ところがある日、バークさんのもとに衝撃的な知らせが届く。

 フロイドの飼い主である退役軍人が亡くなり、身寄りもいなかったことから、フロイドは行き場を失い、動物保護施設に引き取られてしまったという。

 その知らせを聞いたとき、バークさんの胸に強い想いがこみ上げた。かつてフロイドとの交流がどれほどバークさんを励ましてくれたことか。

 行き場を失ったフロイドにを引き取り、第二の犬生をゆっくりと家で暮らしてもらいたい。

 バークさんの思いは強かった。それほどまでにフロイドに運命的なものを感じていたのだ。

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すぐに施設に出向き、フロイドを永遠の家族に

 バークさんは迷うことなくすぐに行動を起こした。

 フロイドがいるデントン市が運営する動物保護施設「City of Denton Animal Shelter」が開く午前10時に合わせて9時50分に到着し、1番乗りで譲渡手続きを済ませ、フロイドを引き取り、自分の家へ連れて帰った。

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これまで扱った中で最高の配達物

 バークさんは、フロイドの元の飼い主がどれほど愛情を注いでいたかを知っている。だからこそ、その想いを引き継ぎたいと強く思っていた。

 「この子と僕には、縁があったんだと思います」とバークさんは語る。

 「元の飼い主も、自分の犬を知っている人間に引き取られたと知ったら、きっと安心すると思います」

 「彼の犬を、彼の郵便配達員だった僕が今こうして世話をしていることを、きっと喜んでくれていると思います」

 「おそらくこれは、郵便局が僕にくれた中で、最高の“配達物”かもしれませんね」

 フロイドは今、再び愛情ある環境の中で穏やかな日々を過ごしている。

 郵便物を届ける彼が、今度は「愛情」という名の荷物を、自分の手で受け取ったのだ。

 フロイドとバークさんの新しい生活は、まさに心温まる第二章のはじまりといえるだろう。

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