
花の都パリに憧れて、実際に行ってみたらば想像していたのと違った…どころか、「こんなはずじゃなかった!」とパリへのイメージがマイナスに。
ショックのあまり心身に不調をきたし、うつのような症状を発症してしまうのが、いわゆる「パリ症候群」だと言われている。
実際のパリはそこまでひどいのか? 最近パリを訪れたフィリピン人ブロガーの映像が話題になっていたので紹介しよう。
「実際のパリはこんなところ」というSNSの投稿が話題に
パリと聞くとどんなイメージを思い浮かべるだろうか。芸術の都、美食の街、オシャレなパリジェンヌたち、エッフェル塔に凱旋門、シャンゼリゼ通り、ノートルダム大聖堂といったフォトジェニックな名所の数々。
芸術家やファッションデザイナー、そしてその卵たちが世界中から集い、正統派のフランス料理が味わえる。そしてベレー帽を被り、紙袋に入ったバゲットを抱えて石畳の道を歩くみたいな?
だが最近は「パリ症候群」という言葉が話題になり、オリンピックでリアルなパリの雰囲気も伝えられ、昭和の頃のような夢とあこがれの詰まった街のイメージはなくなりつつあるような気がする。
オーストラリア在住のフィリピン人旅行Vロガー、@doitforicecream[https://www.instagram.com/p/DKroZ9SzPyx/]ことグレイシーさんは、2025年6月9日付の投稿で、このパリという街への思いを綴った。
ついにパリに到着したけど、想像していたのとは違っていた
グレイシーさんが投稿した短い動画の中には、現実のパリの街角の風景が写っている。手すりにつけられたガムや…。
路上の吐しゃ物。道に転がっているうんちっち、ゴミで溢れかえった路地裏など、「花の都」のイメージとはかけ離れた現実のパリの風景が。
今回の動画の説明欄に、グレイシーさんは次のように率直な意見も書き込んでいる。
パリは息を呑むほど美しい! 私は3回以上パリを訪れたことがありますが、毎回恋に落ちてしまいます。
建築や歴史…それは魔法? いいえ本物です。でも、確かに変なニオイはするし、道もすごく汚いと言わなければ嘘になってしまいます。
それでも行く価値はある? もちろん!
ただ……あまりロマンチックに考えすぎない方がいいかもしれません
彼女はパリでスリの被害にもあったそうで、フォロワーに旅行中は油断しないよう呼びかけることも忘れない。
バッグとスマホは、常に手元に置いておきましょう。特に電車やバスの中では。パリは美しいですが、泥棒は素早い。私のように痛い目に遭わないようにして!
パリを安全に賢く楽しんでください。景色の美しさに息を呑んでも、財布までパリにのまれないように!
この投稿には賛否両論が寄せらていた
彼女の投稿を見たフォロワーからは、いろいろな意見が寄せられていた。
- 問題はパリではなくて人々です。人口も多いし、不快なことに遭遇する可能性も高い。誰もが皆、街の清潔さを尊重するわけではないんです。美しい建築物の代わりに路上の犬の糞を見るのを選ぶのはなぜ? 魔法は私たち自身から始まるんです。自分がいる場所からではなく…
- パリは確かに美しいけど、清潔ではないよね。空を見上げて、何も踏まないよう祈って!
- それは無理! 空なんて見ながら歩いちゃダメ!
- フランスを満喫したいならパリにはいかないで。
ノルマンディーやブルターニュ、プロヴァンス、アルザスならもっとみんなやさしいし文化も残っているから。フランスはベレー帽とバゲットだけの国じゃない。とても多様なのよ- パリはそこに属さない人たちに侵略されてしまったから
- 大都市なら世界中どこでもゴミだらけだよ
- こんなのを想定してパリに行ったけど、みんなフレンドリーで美しい場所だったよ。ネズミ一匹診なかったから逆にショックを受けた。まあ、いいエリアに泊ったんだけど
- 私はフランス人で、アルプス地方に住んでいる。絶対にパリに住むことはない
- ハワイにヤシの木とハイビスカスとイルカを期待して来る人に、私は同じことを言いたいわ
- ブダペストやバルセロナよりはましだと思う
- どこだってインドよりマシ
- こういう話題のたびにインドを引き合いに出すのはやめてくれ
- パリに行ったばかりだけど、街全体がとても美しかった。こんな情報はうんざり。SNSで見るようなことはパリでは起きていない。信じないで
- 私もパリの街をずいぶん歩いたけれど、ほとんどゴミも落ちていないし、犬の糞なんて一度も見なかった。ホームレスがいたくらい
- どの街にも良い部分と悪い部分があるんだよ
意見の中には、移民について言及する声もちらほらみられたのだが、それよりも実際にはきれいな場所だと擁護する声が多かった。
また、観光客が殺到する大都市だから仕方がないという意見も多く、インバウンドにあふれる日本も、他山の石とすべき部分があるかもしれない。
グレイシーさんも決してパリを嫌っているわけではない。
現実とのギャップの衝撃で発症する「パリ症候群」
世界中どこに行っても、人間の住む場所には明と暗がある。清潔・親切というイメージが世界的に定着している日本の都市でも、汚いところはあるものだ。
ではなぜ、みんなパリという街に夢を見、過剰な憧れを抱いてしまうのだろうか。実際に行ってみたら落差が激しかったという話なら、ロンドンやフィレンツェも例外じゃないと思うのだが。
特に日本人は旅先・赴任先の清潔さや接客態度などに求めるレベルが高く、日本レベルの快適さを享受できないと幻滅してしまいやすいという。
そもそもの基準が高すぎる中、究極の「美」「ファッション」「グルメ」があると憧れていたパリで、不愛想な接客をされたり、みすぼらしい街角に足を踏み入れたりすると、想像との乖離によるショックはより大きくなる。
その結果、うまく適応できずに鬱のような状態が現れて、パリ症候群という「病気」なのだ。これは気分だけの問題ではなく、実際に入院したり、精神が不安定になって送還されたりするケースもあるという。
そんなわけで日本人の専売特許のように思われていたパリ症候群だが、最近では中国人など、アジアからの観光客の間にも増えてきているんだそうだ。
さすがにインターネットの発達した現在、リアルな風景はSNSなどを通じていくらでも目にすることができるのだが、やはりその場所に行ってみないと感じ取れない空気というものも確かに存在する。
街の生活音や風のニオイ、自分に向けられる現地の人のまなざしなど、画面越しに見るとすっぽりと抜け落ちてしまう情報は、思ったよりはるかに多いものだ。
だからこそ、実際に行ってみることに価値はあるし、そこに旅の醍醐味もあると思う。
ちなみに彼女は日本へも何度か訪れていて、「一生食べても飽きない料理は日本料理、それも定食!」と和食を絶賛してくれているのだ。
グレイシーさんはパリをはじめ、ヨーロッパの美しい街角の映像もたくさんInstagram[https://www.instagram.com/p/DKroZ9SzPyx/]に投稿しているので、良かったらぜひ見に行ってみて。