
アメリカ・カンザス州を激しい嵐が襲った日の夜、ある民家の家族が敷地内で子猫を発見した。
濡れた体を拭いてあげようとほぼしたのだが、よく見ると普通の子猫ではない。
家族はすぐに動物管理局に連絡した。翌日、赤ちゃんと母親が再会する感動的な瞬間を見届けた。
嵐の日の夜に現れた迷い子猫
2025年6月10日、カンザス州レネクサ市では激しい嵐に見舞われ、強い雨が降りしきっていた。
その夜、リリー・ノバックさんと恋人のモーガンさん、子供たちが暮らす家に、1匹の小さな動物が迷い込んできた。
最初は、嵐を避けてやってきた普通の子猫だと思ったという。
「これも何かの縁かもしれない」と感じたノバックさんは、この子が新たなペットになるかもしれないと考え、その子猫を保護した。
よく見たら野生動物、ボブキャットの子猫だった
しかし、しばらくして違和感に気づいた。普通のイエネコの子猫にしては体が少し大きく、耳も丸くて形が違っていたのだ。
よく観察すると、それがイエネコではないことがはっきりした。実際は、ボブキャット(アメリカオオヤマネコ)の子だったのだ。
ボブキャットは北米の固有種で、カンザス州でも広く分布している。州内105郡のうち100郡以上で生息が確認されており、森林や草地、住宅地の縁など人の生活圏にも現れることがある。
翌日、母親と感動の再会
ノバックさんたちはすぐにレネクサ市の警察に報告し、そこから動物管理局に連絡が行き、担当者が派遣された。
子どもは管理局に連れ帰られ、温かい場所で一晩保護された。
実は、ノバックさんの家のドアベルカメラには、母親と思われるボブキャットが何度も家の周囲をうろつく姿が映っており、子どもを探していることがわかっていた。
そこで当局は、嵐の通り過ぎた翌朝、子どもを再びノバックさんの家に連れていき、裏庭の塀の上に乗せ、母親が現れるのを待った。
すると、すぐに母親が姿を現した。
塀の上にいる子のもとへ飛び乗ると、子どもは何度も母親に体をすり寄せ、再会を喜んだ。
その後、母親は子どもをくわえて森の中へと戻っていったという。
この再会の瞬間は、ノバックさんの家の裏庭で目撃され、カメラにもはっきりと記録された。
「自分の家の裏庭で、野生のボブキャットの親子が再会している光景を見たときは、感動でいっぱいになりました。本当にすごい経験でした」とノバックさんは話している。
レネクサ警察はこの件についてInstagramで次のように発信している。
住宅地の拡大にともない、野生動物と出会う機会は今後さらに増えるでしょう。私たちは、人と野生動物が安全に共存できる環境づくりに取り組んでいます
子猫と思い迷わず保護した結果、野生動物の親子の絆を垣間見る、貴重な経験となったようだ。
人と動物の境界がゆるやかにつながる今、こんな出会いが、またどこかで起きるかもしれない。