大西洋最大ホホジロザメが観光客でにぎわう海水浴場に接近中
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 アメリカ・ノースカロライナ州の人気の観光地「パムリコ湾」近海で、北大西洋で確認された中で最大のホホジロザメが姿を現した。

 このサメは「コンテンダー」という名で、全長約4.3m、体重約750kg。

 2025年1月にフロリダ州とジョージア州の州境付近で研究チームにより衛星タグを取り付けられていた。

 現在は春から夏への季節移動の途中であり、採餌のためにこの海域に立ち寄ったと見られている。

 サメの動向は現在リアルタイムで追跡されている。

太平洋で観測史上最大のホホジロザメにタグ付け

 アメリカの非営利海洋研究機関「オーサーチ(OCEARCH)」は、2025年1月、フロリダ州とジョージア州の沖合約72kmに位置するジャクソンビル沖で全長約4.3m、体重約750kgの巨大なホホジロザメを捕獲し、「コンテンダー(Contender)」と命名した。

 コンテンダーは約30歳の成熟したオスの個体で、オーサーチによる大型海洋生物追跡プロジェクトの一環として、タグ付けと生物学的サンプルの採取が行われた。

 SPOT(Smart Position or Temperature Transmitting)と呼ばれる衛星タグが用いられ、背びれに取り付けられた。

 装着された衛星タグにより、海面に出るたびに位置が記録され、研究者や一般市民がインターネット上でその移動を追跡できる。

 このデータは、サメの採餌パターンや移動ルートの変化を明らかにするだけでなく、気候変動や漁業活動による影響、そして保護政策の立案にも役立てられる。

 コンテンダーの現在の位置情報は、公式ウェブサイト「Contender – White Shark | OCEARCH Shark Tracker[https://www.ocearch.org/tracker/detail/contender]」から誰もがリアルタイムで確認することができる。

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ノースカロライナ沖に接近、その行動の目的とは?

 タグ装着後、一時的に約1か月間追跡信号が途絶えていが、これは海面に背びれが出たときだけ衛星信号を発する特性によるもので、異常ではないという。

 そして2025年6月8日、ノースカロライナ州のパムリコ湾沖で再び位置情報が記録された。

 パムリコ湾沿岸には、海水浴や水遊びができる「サウンドサイドビーチ」があり、人気の観光スポットで、多くの人でにぎわっている。そこに巨大ザメが近づいているのだ。

だがいったいなぜなのか?

 毎年5月中旬から6月末にかけ、ホホジロザメたちは冬の間を過ごした南の海から、夏場の採餌地であるアメリカ北東部やカナダ大西洋岸を目指して北上する移動期に入る。

 オーサーチの主任科学者で獣医師のハーレー・ニュートン博士によれば、ノースカロライナ州沿岸のアウターバンクス沖は移動前の重要な採餌スポットとなっており、エネルギーを蓄えるために一時的に滞在する個体が多いそうだ。

 今回のノースカロライナ沖への接近もその移動の一環であり、豊富な餌を求めてエネルギーを蓄え、今後さらに北へ1,600km以上も移動する可能性があるという。

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 ホホジロザメは、食物連鎖の頂点に位置する捕食者として、海洋生態系のバランスを保つ役割を果たしている。しかし現在、過剰な漁獲や生息地の破壊、気候変動などによってその生存が脅かされている。

 オーサーチでは、今回のコンテンダーのような個体にタグを取り付けて追跡することで、生息地の特定や行動パターンの解明を進めている。

 これが将来的なサメ保護活動のための重要なデータとなるのだ。

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 ホホジロザメはアメリカの観光客でにぎわう海水浴場の近くに接近しているが、人を襲いに来たわけではない。コンテンダーの位置情報[https://www.ocearch.org/tracker/detail/contender]を確認し、なるべくそっとしておいてあげよう。

 オーサーチでは、コンテンダーのみならず、タグ付けしたサメやカメなどの位置情報をリアルタイムで共有している。アメリカの海岸に旅行に行く予定のある人は参考にするといいかもしれない。

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References: Largest Great White Shark on Record Is Swimming Towards a Tourist Hotspot[https://www.vice.com/en/article/largest-great-white-shark-on-record-is-swimming-towards-a-tourist-hotspot/]

本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに重要なポイントを抽出し、独自の視点で編集したものです。

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