譲渡会に参加した保護犬が見知らぬ男性の発作を察知、寄り添い続け危機を知らせる
見知らぬ男性の危機を救った保護犬のシエラ / Image credit:Friends of Campbell County Animal Control

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 アメリカ・バージニア州の譲渡会イベントで、これまで訓練を受けたことのない保護犬シエナが、見知らぬ男性の異変を察知し、命を救う行動を見せた。

 シエナは人混みからそっと離れると、その男性にまっすぐ近づき、隣に座って自分の足を男性の脚にそっと乗せたまま、その場を離れなかった。

 実はこの男性には持病があり、シエナは発作の前兆を見抜き、誰かに知らせようとしていたのだ。シエナは男性の脚を軽くひっかくような仕草も見せた。

訓練を受けていない保護犬が男性の発作の前兆を察知

 バージニア州の動物保護団体「Friends of Campbell County Animal Control[https://www.facebook.com/FOCCAC]」はこの日、保護犬たちの譲渡会を開催していた。

 年齢4~5歳と推定されるメスの保護犬、「シエナ」は、出自不明でありながら人懐っこい性格で、この日も他の犬たちと共に来場者とのふれあいを楽しんでいた。

 だが、突然人混みを離れ、会場の中央から少し離れた男性のもとへ歩み寄っていった。

 シエナは男性の目を見つめながら足元に座り込み、そっと前足を男性の脚に乗せたまま、その場から動こうとしなかった。やがて前足で男性の脚を軽くひっかくような動作を繰り返した。

 この行動は誰かに教えられたものではなく、彼女の純粋な直感だったと団体側は語っている。

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発作の前兆を見抜き、寄り添い続けたシエナ

 その様子を見た男性の妻、クリステン・デイヴィスさんが近くに来た。夫を見るなり、夫が発作を起こしかけてることに気が付いたという。

 クリステンさんによると、この日の朝、夫は既にミオクロニー発作(myoclonic seizure)を複数回起こしていたという。

 休養後に譲渡会に来たもののまだ完全に収まったわけではなかったようで、発作が再発したようだ。

 ミオクロニー発作とは、筋肉が突然ピクッと短く収縮する発作で、顔や手足、全身などの特定部位に現れることがある。

 意識が保たれる場合も多いが、発作の程度によっては転倒したり、他の発作を伴ったりすることもある。

疲労や睡眠不足、ストレスなどが誘因になることもあり、日常生活に支障をきたすケースも少なくない。

 今回、シエナが発作が起きる前の異変を察知し、男性のそばに寄り添い続けたことで、周囲の注意を引き、迅速な対応につながったのだ。

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支援の声が集まり、シエナは新たな家族のもとへ

 今回の一件により、シエナのもとには「ぜひこのご夫婦が引き取ってほしい」という声も多数寄せられたが、夫妻はすでに3匹の犬を飼っており、男性の持病もあることから、これ以上犬を迎えいれることはできなかった。

 その後、シエナの愛情深い性格や今回の行動に心を打たれた多くの人々から温かい支援の声と寄付が寄せられた。

 そしてついに!シエナを引き取りたいという家族が現れ、シエナの譲渡先が決定した。

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 さらに、譲渡費用についても3人の支援者がシエナのためにと、全額寄付してくれたという。

 団体によれば、シエナはこれまでの過酷な暮らしの影響で治療が必要な箇所がいくつかあったという。

 すでに必要な手術はすでに終えており、残る歯の治療を終えたうえで、健康な状態で新しい家族に正式に引き渡される予定だという。

 こうした背景を知ればこそ、見知らぬ男性の異変をいち早く察知し、そばに寄り添ったシエナの行動には、いっそう胸を打たれるものがある。

 「特別な訓練など受けていなくとも、シエナは人の体の変化に敏感に感じ取ることができ、それを伝えようとします。人間に対する愛情がその原動力になっているのです。」と団体は投稿の中で語っている。

 これからは新しい家庭のもとで、安心して穏やかな日々を過ごしていってほしい。

シエナの未来が、きっと幸せに満ちたものとなることを誰もが願っている。

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