1,000万個の銀河を捉えた、ヴェラ・C・ルービン天文台の初観測画像が公開される
<a href="https://noirlab.edu/public/images/noirlab2521a/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA</a>

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 チリの山岳地帯に建設されたNSFヴェラ・C・ルービン天文台が初めて観測した宇宙の姿が公開された。

 現時点で世界最大となる3.2ギガピクセルのカメラが捉えた星々の姿は圧倒的!

 「三裂星雲」や「干潟星雲」といった星が生まれる領域、おとめ座銀河団周辺の1,000万以上の銀河、2,000個を超える太陽系の未知の小惑星など、まるで粒子のように散りばめられた天体がため息が出るような美しさで映し出されている。

 今後10年かけて宇宙のタイムラプス作成に挑むルービン天文台の始動は、天文学新時代の幕開けを告げるものだ。

世界最大のカメラで見つめる宇宙の姿

 2025年6月23日、世界最大のカメラを誇るNSFヴェラ・C・ルービン天文台がおよそ10時間にわたり観測した最初の宇宙の姿が公開された。

 その超高解像度画像は、3.2ギガピクセルのカメラで近紫外線・可視光線・近赤外線の波長を捉えたもの。

 計678枚を組み合わせた最新の画像には、「三裂星雲」や「干潟星雲」といった星々が生まれる高密度分子雲が詳細に映し出されている。

 もう1枚の画像は、おとめ座銀河団周辺の一角を捉えたもので、狭い領域の中に1,000万個もの銀河がひしめいている。

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桁外れの性能で、2,000個以上の小惑星を発見

 驚くべきは、遠くの宇宙を見渡す力だけではない。

 ルービン天文台は、わずか10時間のうちに、これまで知られていなかった小惑星を2,104個も発見したのだ。

 地上にあるすべての望遠鏡を駆使しても、1年で20,000個程度しか見つからないのだから、ルービン天文台の性能がいかに桁外れのものか分かるだろう。

 新たに発見された小惑星はどれも地球にとって危険なものではないが、その観測能力が今後地球を守るうえで重要なものとなるのは間違いない。

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NSFヴェラ・C・ルービン天文台とは

 アメリカ国立科学財団(NSF)と米国エネルギー省(DOE)が中心となって建設されたルービン天文台は、建設だけでも11年、構想や設計も含めるなら20年がかりの大プロジェクトだ。

 南米チリのセロ・パチョン山に設置され、世界最大の3.2ギガピクセルのカメラを搭載している。

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10年分の宇宙のタイムラプスの撮影に挑む

 今回の観測はファーストライト的なもので、本格的な運用はまだこれから。その最初のミッションは、南半球の宇宙の10年分のタイムラプス映像を作ることである。

 「宇宙と時間のレガシー調査(LSST:Legacy Survey of Space and Time)」と呼ばれるこのミッションでは、数日ごとに空全体を見渡し、各領域を約800回記録する。そして作り上げられる映像を見れば、宇宙の変化をこれまでなかったほど詳細に追跡できるようになる。

 それがターゲットとするのは、宇宙にある「動くもの」「光るもの」「変化するもの」すべてである。

小惑星や彗星のような太陽系にある天体から、超新星やパルサーといった数十億光年彼方の星々まで、すべてが観察対象となる。

 NSFとDOEは次のような声明を発表している。

ルービン天文台のデータを通じて、私たちは宇宙をより深く理解し、その進化を記録し、暗黒エネルギーと暗黒物質の謎に迫ることでしょう。思いもよらぬ問いへの答えさえ見出すことになるかもしれません

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References: Noirlab[https://noirlab.edu/public/images/noirlab2521a/]

本記事は、海外の情報をもとに、日本の読者向けにわかりやすく再構成し、独自の視点で編集したものです。

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