
アメリカ、アリゾナ州フェニックスのピエステワ・ピークでハイキングをしていた女性が、まだ明るいうちに野生の「カコミスル」の姿をカメラに捉えた。
カコミスルは北米の乾燥地帯原産のアライグマの仲間で、別名「リングテール・キャット」と言い、夜行性の生き物だ。
女性はこの奇跡的出会いに驚きと喜びを隠せなかったようだ。
早朝の岩場で見かけたカコミスル
ある日の早朝、朝日の中でハイキングを楽しんでいたジャクリーン・ハーストさんは、トレイルにほど近い岩の上で、何かが動いているのに気づいてカメラを向けた。
最初はそれが何なのかわかりませんでした。そしてその時、私はその紛れもなく美しいシマシマでふさふさの尻尾を見たんです
彼女からほんの数mしか離れていないところに、「カコミスル」という動物がいて、小さな果物を味わっていたのだ。
ネコ科のような顔立ちとアライグマのような尻尾
カコミスルとは、アライグマ科カコミスルに属する哺乳類だ。名前は、メキシコで使われていたナワトル語で「半分ピューマ」を意味するという。
一見すると猫にも似ているが、フサフサな縞模様の尻尾はまごうことなきアライグマのもの。雑食性だが、特に果物を好んで食べる。
英語では「リングテール・キャット(輪尾猫)」と呼ばれるのも、この特徴のある尻尾とネコ科のような顔立ちから来ているのだろう。
アメリカ南西部からメキシコ北部にかけて生息しており、絶滅の危機に瀕しているわけではない。だが、滅多に出会うことができない動物だという。
なぜならカコミスルは夜行性の生き物であり、人間がハイキングに出かける日中には、ほとんど歩き回ったりしないからだ。
ジャクリーンさんは100回近くこの場所へハイキングに来ているが、カコミスルを実際にみたのはこれまでに一度だけだという。
彼らは人間を避ける傾向があるんです。まさかもう一度会えるとは思ってもいませんでした
ハーストさんは息を止めて、カコミスルの写真と動画を素早く撮影した。この特別な動物に、これほど近づけるとは信じられなかったという。
カコミスルの魅力は、ふわふわの尻尾と大きな目。この大きな目は夜間に自分が進む方向を確認するのに役立つのだ。
人の手で餌が与えられていた?
ジャクリーンさんはカコミスルの姿を見て思わず興奮してしまったが、同時に人間に慣れ過ぎているのでは?と少し心配になったそうだ。
残念ながら、このカコミスルが日の出後も活動していた理由のひとつは、ハイカーが餌を置いて行ったり、実際に餌を与えたりしていたことだと思います。
みんな自分が良いことをしていると思っているようですが、実はそうではありません
現にこの時、カコミスルが食べていたのは、誰かが与えたか、おいていったリンゴだったようだ。
ジャクリーンさんがこの時撮影した動画と写真をInstagramに投稿すると、早速「可愛い!」などというコメントがたくさん寄せられた。
- 彼らを見るのは私の夢なの。なんて可愛いんでしょう
- 餌なんてやらないで、ただ写真を撮るだけにして
- 野生動物に餌を与えると、彼らは人間を当てにしてしまうし、いい結果にはならない
- この子を見ていると、きっとこれが初めてだったとは思えない。悲しいわ
- カコミスルは夜行性なのに出会えるなんて!
- カコミスル大好き。
よく彼らを見るために、夜に出かけたものよ- 本当に可愛いよね。今回、日が昇ってから見かけたのでびっくりしたわ
- 僕は生まれてからずっとアリゾナに住んでいるけど、去年初めて野生のカコミスルを見たよ。カッコいいよね
- これはすごい。シェアしてくれてありがとう。素晴らしい経験だね
- オレゴン州の峡谷に住む私の家の屋根裏に、カコミスルの一家が住んでいるの。うちの2匹のラブラドールは彼らに夢中よ。彼ら夜中に寝室の窓を覗きに来るの。エサはあげていません。放っておいても彼らはちゃんと生きています
- 日の出前のハイキングって最高よね
- 狂犬病を持っているかもしれないから気をつけて!
- アライグマは間違いなく狂犬病のリスクがあるけど、カコミスルに関してはまれだと思う(ジャクリーンさんコメ)
- こんな生き物がいるなんて知らなかったわ。これはアリゾナ?
- その通り、アリゾナです(ジャクリーンさんコメ)
ひとしきりリンゴを食べた後、カコミスルは自分の寝床へと帰っていったという。
ジャクリーンさんはこの日の残りの時間を、カコミスルとの忘れられない出会いの喜びに浸りながら過ごしたそうだ。
だがやはり、夜行性の動物にエサを与え、日中に活動させるのは彼らの生活リズムを崩してしまうことになる。
生態系はつながっているので、他の生き物にも連鎖的に影響がでてしまう。どんなにかわいくても、そっとしといてあげよう。