
ブラジルの川で釣りをしていた男性らは、ボートで岸へ戻る途中、思いがけない生き物に出会った。
最初は、この川でよく見かけるカピバラだと思ったという。
すると、そこにいたのはジャガーの子だった。うまく川を泳ぐことができず流されてしまい、母親やきょうだいたちとはぐれてしまったようだ。
漁師たちは迷わず、持っていたタモでこの子を助けることにした。
水面でもがくジャガーの子を発見
今月初め、ヴァンデルレイ・ラビさんと友人たちは、ブラジル中西部に広がるパンタナール湿地帯の川で、釣りを楽しんでいた。
すると、水面を動く生き物を発見。ラビさんは最初、カピバラだと思い、ボートを操縦している友人に向きを変えてもらい、確かめてみることにした。
カピバラはブラジルに原生する世界最大のげっ歯類で、水辺でよく見かける草食動物だ。
だがそこにいたのはカピバラではなかった。なんとジャガーの子だったのだ。
ジャガーの子はひとりで必死に水の中でもがいていていた。
あたりを見回すと、岸辺には他の子供たちを連れて水から上がる母親ジャガーの姿が見えた。
本来は泳ぎが得意なはずのジャガーだが、家族とともに川を渡る途中、この子だけがうまく泳ぐことができず、川の中に取り残されてしまったようだ。
ラビさんたちはすぐに助けが必要だと判断し、更に近づいていった。
すると、ジャガーの子も助けてくれることがわかったのか、ボートの方に向かって泳いできた。
持っていたタモを使って慎重にすくい上げると、ジャガーの子は必死にタモにしがみついた。
ボートに引き上げるのは危険だと判断したラビさんたちは、ジャガーの子を入れたタモを水面から上げながら、母親がいた岸辺の方へと移動した。
岸辺に着くと、ジャガーの子が絡まないようにタモの位置を調整し、タモごと置いてすぐにその場を離れた。
この時のラビさんたちの行動は、生物学者のエンリケ・アブラハン・チャールズ氏からも称賛された。
チャールズ氏は「彼らの野生動物への介入は正しかった」と述べた。
ジャガーは本来泳ぎが得意だが、確かにこの子は泳ぐのが苦手で、もがいているように見えたという。このままでは溺れて命を落とす危険があったのだ。
チャールズ氏は、この子ジャガーはその後無事に母親と再会できたと推測している。
チャールズ氏は、ブラジルのニュースメディア「G1 グローボニュース[https://g1.globo.com/ms/mato-grosso-do-sul/noticia/2025/06/24/pescador-que-fisgou-filhote-de-onca-em-rio-do-pantanal-agiu-de-forma-correta-avaliam-biologos.ghtml]」に次のように語った。
子どもは母親を呼ぶ方法を知っています。そして母親は子どもを見捨てません。ジャガーは非常に鋭い嗅覚、優れた聴覚、そして視力を持っています。
親子の間には鳴き声を使ったコミュニケーション方法があります。母親は子どもを探し、子どもも母親を呼びます
パンタナール湿地帯はボリビアやパラグアイと国境を接し、世界最大級の熱帯湿地として知られている。大小の川や湖が点在し、ジャガーやカピバラ、カイマン(ワニの一種)など多くの野生動物が生息する自然の宝庫である。
ジャガーは北アメリカ大陸南部、南アメリカ大陸に分布しているが、ウルグアイとエルサルバドルでは絶滅してしまった。
森林伐採や農地開発・畜産業などによる生息地の破壊および獲物の減少、害獣としての駆除、狩猟などにより生息数が減少している。
References: G1.globo.com[https://g1.globo.com/ms/mato-grosso-do-sul/noticia/2025/06/24/pescador-que-fisgou-filhote-de-onca-em-rio-do-pantanal-agiu-de-forma-correta-avaliam-biologos.ghtml]
本記事は、海外の情報を基に、日本の読者向けにわかりやすく編集しています。