アルカトラズ刑務所の地下に隠された要塞が発見される(アメリカ・アルカトラズ島)


 カリフォルニア州サンフランシスコ湾にあるアルカトラズ島は、1963年まで連邦刑務所として使用されていたことから監獄島とも呼ばれている。

 そしてこの度、最新のレーザー技術により、アルカトラズ島の地下に眠る150年前の軍事要塞が再発見されたという。


 【監獄島「アルカトラズ島」】

 脱獄不能な監獄島「ザ・ロック」として有名になる前、アルカトラズ島は1850~1933年にかけて軍の要塞として使用されてきた。

 サンフランシスコ湾の一番潮の流れが速いところに浮かぶこの島は、ダウンタウンの喧騒から見える場所にありながら、サメが泳ぐ冷たい海水によって世間から隔絶された地である。

【元軍事要塞を撤去し刑務所を建設】

 刑務所が作られたのは、20世紀に入る前のことだ。元軍事要塞であったここは、当時の文化遺産保護法の対象ではなかったため、それまでの施設は容赦なく撤去されてしまった。

 こうした変遷の中で残された遺構があるならば、研究者ならぜひともお目にかかりたいところだろう。

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Alcatraz - Island of Hate 

一帯が刑務所に変わる中で、島にあったそれまでの軍の歴史の大半は消し去られてしまった。

だが、島とアメリカの歴史にとって重要なものが地下に埋もれ、保存された状態で残ってはいないだろうかと考えた
と考古学者のティモシー・デスメットは説明している。

そこで、悪名高い連邦刑務所の娯楽ヤードのように、島の地下に歴史的遺構が残されているか確かめることができる非侵襲的・非破壊的な手段を探した。

何が出てくるのか、ちっともあてがなかった。これら歴史的遺構の地下構造が現存しているということも知らなかったし、何かが残っていたとしても、その規模や状態についてはさっぱりだった。

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【最新技術で地下を解析】

 そこで研究者らは、地上レーザー測量、地中レーダー、ジオレクティフィケーション(古いデジタルマップを座標に紐付けし、3D空間の正確な位置を求める方法)を組み合わせた。

 すると、かつて刑務所の娯楽ヤードとして利用されていた場所の下に、遺構がまだ残っていることが判明したのだ。


 『Near Surface Geophysics』によれば、古い地下構造物、防弾仕様の土塁、レンガ造りのアーチ天井トンネル、通気ダクトが驚くほど良好な状態で残されていたという。

 これら歴史的・考古学的な遺構は、地表からほんの数センチメートルのところにあり、奇跡的にも完璧なまでに保存されていた。

 娯楽ヤード床のコンクリートは非常に薄く、事実ところどころ1860年代からの建築物の真上に直接設置されていたそうだ。

 また土塁の一部は薄いコンクリート層で覆われていたが、次第に島の雨風によって浸食されていったらしいことも判明した。

 研究者によれば、この手法をほかの場所でも利用すれば、その遺跡を破壊してしまうことなく過去の人類の足跡についての疑問に答えることができるだろうという。

 現在、アルカトラズ島は国の歴史登録財として一般公開されている。
 
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 かつての軍事施設が眠り、また、囚人たちが何度も脱出を試みたアルカトラズ島を一度探検してみたいものだ。

References:High-Tech Lasers Reveal Hidden Military Structures Buried Below Alcatraz Island | IFLScience/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:アルカトラズ刑務所の地下に隠された要塞が発見される(アメリカ・アルカトラズ島) http://karapaia.com/archives/52272006.html
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