
オーストラリアに生息していたタスマニアタイガーは、有袋類でありながら大型の肉食獣で、日本では「袋を持つオオカミ」という意味のフクロオオカミという名で呼ばれている。
大航海時代、ヨーロッパから入植者らは家畜を襲うタスマニアタイガーを目の敵にした。
次々と大量虐殺し、1930年代、唯一の生き残りと思われる野生個体が射殺される。その後飼育下にあった個体が亡くなり、1936年ついに絶滅したとされている。
その後たびたび目撃情報はあるものの、正式な再発見にはいたっていない。
だが今後、フクロオオカミが再生される可能性があるかもしれない。
近年、ある人物が1923年から所持していたフクロオオカミの皮膚が発見され、そのDNAサンプルが、オーストラリアの固有種を復活させる活動を行っているラザラスプロジェクトのメンバーの手に渡ったのだ。
【再発見されたタスマニアタイガーの皮膚】
ラザラスプロジェクトは絶滅種のカモノハシガエルの体細胞を使って、カモノハシガエルを再度この世に蘇らせようとしている研究者チームの集まりだ。
彼らは絶滅種の体細胞と、絶滅種に近い生物の細胞を掛け合わせる事で、絶滅してしまった種を蘇らせようとしている。
理論的には可能だが、実験の成功例は今のところ確認されていない。
タスマニアタイガーの皮膚は1923年にとあるニュージーランドのコレクターの手に亘り、彼が引き出しに閉まっていたという。
その皮膚は彼が亡き後、遺族によって1999年に再発見されてニュージーランドのカフタラ剥製博物館で保管されることになった。
そこから2018年まで「謎の皮膚」という扱いを受けていたが、ヴィクトリア大学の生徒4人が皮膚を調べてみたところ、絶滅したタスマニアタイガーであることが判明したのだ。
皮膚はその後、オーストラリア国立博物館におよそ1500万円で売買され、オーストラリア国立博物館が記録する他の78体のタスマニアタイガーの皮膚コレクションに加えられたという。
[画像を見る]
1930年に撮影されたタスマニアタイガー
【タスマニアタイガーの皮膚のDNを使っての再生】
カフタラ剥製博物館の館長のジョン・マッコシュさんによると、皮膚の保存状態は極めて良好だそうだ。
それを知ったラザラスプロジェクトのメンバーであり、元オーストラリア国立博物館の館長を務めていたマイク・アーチャーさんが目をつけた。
マイクさんはタスマニアタイガーの再生には意欲的である。カモノハシガエルの再生が成功したら是非手掛けてみたいと語る。
カモノハシガエルのプロジェクトはDNAの再生を完成させてはいるが、オタマジャクシを作るまでにはもう少し時間がかかるという。
タスマニアタイガーの最後の生き残りは1933年に野生個体が捕獲されたもの。その後タスマニア州ホバート動物園に移送されたが1936年に死亡した。
以下の映像は1933年12月19日、ホバート動物園で撮影されたものだ。
[動画を見る]
Thylacine (Thylacinus cynocephalus) super rare footage compilation extinct in 1936
【タスマニアタイガーに近い種を探し出すのが先決】
なお、タスマニアタイガーの再生で一番難関となるのは近い種を見つけ出す事だそうだ。
タスマニアタイガーのゲノム解析を2017年に終えたメルボルン大学の生物学者であるアンドリュー・パスクさんによると、タスマニアタイガーに最も近い種はフクロアリクイだというが、果たして生命の再誕は可能なのだろうか?
それとももしかしたら、タスマニアタイガーはひっそりと今も存在しているのだろうか?
Preserved Tasmanian Tiger Skin May Have DNA to Resurrect the Species | Mysterious Universe/ written by riki7119 / edited by parumo
記事全文はこちら:絶滅したタスマニアタイガー(フクロオオカミ)の皮膚DNAから種を救い出せるかもしれない http://karapaia.com/archives/52272312.html
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