
春になり、もうすぐ夏到来だ。夏の訪れとともにやってくるのはそう、あの吸血生物である。
気が付いた時は既に遅い。その生物はすでに大切な血をたっぷりと吸い上げ、ご満悦そうに飛び去っていく。血を抜かれるだけならまだいい。皮膚は赤く膨れ上がり、痒みという名の拷問が待ち受けているのだ。
蚊よ、血はいくらでもやるから痒みを残していかないで!
痒みを何度もリピート再生するのやめて!何度そう思ったことか。
蚊と人間の戦いは令和になっても続いていくだろうが、最新の研究によると、ある音楽が蚊よけに効果的だという。
強くかかったドラムを使用した2ステップの音楽ジャンル「ダブステップ」だ。
【スクリレックスの楽曲は蚊を撃退できるか?】
多くの生物にとって、音は生殖、生存、個体数の維持に絶対不可欠なものである。そこで音楽で蚊の行動を撹乱してやろう、というのが研究者の発想だ。
『Acta Tropica』に掲載された研究では、スクリレックスのグラミー賞受賞アルバム『Scary Monsters And Nice Sprites』からの同名の楽曲を流し、これを聴いた蚊の行動がどう変化するのか確かめてみた。
じつは低周波は昆虫の交尾をうながす傾向がある。一方で、ノイズは仲間や宿主が発するシグナルの認識を撹乱する。
スクリレックスの曲が選ばれたのも、超高音と重低音が発せられていることが理由なんだとか。
そして、実験対象になった蚊はネッタイシマカ。黄熱病やデング熱などを媒介する嫌らしいヤツだ。幸いなことに日本では絶滅したとされているが、国外から侵入定着する危険性は残っている。
で、ネッタイシマカに聞かせたのがこの曲だ。
[動画を見る]
Skrillex - Scary Monsters And Nice Sprites (Official Audio)
【作戦成功。この曲を聞いたメスの血を吸う回数が減る】
結果は嬉しい知らせだ。
ダブステップを聴いた蚊のメスは、聴いてないメスに比べて、血を吸う回数が減ったのだそうだ。しかも前者は交尾の回数すらずっと少なかったそうだ。(ちなみに血を吸うのはメスだけ。産卵の為の栄養源とする)
蚊の食欲や性欲が減退した理由はわからない。もしかしたら、重厚かつ変則リズムのダブステップにうんざりしたからかもしれないし、反対に十分に満足したからかもしれない。
だがいずれにしろ、ネッタイシマカにダブステップが効くことだけは確かなようだ。
もしかしたら日本によくいるヒトスジシマカやアカイエカにも効くかもしれない。
今度蚊がうっとおしいと思ったら、ダブステップ音楽を流してみるという実験を行うのもいいかもしれない。
家の中なら良いが、野外だとご近所迷惑になるかもしれないので、民家のない場所限定かな。
うっそうと生い茂った林や森の中とか、それってすごく蚊に刺されそうな場所だから、逆に刺されにいくようなもんだが、体を張った実験ってそういうもんだ。なんなら他にいろんな曲で実験しても良いかもしれない。
References:The electronic song "Scary Monsters and Nice Sprites" reduces host attack and mating success in the dengue vector Aedes aegypti / Blasting This Skrillex Track Will Reduce Mosquitoes' Desire to Bite, Study Finds/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:ダブステップ音楽が蚊避け代わりに?ある曲を流したところ蚊の血を吸う回数が減ったことが判明(米研究) http://karapaia.com/archives/52272905.html
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