親から本を読み聞かせてもらった子ともらわなかった子、幼稚園までには100万語の潜在的な語彙(ごい)の差が生まれる(米研究)

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 読書が認知能力に与えるメリットは広く知られており、その心の健やかさを育む効果がいくつもの研究によって実証されてきた。

 たとえばある研究によると、読書には創造性を伸ばし、他者への共感を深め、心の柔軟性を育むといった効果があるそうだ。


 とりわけ、豊富な語彙(ごい:単語の総称)を獲得するという点において、読書が最適だと言われている。

 それはスポンジのように言葉を吸収していく幼少期に顕著に表れる。

 新たな研究によると、親から毎日、本を読み聞かせてもらった子供とそうでない子供では、幼稚園に入るときまでに140万単語ほど語彙力に潜在的な差が生まれるのだそうだ。
【5歳まで本を読み聞かせると、何単語を耳にすることになるか?】

 これまで、幼少期における効果をきちんと取り扱った研究は意外にも少なかった。アメリカ・オハイオ州立大学の新しい研究は、そうした数少ない研究の1つだ。

 研究では、まず一番流通している100冊の子供用のボードブック(紙が厚紙“ボード”で出来ている本)と絵本を特定し、そこから無作為に30冊を選出。それぞれに記載されている単語数を数えた(幼児用ボードブック:平均228字、未就学児用絵本:平均140字)。

 この情報を元に、ボードブックを3歳まで、絵本を5歳まで親に読んでもらったとした場合、幼稚園入学までに何文字の単語を耳にすることになるか計算した。

 すると、親から毎日5冊の本を読んでもらった子供は、幼稚園入学までに140万単語以上を耳にするという結果だった。

 これが毎日1冊でも26万6600単語。さらに少なく、週に3~5冊なら16万9520単語、週に1、2冊なら6万3570単語という結果だった。

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【本の読み聞かせの有無で語彙力に圧倒的な差】

 一方、親に本を読み聞かせてもらえなかった子供の場合、5歳までに耳にする単語数は4662単語でしかない。


 言葉を柔軟に学習できるこの期間に耳にする単語数に、圧倒的なまでの開きが生まれるわけである。

 つまり、それだけ数多くの単語に対する準備ができるわけで、読書のスキルなども速やかに上達するようになるだろうと考えられるのだ。

 もちろん個人差はあるであろうが、聞いたことがある単語の数が多い子供と少ない子供では、就学後の成績に影響がでるだろうと予測される。

 この研究は『The Journal of Developmental and Behavioral Pediatrics』に掲載された。

References:Study: Children Whose Parents Don’t Read To Them Enter Kindergarten With A ‘Million-Word’ Vocabulary Gap/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:親から本を読み聞かせてもらった子ともらわなかった子、幼稚園までには100万語の潜在的な語彙(ごい)の差が生まれる(米研究) http://karapaia.com/archives/52273050.html
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