
ご存じフィンセント・ファン・ゴッホは、ポスト印象派を代表する画家である。これまで数多くのアーティストに影響を及ぼし、新たな作品が発見されるなど話題が尽きない(関連記事)。
さて、イギリス・ロンドンのミルバンク地区にある国立美術館、テート・ブリテンでは8月11日まで、ゴッホの企画展を開催している。
ゴッホがイギリスのアーティストに与えた影響などをテーマに50点以上の作品を展示しているのだが、その準備中に思わぬ発見があったようだ。
1890年に描かれた「ザ・オワーズ・アット・オーヴェル(The Oise at Auvers)」の真実の姿が明らかになったのである。
【コーヒーのような茶色は実は鮮やかなピンク色だった!】
「ザ・オワーズ・アット・オーヴェル」は、ゴッホが37歳のとき、拳銃自殺をはかって亡くなる2ヵ月前の1890年5月に制作されたとされる。
フランスの田園地帯の風景を描いた水彩画だが、川や空がコーヒーで染めたかのような茶色をしており薄暗い雰囲気だ。
しかし、テート・ブリテンの修復管理者がフレームと台紙を外したところ、鮮やかなピンク色の絵の具が使われたらしき痕跡を発見。
ゴッホの真の意図を知ろうとデジタル復元作業を行ったところ、描かれた当時は川も空もピンク色だったことが判明したのである。
こちらがデジタル復元前の状態。
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そして、こちらがデジタル復元後の状態である。
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【フランスの田園地帯の夕焼けを表現した作品であることが判明】
では、どうしてピンク色が茶色に色あせてしまったのだろう?おそらく、人生をとおして常に金欠状態だったゴッホが安い顔料を使ったことが原因とのこと。
今回の企画展の主任学芸員、キャロル・ヤコビさんは
とても驚いた。たぶんこの作品は夕暮れどきを描いたもので、川の水面や地面を夕陽が照らしているのだろう。ゴッホはオーヴェル=シュル=オワーズにたった2~3ヵ月しかいなかったが、その期間、彼は信じられないほど生産的だった。晩年の作品には驚くべきエネルギーがあり、自然への賛美がある
とコメントしている。
青空でも曇り空でもない茶色の空はなんだかどんよりとしているけれど、本当は美しい夕焼けを表現していたようだ。
【ゴッホが自らの命を絶った時に使用した銃がオークションに】
フィンセント・ファン・ゴッホは感情の率直な表現、大胆な色使いで知られ、ポスト印象派を代表するオランダの画家だ。
今では世界中で高く評価されているが、生前はあまり評価されておらず、またその人生も不遇だったと言われている。
生前に売れた絵は、友人の姉が400フランで買い取った『赤い葡萄畑』だけであるとされているが、ファン・ゴッホが絵を描いたのは10年に満たず、若くしてこの世を去ったことを考えれば、彼の絵画が認められるまでの期間はむしろ短かったのかもしれない。
フランス・パリのAuctionArtは、ゴッホが自殺に使用したとされる拳銃のオークションを2019年6月19日に行うことを発表した。
この拳銃は7ミリ口径の回転式拳銃「ルフォシュー」で、落札価格は6万ユーロ(約750万円)になるだろうと予想されている。AuctionArtは「美術史上最も有名な兵器」と銘打っている。
Le ≪revolver de #VanGogh≫ aux #encheres a Paris en juin #ExcluAFP #AFP @Drouot @auctionartparis pic.twitter.com/YqYchgpn3e
— Jean-Francois Guyot (@JFGuyot) 2019年4月2日
この銃は自殺現場で見つかったもので、1890年代から地中に埋まっていたものだ。ゴッホは1890年7月27日に自身の腹部を撃ち、7月29日午前1時半に怪我を負いながら帰り着いたオーヴェルのラヴー旅館で死亡した。
References:Hyperallergic / Twitter / Designtaxiなど / written by usagi / edited by parumo
記事全文はこちら:ゴッホが最後に描いたとされる一枚の絵画の真実が明かされる。その背景はやさしいピンク色だった。 http://karapaia.com/archives/52273103.html