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カニ風味に味付けされた魚のかまぼこ「カニカマ」は日本だとポピュラーだが、代用といってもそういうことではない。
世界中の会社が、牛肉や鶏肉など食肉の代替製品である培養肉の開発に取り組んでいるが、エビ、ロブスター、カニなどのシーフードも、培養肉にしようという会社が現れたのだ。
培養肉は、動物の個体からではなく、可食部の細胞を組織培養することによって得られた肉のことである。
シンガポールのShiok Meat社は、シーフードを、より安全で持続可能な培養肉に置き換えることを目指していて、その選択肢も増やそうとしている。
【エビ・カニ・ロブスターなどのシーフードを培養肉に】
Shiok Meatsの創設者Ka Yi LingとSandhya Sriramは、幹細胞研究者としての出自を活かして、次世代クリーンミート(培養肉)を開発しようとしている。
現在、このプロジェクトはまだ研究段階だが、細胞レベルの肉をエビ、ロブスター、カニの代替品として利用しようと考えている。
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培養肉は動物を屠殺する必要がない、厳密な衛生管理が可能、食用動物を肥育するのと比べて地球環境への負荷が低い、などの利点があり、従来の食肉に替わるものとして期待されている。
現在だたコストが高くついてしまうのが難点だが、技術の発展によって、従来の食肉と同等程度までに低価格化することができると予測されており、数年後には大市場で流通するようになるだろうという。
【見た目や食感だけでなく味も本物と同じものを目指す】
会社が製品化を目指しているのは、見た目や身の触感がそっくりなだけではなく、味も本物と変わらないシーフードやエビ団子などの練り物製品だ。
研究は順調に進んでいて、複数の投資を確保し、資金も順調に集まっている。この代替品の生産に成功すれば、Shiok Meatsはまずはアジアを始めとして、世界中に販路を開くことができる可能性がある。
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【まずはエビから】
まずは、より手ごろで汎用性のあるエビの代替品を目指している。これがうまくいったら、ほかの甲殻類の代替品にも着手する。
このエビの代替品は、キロあたり5000ドルで取引できると会社は見積もっていて、かなり高額のように思えるが、現在、市場で流通している培養ビーフに比べたら、より費用対効果が高い。
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Shiok Meatsの代替製品は、今後3~5年の間には市場に並ぶ予定で、まずはシンガポールを手始めに、ほかのアジア市場へ販路を広げていく予定だという。
環境に配慮され、動物にやさしい培養肉だが、ただしその一方で、人工的に生産された肉を食することに否定的な意見もある。
味も食感も本当に変わらないのなら、受け入れる人もいそうだが、価格が本物の肉と同等かそれ以下にならないと、一般人にはおいそれと買えないと思うので、いかにしてコストダウンしていくかがカギとなるのかもしれない。
多くの人が受け入れることで大量生産が可能となればコストダウンも可能となるかもしれない。いずれにせよ、培養肉(人工肉)の時代はそこまできているようだ。
・肉汁ジュワーで食感も味も本物の牛肉。オランダの企業が植物100%のビーフステーキを開発。受注販売開始
References:shiokmeats / thespoon/ written by konohazuku / edited by parumo
記事全文はこちら:カニカマとは違うやつ。エビ、ロブスター、カニの代用になる細胞ベースの培養肉(人工肉)を開発中(シンガポール) http://karapaia.com/archives/52273768.html
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