ヘビ世界の聖母マリアかな。オスなしで単為生殖したオオアナコンダ(アメリカ)※ヘビ出演中


 聖母マリアは男女の交わりなしに子、イエス・キリストを宿したという伝説がある。

 とすると、アメリカ・マサチューセッツ州にあるニューイングランド水族館のアマゾン展で展示されていたメスのアナコンダは、ヘビ世界の聖母マリアなのかもしれない。


 水族館で飼育されているオオアナコンダはオスとメスが完全に隔離されており、互いが接触するようなことはない。それなのに子供を産んだというのだ。
【オオアナコンダのアナ母さん】

 そんな奇跡を起こしたのはアナという名のメスで、体長3メートル、体重13.6キロある8歳のオオアナコンダだ。

 ちなみにオオアナコンダは卵を産んでから孵化させるわけではない。お腹の中で卵を孵化させ、 子ヘビの状態で産み落とす卵胎生である。産まれたばかりの子ヘビでも、体長は約70センチ前後もある。

・おなかの中で卵が孵化してそのまま子どもが生まれてくる、巨大アナコンダの出産シーン : カラパイア

 水族館によると、アナ母さんは1ダースほどの子供を産んだがほとんどは死産。どうにか3匹だけが生きて生まれ、さらに数日中に1匹が死んだそうだ。

 だが、大勢のきょうだいたちの死を乗り越えた2匹は今も元気に生きている。

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【オスが紛れ込んだ様子はなく「単為生殖」の可能性】

 水族館側ではアナ母さんが妊娠した経緯を確かめるために、ほかのアナコンダの性別を再度チェックし、オスが紛れ込んでいなかったことを確認。

 またアナ母さんは信頼のある機関で繁殖され、そこから引き取られてきた個体だ。生まれてからの履歴を記録したきちんとした書類も存在するために、以前オスと交尾したときの胚が遅れて着床したという可能性も除外できる。


 こうした可能性がない以上、唯一考えられるのは「単為生殖」ということになる。アナ母さんはオスによって受精することなく自分自身を複製したのだ。

 植物や昆虫ではしばしばあることだが、脊椎動物ではきわめて稀な現象だ。

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【子供は完全なクローン 】

 アナ母さんが単為生殖だったことは、DNA検査によっても確認された。
 
 じつは単為生殖にはいくつか種類がある。そして多くのケースでは、生まれた子供は母親と完全に同じDNAではない。

 ところが2匹の子供たちのDNAシーケンシングを行ったところ、その配列は母親と完全に一致。つまり子供たちはアナ母さんの遺伝的なコピー、平たく言えばクローンだということが判明した。

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Anaconda snakes born to virgin mother in Boston

 面白いのは、母親のクローンだというのに、2匹の性格はそれぞれ違っているらしいことだ。片方はおおらかなのんびり屋さんで、もう片方は大の冒険好きなのだとか。

 残念なことに、子供たちは現時点では一般公開されていない。それでもスタッフが毎日手で触れて、人になれるようしつけている最中とのことだ。


References:neaq/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:ヘビ世界の聖母マリアかな。オスなしで単為生殖したオオアナコンダ(アメリカ)※ヘビ出演中 http://karapaia.com/archives/52275062.html
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