バイク乗りが落雷で絶命。なぜゴム製のタイヤは彼を守ってくれなかったのか?(アメリカ)

Brigitte Werner / Pixabay
 2019年6月9日、米フロリダ州で、雷雨の中をバイクで疾走していた男性に雷が直撃。残念ながら帰らぬ人となった。
ヘルメットには雷が直撃した痕が生々しく残っていたそうだ。

 アメリカ国内では今年に入ってから2件目となる落雷による死亡事故だった。もしかしたらこう思った人もいるかもしれない。

 「バイクにはゴムのタイヤがついている。なのになぜバイク乗りは助からなかったのか?」 と。
 
 「ゴムは電気を通さないので落雷しても車に乗っていれば安全」と思われがちだが、全米雷安全評議会のジョン・ジェンセニュス氏によると、ゴムのタイヤがあれば安全というのは単なる迷信に過ぎないという。
【雷は車体から地面に流れる】

 じつは車には結構頻繁に落雷が起きている。だがもし運転者がそれに気づいたとしても、せいぜい屋根に何か落ちたと感じる程度だろう。

 なぜなら金属の車体が「ファラデーケージ」のように作用するからだ。

 ファラデーケージとは、19世紀の英国人物理学者マイケル・ファラデーが発見した檻のような仕組みで、外側の金属シェルに電荷が加えられたとしても、内部にはそれを通さない。

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自作ファラデーケージでテスラコイルの稲妻を受ける

 車の場合、そこに雷が落ちても、電気は外側の金属を通過して、そのまま地面に流れていく。このため中に乗っている人が感電するようなことはない。


 電気はタイヤを伝って地面に流れているだけであり、タイヤがゴムであるからという理由で感電しないというわけではないのだ。

 なので車は大丈夫でもバイクはアウトになる場合もある。

 もし、車の運転中にひどい雷に遭遇してしまったようなとき、近くに逃げ込めるようなしっかりした建物がないようなら、窓をしっかりと閉めて、車内でやり過ごすのはありだそうだ。

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【思いっきり速く移動していれば雷の直撃を避けられる?】

 ついでにジェンセニュス氏はもう1つの迷信も教えてくれた。それは思いっきり速く移動していれば、雷の直撃を避けられるというもの。

 だが、雷は人間の移動速度なんかよりもずっと速く移動する。

 なにせ、雲から地面までコンマ数秒で到達するほどだ。車やバイクでどんなに頑張って走ったところで、雷にしてみれば止まっているようなものだろう。

 これから夏に入って夕立の季節になれば、雷に遭遇することも増えるかもしれない。たかが雷と甘く見ることなく、安全な行動を心がけよう。

References:Lightning Strikes and Kills Motorcyclist. Why Rubber Tires Didn't Protect Him./ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:バイク乗りが落雷で絶命。なぜゴム製のタイヤは彼を守ってくれなかったのか?(アメリカ) http://karapaia.com/archives/52275597.html
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