
たとえ飼い主が犯罪者であろうとも、自分に愛情を注いでくれた人であれば、犬にとっては唯一無二の大切な存在である。
アルゼンチンのブエノスアイレスにある警察署の前にいる一匹の犬は、昨年からずっとこの場所を離れることはない。
推定年齢4~5歳とされるその犬は、警察署の前で去年逮捕され、刑務所送りとなった飼い主を、ずっと待ち続けているいるのだ。
忠誠心溢れたその姿を見た警察関係者は、建物の前に居座るようになった犬をかわいがるようになった。それでも、犬は同じ場所で飼い主を待ち続けることを止めない。
【飼い主が逮捕された警察署前で待ち続ける犬】
地元メディアによると、ゴールデン・レトリバーのミックス犬とされる一匹のメス犬が、ブエノスアイレスの小さな町にある警察署の外に、去年から姿を見せているという。
シーラと名付けられたこの犬の飼い主は、暴行罪で逮捕され、警察署へとパトカーで連行された。シーラはおそらく、飼い主が乗せられたパトカーの後ろをついて来たのだろう。飼い主が建物の中に姿を消すと、すぐに警察署の前にじっと座り込んで飼い主を待ち続けた。
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【見るに見かねた警察スタッフが餌と寝場所を与えるように】
警察スタッフが、毎日、律義に飼い主を待ち続けるシーラの存在に気付くのにさほど時間はかからなかった。警官の何人かは、警察署の前から離れようとしないシーラに餌を与えるようになった。
最初こそ、シーラは警戒心を露わにしていたが、やがて警官の姿にも慣れて餌を貰うようになり、夜には警察署の中で眠るまでになった。
また、警察官らが徒歩で町中をパトロールする際には、なついて後をついてくるようにもなり、シーラは警察スタッフたちにとって大切な家族の一員となった。
しかし、それでもやはりシーラは、最後にはいつもの場所、警察署の前に戻って飼い主を待つのだ。
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【シーラのために警察が驚くべき配慮を行う】
ファン・ホセ警視副総監が地元メディアに語ったところによると、シーラの飼い主への溢れる忠誠心と愛情、そして飼い主との美しい絆に感心した景観が、時々飼い主を独房から出してシーラと一緒に過ごす時間を持たせてやるという異例の配慮を行うようになったという。
しかし、驚かされるのはそれだけではない。シーラが他の犬に襲われて瀕死の怪我をした時にも、なんと警察が獣医院へ連れていったのだ。
シーラは、数か月前にブルドッグに攻撃されかなりの怪我を負ってしまった。
警察スタッフは、すぐにシーラを獣医院へ運び、治療を受けさせた。シーラは、15日間の入院を必要とするも、その治療費は警察側が全額負担した。
幸いにもシーラはその後、完全回復。元気になって再びもとの場所へ戻り、いつものように飼い主を待ち続けている。
「飼い主が自由になれば、シーラは一緒に家へ帰ることでしょう。そうなれば我々も寂しくなりますよ」と話すマルティーニ副総監。
飼い主に下された懲役判決は3年半。シーラにとっては、まだまだ長い月日を待ち続けなければならないが、少なくとも警察関係者たちがシーラを可愛がって世話をし、時々飼い主にも会わせてもらえることが何よりの救いだろう。
References:'Argentinian Hachiko' Spends a Year Waiting Outside Police Station Where Its Owner Was Arrested
犬と人間の絆は深い。飼い主が人間界でどんな罪を犯そうとも、彼らにとっては忠誠を尽くすべき大切な存在なのだ。
今日も世界のどこかで、“忠犬ハチ公”のように、帰らぬ飼い主を待ち続けている犬が複数存在しているのかもしれない。
・とにかく犬はひたすら待つ。飼い主が亡くなった病院の前で8ヵ月も帰りを待ち続けている犬、里親が見つかるも・・・(ブラジル) : カラパイア
References:'Argentinian Hachiko' Spends a Year Waiting Outside Police Station Where Its Owner Was Arrested/ written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:逮捕され、そのまま刑務所に入ってしまった飼い主の帰りを警察署前で1年間ずっと待ち続ける犬(アルゼンチン) http://karapaia.com/archives/52275913.html
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