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地球を照らす太陽は孤高の存在だが、広大な宇宙の中には群れるのが好きな恒星もある。そんなとある3連星系において岩石惑星が発見されたそうだ。
「LTT 1445Ab」と命名されたその惑星は、地球から22.5光年離れた場所にある3連星「LTT 1445」を構成する3つの赤色矮星の主星を周っている。
「その惑星に降り立ったとしたら、空に3つの太陽が見えるでしょう。そのうち2つはかなり遠くにあるので小さくしか見えないでしょうけれどね」とハーバード・スミソニアン天体物理学センターのジェニファー・ウィンターズ氏は話す。
それは空に輝く不吉な赤い目のように見えるだろうとのことだ。
【地球の1.35倍の大きさに8.4倍の質量】
LTT 1445Abを捉えたのは、NASAの宇宙望遠鏡TESS(トランジット系外惑星探査衛星)だ。惑星が恒星の前を通過すると、それが光を遮ることから恒星がわずかに陰る。この宇宙望遠鏡はそれを検出し、惑星の存在を教えてくれるのだ。
また陰りにくわえて、惑星の重力に引かれることで生じる恒星の微妙な揺れを観測すれば(別の望遠鏡による)、惑星の大きさや質量を推定することができる。
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TESSイメージ図 image NASA
LTT 1445Abは、やはり3つの太陽を持つ「HD 131399Ab」(2016年に発見)とはかなり違っている。後者の場合は巨大で、340光年先にある3連星のひとつの周囲を550年かけて公転している。
だが前者は地球の1.35倍ほどの大きさしかない。にもかかわらず、質量は8.4倍もあり、地球よりもずっと密度が高い。
大きさと質量から地球、金星、火星と同じ岩石惑星に区分される。きちんと地表に降り立つことができるのだ。だが、そこから見上げる空の景観が圧巻だろう一方で、居住可能性となるとかなり低いようだ。
公転の周期は地球の5.36日に相当する。ということは、それだけ恒星の近くを周っているわけで、そのおかげで地表の温度は灼熱の155度にも達する。
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ESO/L. Calcada/M. Kornmesser
【大気の観測に好条件】
だが、研究者を喜ばしているのは、そこに大気があることだ。恒星の目の前を通過する惑星の大気は、メタンや二酸化炭素といったガスの観測機器のテストにうってつけなのだ。
大気のある惑星は、恒星の光を陰らせるだけでなく、大気の化学的組成に応じて光のスペクトルを変化させる。この変化を解析すれば、大気を構成する化学物質を推定できる。
LTT 1445Abは地球からの距離が22.5光年と近く、トランジット(恒星の前を通過すること)の回数も多い。さらにそれが公転する赤色矮星は暗すぎず明るすぎず、ちょうどいい塩梅に輝いているなど、好条件がそろっている。
とはいっても、既存の観測機器ではなかなか上手くいかないかもしれない。
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ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 wikimedia commons
今、天文学者はそのチャンスを首を長くして待っている。研究論文は『The Astronomical Journal』に提出済みで、現時点では『arXiv』で閲覧可能だ。
References:Newly-Discovered Rocky Exoplanet Has Three Red Suns | Astronomy | Sci-News.com/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:太陽を3つ持つ太陽外惑星が発見。その空には不吉な赤い目が浮かぶ http://karapaia.com/archives/52277715.html