
アメリカとメキシコの国境には、密輸や密入国を防ぐ目的で設置された「壁」と呼ばれる鋼鉄製のフェンスがある。
これまでにも、この国境近くでは多くの不法移民が収容され、アメリカ国内で激しい対立の原因となっていた。
しかしこのほど、この壁にピンク色の鮮やかなシーソーが設置された。2人の建築家によって10年の構想を経て実現したこの企画は、まさにアメリカとメキシコの架け橋的アイデアであり、国境をまたいでシーソーに乗って遊ぶ子供たちに笑顔をもたらしたことで、それは大成功を収めた。
【10年の時を経た「国境のシーソー」がついに実現】
メキシコのチワワ州シウダー・ファレスとアメリカのテキサス州エルパソの間に建てられた国境の壁に、7月29日、3台の鮮やかなピンク色のシーソーが設置された。
考案者は、カリフォルニア大学バークリー校のロナルド・ラエル教授とサンホセ州立大学の建築家ヴァージニア・サン・フラテッロ准教授だ。
2人は、2009年からまさに10年の年月を経て、ようやくアメリカとメキシコの架け橋となる“国境のシーソー(Teeter Totter Wall)”を完成させた。
[画像を見る]
【シーソーに乗った子供たちの笑顔は、両国の絆の象徴】
鋼鉄製のフェンスの隙間から壁を軸にして差し込まれたピンク色のシーソーに、アメリカとメキシコの両側から子供たちが乗り合った。
[画像を見る]
シーソーに乗って遊ぶ子供たちには、国家間の情勢や文化の違いなど関係ない。互いにフェンスの隙間から笑顔を見せ合ったり、言葉をかけあったりして交流を図っている。
それを見た大人たちも笑顔で参加。鮮やかなピンク色のシーソーは、国の情勢を表すかのような茶色の壁と灰色の景色の中で、まるで一点の光を象徴しているかのようだ。
[画像を見る]
シーソー遊びをする人々の側には、アメリカ側の国境警備兵がその様子を見守っており、そこが単なる公園ではないことを思い知らされる。
【ソーシャルメディア間でシーソーに絶賛の声】
そしてもちろん、大きな感動を味わったのは他でもないラエル教授らだ。同教授は、シーソーの企画を実現できた喜びを自身のインスタグラムに投稿し、このように綴った。
国境が喜びと一体感に満ち溢れ、本当に素晴らしい経験だった。国境は、アメリカとメキシコにとって文字通りの支点だが、壁は両国の関係を分断するものに他ならない。しかし、今日国境のシーソーが設置されたことで、双方の架け橋となった。
子供も大人も、片方で行われる行動がもう片方に直接影響を与えるという認識を持って、有意義な方法で繋がったのだ。この日、両側で分かち合えた喜びは、私と共に永遠に続いていくことだろう。
壁を挟んでシーソーに乗って向かい合い、無邪気に笑い合ったり話しかけたりして両国の人々が心を通わせる光景は、多くのユーザーらの心を震わせ、絶賛の声が寄せられた。
[画像を見る]
このシーソーは一時的に設置されたもので永久にここにあるわけではないそうだが、国境のシーソーは、アメリカとメキシコに暮らす人々が繋がることのできる絆を浮かび上がらせてくれたようだ。
References:thisiscolossalなど / written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:アメリカとメキシコの国境の壁に設置されたシーソー。両国の架け橋ともいえるアイデアに絶賛 http://karapaia.com/archives/52277737.html