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地球外生命体は赤や青や緑に発光しているかもしれない。なぜなら降り注ぐ紫外線から身を守る必要があるからだ。
新しい研究によると、地球外生命体を発見するならば、発光している惑星こそが探し求めるべきものなのかもしれないそうだ。
【生命が存在可能な太陽系外惑星の特徴】
これまでに発見された生命が住めるかもしれない太陽系外惑星の多くは、赤色矮星を公転している。
赤色矮星とは、この銀河では一番ありふれた恒星で、宇宙では最も小さくかつ最も温度が低いグループに属している。
そのためにプロキシマ・ケンタウリやトラピスト1は、地球外生命体捜索の最前線となっている。
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だが、仮にここに生命が存在するのだとしても大きな問題がある。
それは赤色矮星がよくフレアを放出するということだ。これは爆発的な紫外線の放射で、周囲にいる生命にとっては有害なものだ。
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【紫外線から身を守る為、生命体が生体発光している可能性を示唆】
「今見つかっている潜在的に居住可能な惑星の多くは、非常に紫外線の多い世界である可能性が濃厚です」と米コーネル天体物理学・惑星科学センターのジャック・オマリ=ジェームズ氏は話す。
だからこそ、彼は赤色矮星を公転する惑星に生息しているかもしれない生命が、高レベルの紫外線に対処する方法を考案しようとしてきた。
地球上の生命は、さまざまな方法で紫外線から身を守っている。
地下に潜ったり、水中に潜ったり、あるいは色素で日光を防いだりといった方法があるが、ほかにも紫外線から身を守りつつ、やたらと目立ってしまうやり方がある――生体発光だ。
たとえばサンゴの中には光ることで紫外線から身を守っている種がある。
その細胞に含まれているタンパク質や色素は、紫外線にさらされると光子からエネルギーを吸収し、長く安全な波長に変えてしまう。すると目に見えなかったはずの紫外線が緑の可視光に転換される。
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【地球外の生体発光は検出可能】
オマリ=ジェームズ氏らは、サンゴの色素とタンパク質が作り出す生体発光を分析し、これをもとに赤色矮星をまわる惑星で暮らす生物が放っていると思われる光をモデル化した。
そして、雲の存在など、さまざまな要素を考慮しつつ分析を進めると、雲がなく、表面を生体発光する生命によって覆われている惑星ならば、一時的に明るさが変化する可能性があり、それを検出できるだろうことが判明した。
都合のいいことに、赤色矮星は太陽ほど明るくないために、そうした生命の光を隠したりはしないだろうとも推測される。
【次世代望遠鏡が地球外生命体の発見を担う】
ただし、「惑星の生体発光を検出するには、その大部分が光る生命によって覆われている必要があるでしょう」とオマリ=ジェームズ氏は説明する。
しかも、仮に表面が数センチごとにそうした生命によって覆われた惑星があったとしても、現時点ではその光を検出できるほど強力な望遠鏡は存在しないそうだ。
だが「欧州超巨大望遠鏡」のような次世代の望遠鏡であれば、それを検出できると期待できる。
それとて、針先のような微かな光にしか映らないのだが、これを解析して色の成分を割り出せるかもしれない。
もし地球外生命体がたとえば緑色に光るのならば、フレアが増大したタイミングで、惑星が放つ緑の光は増えるだろう――それが生命のサインになる。
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【強い生体発光をする生命体なら地球から観測可能】
それでも、そうした生命には「非常に明るく」輝いてもらわねばならない。
現在、地球上にオマリ=ジェームズ氏が期待するほど明るく輝く生命は存在しない。
だが、それは地球に降り注ぐ紫外線がそこまで強くないからだ。
したがって赤色矮星の周囲の惑星のような、もっと紫外線のレベルが高い環境で長い時間をかけて進化を遂げれば、地球からでも観測できるような強い光を放ってくれるかもしれない。
今後のステップとして、生体発光する生物に強い紫外線を照射して、期待されるレベルの光を放つよう進化するかどうかを確かめる研究が考えられるそうだ。そして実際そのように進化するならば、そのときこそ宇宙で生命の光を探すチャンス到来だ。
想像してみてほしい。宇宙のどこかに浮かんでいる、生命の光でキラキラと輝く惑星の姿を。
この研究は『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』(8月13日付)に掲載された。
References:Fluorescent glow may reveal hidden life in the cosmos -- ScienceDaily/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:地球外生命体は発光しており、その命を宿している惑星はキラキラと輝いているかもしれない(米研究) http://karapaia.com/archives/52278522.html
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