地球上で、最も強力な咬む力を持つ10の動物

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 人間が到底及ばないほどの強靭な咀嚼力(咬む力)を持つ野生動物というと、どの動物を思い浮かべるだろうか。

 野生動物のパワフルな歯と顎は、厳しい自然界で生き残るための物理的特性であり、自己防衛と捕食のためには必要不可欠だ。


 最強の咀嚼力を持つ動物は、食物連鎖上の頂点に属している。しかし、どの動物がどれほどの咬傷力を持つのかという測定実験は、当然ながらリスクを伴い困難だ。

 そこで研究者らは、これまでにも実測定を含むコンピュータモデルによる試算を行い、その推定値を発表してきた。 
 
 というわけで今回、地球上で最も強力な咬む力を持つ10の動物を紹介しよう。
【人間をはるかに超える動物の咬む力】

 咬合力の測定値は、アメリカやカナダではPSI(重量ポンド毎平方インチ)と表示されている。 

 1平方インチ=約6.5センチ平方、1ポンド=約0.45kgとして考えると、1PSIはちょうど掌に500mlのペットボトルを乗せた程度の圧力となる。

 ちなみに、人間でいうと成人男性のPSIは160だそうだ。それを踏まえた上で、世界最強の咬合力を持つ動物を見ていこう。

【1. イリエワニ 3700PSI】

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 世界最強の咀嚼力を持つ動物は、イリエワニだ。研究チームにより直接測定が行われたため、この数値の信ぴょう性はかなり高いとされている。

 フロリダ州立大学の解剖学および古生物学を教えているグレゴリー・エリクソン博士率いるチームは、現存するワニ目の全23種を対象に、同州セントオーガスティンワニ園にて膨大な時間をかけて調査し、ワニと格闘しながら咬む力を直接測定した。

 チームは特別に設計された咬合力変換器を、ワニの顎の間に設置。
すると、体長約5.2メートルのイリエワニにより、最高測定値である3700PSIが記録された。

 エリクソン博士は、このイリエワニのPSI値は過去に測定された4メートルのアメリカアリゲーターの2980PSIという記録を破っただけでなく、2017年に調査推定したT・レックスの咬合力を上回る史上最高の咬合力であることを明らかにした。

ワニの咬合力から逃れるには、ピックアップトラックをベンチプレスできるほどの力が必要だということです。(エリクソン博士)


【2. ホオジロザメ 4000PSI(推測)】

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 2008年、オーストラリアの科学者チームは、サメの頭蓋骨のX線画像に基づく高度なコンピュータモデリングを使用し、体長6.4メートルのホオジロザメが4000PSI近くの咬合力を生成できると推定した。

 しかし、サメの咬合力はその大きさにより異なっており、一般的なホオジロザメ(体長3.4メートル~4.6メートル)は、同サイズのワニよりも咬合力が低いという報告がある。また、4000PSIという数値も直接測定ではないことから、多少の不確実性があるとされている。

【3. カバ 1800PSI】

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 地球上に存在する草食動物の中で、最も強い顎の力を持つとされるのが、カバだ。

 180度大きく開く口の中には60センチ以上の長さに成長する牙があり、それは、スイカを丸ごと簡単に咬み砕くほどの力を持つ。

 テリトリーに敏感で潜在的な攻撃性があるカバは、特にワニに敵対的で、3メートルほどのワニなら半分に噛みちぎることができるとも言われている。

 1800PSIという数値は、メスのカバ咬合力ということだ。オスに関しては、実測定するには攻撃的すぎたという報告がなされている。

【4. ジャガー 1500PSI】

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 アメリカ大陸で最も大型の猫ジャガーは、野生のネコ科動物の中で最もパワフルな咬合力を持っている。


 ほとんどの猫科動物は、獲物を仕留めるために最初に喉を狙うが、ジャガーは獲物の頭蓋骨をかみ砕いて殺す。その鋭い歯は、カメの甲羅でさえも簡単に突き刺すことができるとされている。

【5. ゴリラ 1300PSI】

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 霊長類王国の中でも最強とされるゴリラは、草食動物で、歯の強さよりも顎と首の力により強力な咬傷を与える。しかし、もちろん歯も強く、臼歯で固い芽や樹皮、実、塊茎、その他の背に質の食物を噛みちぎる。

 成熟したオスのゴリラに見られる長く鋭い犬歯は、主に相手を威嚇するためだとも言われている。

【6. ホッキョクグマ 1200PSI】

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 ほとんどのクマの歯は、植物と動物の両方の処理に適応できるような作りになっているが、肉のみを食すホッキョクグマは、北極圏で遭遇する厚い皮膚と羽毛に覆われたアザラシやキツネなど、獲物の種類に対処できる鋭い歯を持っており、その咬傷力はパワフルだ。

 また、ホッキョクグマは積極的に人間を狩る唯一の哺乳類とも言われている。

【7. ブチハイエナ 1100PSI】

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 普段は、他の捕食者が残した死体を漁るイメージが強いハイエナだが、実は熟練したハンターで、自ら獲物を狩るに十分なスキルと力を持っている。

 ハイエナは驚異的な顎の力と2重歯を持っており、強靭な歯で肉をせん断し、骨を砕くことが可能だ。また、大きな顎の筋肉は独自のアーチ型構造になっており、これが咬合力によって生じる力から頭蓋骨を保護する役目を果たしている。

 この顎と歯によって、より効率的なスカベンジャーとなるハイエナは、一旦死体に群がると跡形もなく綺麗に片づけてしまう。

【8. ベンガルトラ 1050PSI】

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 猫科の中でも最も長い犬歯(6~8cm)を持つベンガルトラは、その牙をむいただけでも敵を恐怖に陥れるが、見た目同様、歯の力もパワフルだ。


 1050PSIという咬合力は、ジャングルの王者ライオンのほぼ2倍である。

【9. ハイイログマ 975PSI】

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 巨大な足を一振りするだけで、ヘラジカの首を切断する力があると神話でも伝えられているハイイログマは、野生動物の中で最もパワフルな動物に属するといっていい。

 ハイイログマの咬合力は、ボウリングのボウルをいとも簡単に粉砕するほどだと言われている。また、強靭な歯や足の一撃は相手に大きな深手を与える。

【10. ライオン 650PSI】

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 百獣の王ライオンと呼ばれているが、実はライオンの咬合力は650PSIであり、犬の中で最も噛む力が強いとされるイングリッシュ・マスチフの550PSIをわずかに上回るだけのレベルだ。

 しかし、ライオンは集団で狩りをする習性があるため、個々の顎の強さをさほど必要とせず、徐々にその力が後退していったのではと一部の研究者らは推測している。

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What is the Most Powerful Animal?
References:Popular Scienceなど / written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:地球上で、最も強力な咬む力を持つ10の動物 http://karapaia.com/archives/52278762.html
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