
アメリカでは、保護された子犬や子猫は、終の棲家に落ち着くまでに何軒かの家を渡り歩くことが多い。成長段階に応じて預かりボランティアさんの家から家へと移り、適切な世話を受け、社会性を身につけながらながら、飼い主の募集をかけるのである。
あんまり頻繁に飼い主が変わるのは落ち着かないと感じる人もいることだろう。だが、ムスタング・バーソロミューと名付けられた子猫にとっては、それは問題ではなかったのだ。
バーソロミューは、どの家へ行っても変わらない、自分の居場所を見つけていたのである。
飢えと孤独に鳴いていた子猫が見つけた居場所は、「人間の膝の上」だったのだ。
【ひとりぼっちで鳴いていた子猫】
かすかな声がしたのは、6月の終わり頃のことだった。風にのって運ばれてきた子猫の鳴き声が、ある女性の耳に届いたのである。女性は辺りを見回したが、子猫らしき姿は見当たらなかった。
だが、その数日後。女性はふたたび同じ場所で子猫の鳴き声を聞いた。
よりハッキリとした鳴き声を頼りに、女性は今度こそ子猫の姿を探し当てた。ある家のポーチの階段で、孤独を訴えて鳴いていたのだ。
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この女性からの連絡を受けて、「Wrenn Rescues」から、ボランティアのアシュレイ・ケリーさんが子猫を引き取りにきた。
【保護されて覚えた、人間のぬくもり】
バーソロミューは生後約6週。まだ24時間体制でのケアを必要とする幼さだったが、アシュレイさんの自宅では、その位の週齢の子猫をすでに4匹も預かっていた。もう1匹増えたところで大した負担ではないだろうとアシュレイさんは考えたのだ。
保護されたバーソロミューは、さっそくアシュレイさんに抱きついて眠りに落ちた。久々のぬくもりに安心したのだろう。
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数日後、バーソロミューはアシュレイさん宅の他の4匹の子猫、オリビア、オフィーリア、オパール、オリバーに引き合わされた。
子猫たちはすぐに仲良くなり、バーソロミューは新しい兄弟姉妹たちから「猫としての生き方」を学び始めた。
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【お膝の上が大好きなの】
バーソロミューは、2つの点で他の4匹の子猫とは違っていた。まずは身体のサイズだ。同じくらいの週齢の4匹に比べて、バーソロミューは半分くらいの大きさしかなかったのである。
そしてもうひとつが、抱きつき癖だ。座っている人間の膝が開いていると見るや、バーソロミューは文字通り走ってきて、そこを占拠する。
座っている人間がいない時には膝の上に乗ることができない。そんな時は他の子猫たちとひとかたまりになって丸まっているのであった。
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【里子に出るための準備中。でもやっぱりお膝が好き。】
さて、哺乳瓶を卒業し、自力でエサが食べられるようになった子猫たちは、同じく預かりボランティアのジェン・マーダーさんの家に引っ越した。
里親探しをしながら、飼い猫として暮らす準備をするのだ。
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引っ越した先でもバーソロミューは変わらない。真っ直ぐにジェンさんの膝によじ登りに行ったのだ。しばらくすると、他の猫たちもやってきた。
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「私が子猫たちの部屋に行くと、いつもバーソロミューが挨拶しに飛んでくるんですよ」とジェンさん。
部屋に子猫たちだけのときには、バーソロミューも他の子猫たちと追いかけっこをしたり、取っ組み合いをしたりして遊んでいるようだ。
しかし、バーソロミューが最も愛するのは、やはり人間の膝に乗っていること、あるいは背中から飛びついてよじ登ることなのである。
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ジェンさんによると、バーソロミューには、必ず人間に抱っこをねだるという甘えん坊の可愛らしさがある。だが一方では、行き会うものごと全てを真剣に受け止め、自分の人生をしっかりと生きていこうとする意志も見られるという。
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5匹の子猫たちは里親の元に行って幸せになる準備ができている。どうか、バーソロミューと他の子猫たちが、この先、エサにも寝床にも、そして抱っこしてもらう膝にも事欠かない人生が送れますように。
written by K.Y.K. / edited by parumo
記事全文はこちら:「お膝を貸してくださいな」保護された子猫が見つけた居心地の良い場所は人間の膝の上だった(アメリカ) http://karapaia.com/archives/52282674.html
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