
日本にも、蛇口からミカンジュースが出てくるマシーンが、愛媛県の松山空港内に存在するが、さらにもっとすごいマシーンが登場したようだ。
イタリアのカルロ・ラッティ建築スタジオが開発したオレンジジュースマシーンは、マジカルでユニーク。
しかも環境にもしっかり配慮されている。
巨大な回転レーンを流れてきたオレンジは、マシーン内で果汁と皮に分離される。通常なら捨ててしまうオレンジの皮は、3Dプリンターで生分解性のバイオプラスチックカップに生まれ変わり、そこにしぼりたてのオレンジジュースが入れられて出てくるのだ。
オレンジを余すことなく使用できるため、循環経済が現実化した良い例として注目を集めているが、見ているだけで楽しいし、デザインが超かっこいい!
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Feel the Peel
【ジュースもカップも作れる斬新な「フィール・ザ・ピール」】
イタリアのエネルギー企業・エニ(Eni)と共同で作られた「フィール・ザ・ピール(Feel the Peel )」は、日常生活の中に資源の循環を取り入れることを目的としたオレンジ搾り器の試作品。
高さ3.1mのこの実験的なジュースバーの上には、1500個のオレンジがストックされた円形ドームが設置されている。
ジュースを注文するとオレンジが搾り器の中に滑り落ち、半分にカットされてスクイーズされ、ジュースになるという仕組みだ。
ジュースができると残ったオレンジの皮は機械の下にある透明の仕切りの中に落ちる。
ここにたまった皮を乾燥させ、粉砕して粉にする。それをポリ乳酸(PLA)と混ぜて生分解性のバイオプラスチック原料を作るのだ。
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バイオプラスチック原料は熱で溶かされ、単繊維(フィラメント)となり、搾り器内に組み込まれた3Dプリンターの中に通される。
ジュースをオーダーすると、オレンジの繊維が同心円層状にプリントされてカップができあがる過程を目の当たりにすることができ、完成したそのカップで搾りたてジュースを飲めるというわけだ。
その後、使用済みカップはリサイクルすることができる。
まだ理論段階だが、再びつぶして別のカップへと再利用できるようにする見込みだ。
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【オレンジの皮から衣服の繊維を作るなどさらなる可能性を模索】
カルロ・ラッティ建築スタジオの創設者、カルロ・ラッティ氏は
これからの企業は循環型社会を考えなければならない。エニ社と共同で仕事をしながら、ジュース以外にもオレンジをうまく利用できないかと考えた。その具体的な例を示すべく「フィール・ザ・ピール」を開発したんだ
とコメントしている。
ラッティ氏によると「フィール・ザ・ピール」の次の目標は、オレンジの皮から衣服を作る繊維を作るといった、新たな機能を加えることなのだとか。
「フィール・ザ・ピール」は、2019年10月8日から9日間、ミラノにあるシンギュラリティ大学に設置される予定だ。
その後、数ヶ月間、イタリア中を巡回して日常生活における環境循環への新たなアプローチをデモンストレートするとのこと。イタリアに行く予定のある人は要チェック案件だ。
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【キノコの菌糸体から作ったアーチ型建造物を制作したことも】
循環設計を探究するカルロ・ラッティ建築スタジオとエニ社がコラボして開発したのは、「フィール・ザ・ピール」が初めてではない。
2019年のミラノ・デザイン・ウィークでは、キノコの菌糸体から作ったアーチ型建造物をプレゼンした。
イベント終了後には、完全に循環する方法で菌から成長させた建築素材を砕いて堆肥として土に戻したとのこと。
なお、消費プロセス等で出た廃棄物や汚染物質からなにかを生み出す循環経済や自然のシステムを再生利用する動きは、エレン・マッカーサー財団などが推進中だ。
先月、マッカーサー財団は、世界中の2000万の設計士やデザイナーたちに向けて一方通行的ではなく循環型の考えに基づいた仕事のやり方へシフトするためのイニシタチブ方針を打ち出している。
References:Dezeen / Carlo Ratti Associati / Inhabitatなど / written by konohazuku / edited by usagi
記事全文はこちら:マジカルオレンジ!果汁はジュースに、皮はカップになって自動で出てくる循環型オレンジジュースマシーンが登場(イタリア) http://karapaia.com/archives/52282790.html
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