
GIFアニメは短い無音のアニメーションだ。普通の動画とは違って、そこに音を記録したデータは含まれていない。だから基本的には音がない。
それなのに、なぜか音を感じてしまう不思議なGIFアニメがツイッター上で話題になっている。Happy Toastさんが作った鉄塔が電線で縄跳びをしているGIFアニメだ。
グラスゴー大学のリサ・ディブルイン博士が音が聞こえるかどうかアンケート調査をしてみたところ、調査に参加した人のじつに75%が「ドスン」という音が聞こえると回答。さらに4%の人も、それ以外の音が聞こえると回答している。
一体どうして一部の人々は、無音のはずのGIFアニメから音を感じ取ってしまうのだろう?
【無音なのに音が聞こえるGIFアニメ】
ますは話題となっているそのGIFアニメを見てみよう。
さてみんなは音を感じただろうか?
Does anyone in visual perception know why you can hear this gif? pic.twitter.com/mcT22Lzfkp
— Lisa DeBruine ️ (@LisaDeBruine) 2017年12月2日
こうした、鳴っていないはずの音を感じてしまうGIFアニメは他にもいくつかある。例えば象がシーソーをしているGIFアニメもドンドンと音を感じる人がいるという報告がある。
[画像を見る]
更に、手を叩き、拳を叩くGIFアニメに至っては、クイーンの楽曲「ウィ・ウィル・ロック・ユー」のドンドンパッが聞こえてくるというのだ。
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【視覚によって聴覚が影響を受ける「マガーク効果」】
これは、聴覚情報と視覚情報が相互に作用する「マガーク効果」により引き起こされる現象なのだという。
GIFアニメ以外にも音の認識が視覚によって影響を受ける例が知られている。
それは、ある発音とそれとは別の発音をする画像を組み合わせることで第三の音が聞こえるというものだ。
以下の動画で確認してほしい。
[動画を見る]
The McGurk Effect / マガーク効果
また今回紹介したGIFアニメのように、視覚的な刺激だけで聞こえないはずの音を感じさせることだって可能だ。
ある研究は、参加者の22%の人たちが光の点滅を見たときにかすかな音を聞いていたと報告している。
[動画を見る]
【多くの人が共感覚に近い不思議な感覚を持っている】
世の中の5%の人には「共感覚」という不思議な感覚が備わっていることが知られている。
共感覚の持ち主は、ある感覚(聴覚など)で情報をキャッチすると、それによって別の感覚(味覚など)まで感じられてしまう。
しかし先ほどの研究は、視覚刺激が入ってきたときに音が聞こえてしまう人なら、共感覚の持ち主よりもずっとたくさんいることを明らかにしている。
鉄塔が縄跳びをしているGIFアニメもまた、光の点滅のように、視覚刺激で音を生じさせてしまうということらしい。
【認知負荷がかかるとステレオタイプな体験に置き換える脳の秘策】
視覚刺激によって脳が処理できる以上の認知負荷がかかると、脳はそれを客観的に処理することを諦めてステレオタイプな体験や以前の体験に置き換えてしまう。
鉄塔が縄跳びをするGIFアニメを見た脳は、そのイメージからごく普通の縄跳びのイメージを連想する。
こうして「縄跳び」の音が鉄塔のアニメの音に置き換えられるのだ。
また、この現象は脳が視覚情報から次に何が起こるか予測して、それと辻褄が合うような神経細胞を発火させることとも関係がありそうだ。
なお鉄塔の縄跳びアニメについては、ジャンプに合わせて画面が揺れることが原因なのではないかという意見や、音が聞こえるというキャプションがついていることが原因なのではないかという意見もある。
追記(2019/10/23)本文を一部修正して再送します。
References:Ifl science / Twitterなど / written by hiroching / edited by usagi
記事全文はこちら:無音なのに音を感じるGIFアニメにSNSが騒然!視覚的な刺激が聴覚に影響を与えるマガーク効果とは? http://karapaia.com/archives/52283826.html
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