脳波スキャンで理想の自分の姿を探り出す。その姿を本当の自分と比較するアートプロジェクト(イギリス)


 鼻がもうちょっと高かったら、とか目がもっと大きかったらとか、恐らく誰でも頭の中に「理想の容姿のイメージ像」を持っていることだろう。

 近年はそのイメージに近付くため、整形手術などの身体的改造が一層容易にできる時代になったが、実際に理想的な姿への変貌を遂げた人はごく一部であり、多くの人がその理想を抱えたまま生活しているようだ。

 しかし、いったいどれほど理想的な自己イメージを、私たちは個々の脳内で思い描いているのだろうか。

 イギリスの写真家率いるチームは、神経科学の手法を使用して本当の自分の姿と理想的な自己イメージの違いを比較する新たなアートプロジェクトを実施し、いくつかの例を紹介している。
【脳波スキャンで、理想的な自己イメージが明らかに】

 ロンドンの写真家スコット・シャセロット氏は、脳波スキャンを使用して、被写体の理想的な自己イメージを近似する写真とアートのプロジェクト『Original Ideal』を実施した。

 このプロジェクトは、脳波スキャナー、画像編集、人間心理学を組み合わせたもので、慎重に導き出された一連の写真操作(フォトショップ)と脳波スキャンプロセスを通して、被験者の理想的な自己イメージを垣間見ることが目的だ。

 プロセスとしては、まず被験者らに可能な限り楽な状態でいてもらい、アクセサリーなどを装着せず最小限の基本的な画像を撮影するところから始まる。



 次に、その画像に一連のデジタル修正(毛髪の微調整や肌の色付け、顔の構造など)を適用する。

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 続いて、被験者に脳スキャナー『Emotiv EEG』を接続し、シャセロット氏が修正した50の画像を見てもらい、前意識の反応を記録。

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 その結果を分析し、被験者がどの顔のバージョンに対して最も肯定的な反応を示したのかを判断し、本来の被験者の画像と理想的な自己の画像を掲載したディプティクを作成する。

左側が実物、右側が理想の自分の姿
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【自己について現実と理想の違いを比較】

 このアートプロジェクトを主催したシャセロット氏は、このように述べている。

私たちの日常生活では、私たちは常に互いの外見に基づいて判断し、自身の生活の質は外見に対する満足度に影響されています。

このプロジェクトの目的は、被験者の現実と理想の違いを示すことです。これらの違いが何を意味するのかを決めるのは、あくまでも被験者次第ですが、彼らが理想とする顔の構造を選ぶことで、ポジティブな感情的反応を引き出すと同時に、被験者の心理を推し量ることができます。

 撮影では、被験者の自己イメージをテーマに脳波が記録された後、自己のイメージが人生でどのように影響しているか、また他人との相互作用での影響などを尋ねる短いインタビューも行われたそうだ。

 紹介されているディプティクでは、本当の自己の姿と理想的なそれの差が大きく異なる被験者もいれば、ほとんど差が見られない被験者もいる。

※左側が実物、右側が理想の自分の姿
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 このように改めて比較してみることは、個人の美への理想とその探求レベルが明らかになるだけでなく自己心理状態も垣間見えて、非常に興味深いといえるだろう。

References:designyoutrust.comなど / written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:脳波スキャンで理想の自分の姿を探り出す。その姿を本当の自分と比較するアートプロジェクト(イギリス) http://karapaia.com/archives/52283830.html
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